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【ビジョン キーノート】デジタル・ネイティブ企業と創り出すビジネスと社会の未来

2019年10月11日(金)
工藤 淳

2019年8月30日(金)、ザ・プリンスパークタワー東京にて、イノベーションのさらなる未来に向けた、日本マイクロソフトによる「Microsoft Innovation Lab 2019」が開催された。国内の有力スタートアップや政府関係者によるセッション、デジタル分野で革新的なプロダクト/サービスを持つスタートアップ企業を集めた「ピッチ コンテスト」などが行われた。ここではキーノートセッションから、デジタル・ネイティブ企業のリーダーによる「ビジョン キーノート」の内容を紹介する。

【パネリスト(五十音順)】
高宮 慎一 氏
グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
辻 庸介 氏
株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO
豊田 剛一郎 氏
株式会社メドレー 代表取締役医師

【モデレーター】
岡 玄樹 氏
日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務
マーケティング & オペレーションズ部門担当

デジタル・ネイティブ企業と連携した
イノベーションの取り組みがいよいよ本格化

現在、日本国内で注目を集めているビジネスリーダーが、これからのイノベーションとビジネスの展望を語る「ビジョンキーノート」。冒頭、挨拶に立った岡氏は、これまでエンタープライズ領域を中心に取り組んできたマイクロソフトが、デジタル・ネイティブ企業とのコラボレーションとの協業による、新たなイノベーションの取り組みに乗り出していると語る。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 マーケティング & オペレーションズ部門担当 岡 玄樹 氏

「米国 MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラは、『すべての成長はデジタル・ネイティブ企業の持つ大胆さから始まる』として、すべての企業には、この大胆さとリスクを取る姿勢が必要だと常々語っています。以前来日した際にも、デジタル・ネイティブ企業と大いに語り合い、帰国後も最も楽しい思い出として振り返っていました」。

さらに岡氏は、市場を席巻するデジタル・ネイティブ企業の躍進ぶりに触れ、その価値は創業年数や社員数といった旧来の指標ではなく、時代にアピールするアイディアとそれを実現するためのデジタル活用で決まると指摘。日本マイクロソフトは、そうしたデジタル・ネイティブ企業との協業によって、これからの歩みを進めていきたいと言う。では、そのwin-winの関係をどうやって築くのか。

デジタル・ネイティブ企業の価値は時代にアピールするアイディアとそれを実現するためのデジタル活用で決まる

「デジタル・ネイティブ企業は、さまざまな卓越したビジネスアイディアを持っています。一方で、私たちマイクロソフトは世界規模のSaaSであるMicrosoft Azureなどのソリューションやテクノロジーを擁しており、これらを総動員して皆様を支援できる。加えてマイクロソフトは、これまでの歴史を通じて優良顧客へのアクセスを持っています。スタートアップの皆様には、こうしたビジネスルートを活用して成長していただきたいと願っているのです」(岡氏)。

そのための具体的な施策として、現在同社では「Microsoft for Startups」というプログラムを展開している。これは起業から5年未満などの条件を満たすスタートアップを対象に、「テクニカル」「ビジネス」「セールス」の3つの側面から支援するというものだ。すでに海外ではいくつかの事例も公表されており、今後の利用拡大が期待される。

スタートアップ企業への支援プログラム「Microsoft for Startups」を展開

スタートアップと大企業の相互理解が
成果につながるコラボレーションを可能にする

続くパネル ディスカッションでは、最初のテーマとして、スタートアップとエンタープライズ領域の大企業がコラボレーションするためのアプローチについて話し合われた。

現在、日本のスタートアップには盛んに資金が流入してきているが、その結果、今後どのようにエンタープライズと提携するのかという課題が浮上してきている。一方、上場企業のCEOの約7割はスタートアップとの協業の重要性を認識しながら、具体的な取り組みの方法がわからない悩みを抱えている。そうした環境下で、デジタル・ネイティブ企業やスタートアップと、エンタープライズ企業が協業する上での課題や、有効なアプローチとはなんだろうか。

これに対して辻氏は、「当社は銀行とよく一緒にお仕事をしますが、お互いの風土の違いをまず理解した上で、わかり合っていく努力が必要だと感じています。例えば、大企業では何らかのテーマに対して、半年くらいのスパンで成果が求められます。これをそのままスタートアップに求められると、やはり無理がある。相互理解を深める中でそういう時間軸合わせを行い、経営陣もすぐに結果を求めず一定の期間でマイルストーンを設けて取り組んでいく姿勢が必要です」と語り、スタートアップと大企業の双方が歩み寄る必要があると示唆する。

株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻 庸介 氏

一方、豊田氏は大企業の側のマインドチェンジが必要だと提言する。医療分野はデジタル化の残されたビジネス領域として注目を浴びており、豊田氏に相談に訪れる企業も少なくないが、しばしば“極端な例”にとまどうことがあると明かす。

「具体的なイメージがないまま、『何かできませんか』、『何かやりたいのだが』と言われるのです。それでこちらが何とかアイディアを提案しても、『持ち帰って検討します』になる。一方、『これがやりたい』と、いきなりピンポイントで来るケースもありますが、必ずしも私たちの提供するインターネットのサービスに相性が良いわけではありません」。

スタートアップやベンチャー企業は、大企業とは一線を画すスピード感で動いている。そこへ漠然とした“願望”を持ってきたり、すでに固まったアイディアをインターネット向けにカスタマイズしたりする時間の余裕はない。豊田氏は「ベンチャーは5年後、10年後を見据えながら今を全速力で走っているようなところがある。そこに大企業の時間軸で、すぐにアウトプットを求められても難しい。そうした違いを踏まえた上で、スタートアップと一緒にビジネスを作っていくという意識を持ってもらえるとありがたい」と呼びかけた。

株式会社メドレー 代表取締役医師 豊田 剛一郎 氏

「なぜオープンイノベーションをするのか?」
その問いから戦略を立てトップダウンで展開する

もし大企業がオープン イノベーションに取り組もうとするなら、まず根本となる戦略を経営陣が明確にすべきだと、高宮氏はこれまで数々のイノベーション戦略や事業戦略を手がけた経験から指摘する。同氏によれば、現在世界的に賑わっているオープン イノベーションの中でも、日本は極めて珍しい市場だという。というのも、グローバルで見るとベンチャーキャピタルを支える投資家のほとんどは年金などの機関投資家だが、倍々ゲームで成長中の日本のベンチャーキャピタルの資金の6割は、大企業によって供給されているからだ。

高宮氏は、これがしばしばメディアなどで、わが国のオープンイノベーションはなかなか成果が挙がらないと批判される大きな原因ではないかと見ている。豊田氏も指摘した「何かやりたい」といった曖昧なスタンスが根底にある限り、いくら資金を投入しても具体的な成果につながらないというのだ。

「いちばん大切なのは、全社的な経営戦略=そもそもなぜ自分たちは、オープンイノベーションをやるのか? という問いです。本業を伸ばすために新しいテクノロジーを取り入れるのか。それとも、周辺事業を拡大したいのか。はたまた、まったく新しい分野を開拓するのか。まずトップが戦略を明確に決め、それから現場に落としていかない限り、具体的かつ有効な動きにはなりません」。

グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮 慎一 氏

さらに大事なのは、既存の事業部門が新たにオープンイノベーションを推進するインセンティブをきちんと設けることだと、高宮氏は付け加える。せっかく経営者が旗を振っても、現場は今までのルーティン業務で売り上げを挙げる方が評価につながる。同じ売上を作るにも、ベンチャーとの協業で1000万円より、手持ちのソリューションを1億円売った方が良いといった判断がある限り、現場は新しいことにチャレンジしようとは思わない。「金額は小さくても、ベンチャーで作った売上をきちんと評価する仕組みを整備することが必要です」と、高宮氏は強調する。

DXへの取り組みを模索する日本の企業を
デジタル・ネイティブ企業と共に力強くサポート

ディスカッションの終盤、高宮氏は、この間のマイクロソフトがオープンイノベーションを推進する取り組みを高く評価し、スタートアップやベンチャーとの協業に向けた、今後の展開について尋ねた。

これに対し、岡氏は「これまでは開発したソリューションやサービスを営業していけば、お客様とのビジネスが伸びていきました。しかし時代がクラウドに移行した今、さらなる成長を実現するには、できたものを売る以上に事業開発が重要になっていきます。そこで大企業の課題を相当数ヒアリングした結果、共通の課題としてオープンイノベーションとデジタルが浮上してきました」と説明する。

岡氏はマイクロソフトとしてスタートアップやベンチャーとどのように協業していくかを熱く語った

多くの経営者はデジタルトランスフォーメーションを必須の課題と考えながら、人によってそのイメージは大きく異なっている。それを、最新のテクノロジーやアイディアを持つデジタル・ネイティブ企業と連携することで、客観的に合理的なあり方=自社に最適化された姿に創り上げていかなくてはならない。そのためにもスタートアップやベンチャーとの緊密な連携は不可欠であり、どの企業も彼らとのリレーションシップ作りに注力しているのだ。この協業推進のために、すでに日本マイクロソフト社内には「ユニコーンチーム」と呼ばれる専従組織も立ち上げられているという。

「私たちのエンタープライズ事業部門のスタッフも、こうしたデジタル・ネイティブ企業の知見がなければ先に進めないというのを熟知しています。だからこそこれまでのようにマイクロソフトの内部にとどまることなく、外部のさまざまなスタートアップやベンチャーと連携し、理解し、支援できなければ、マイクロソフトはこの先も生き残っていけない。そういう覚悟で取り組んでいます」と岡氏は抱負を語り、パネルディスカッションを締めくくった。

パネスディスカッションでは白熱した議論が繰り広げられていた

フリーランス・ライター兼エディター。IT専門出版社を経て独立後は、主にソフトウェア関連のITビジネス記事を手がける。もともとバリバリの文系出身だったが、ビジネス記事のインタビュー取材を重ねるうち、気がついたらIT専門のような顔をして鋭意お仕事中。

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