これからの新しい働き方に備え、1%の新しい行動を始めよう。「これからの新しい働き方を考え準備する1dayセミナー」レポート

2020年1月7日(火)
望月 香里(もちづき・かおり)

9月28日(土)、Ryozan Park 巣鴨 ホワイトルームにて、「副業・兼業・フリーランス、これからの新しい働き方を考え、準備する1dayセミナー」が開催された。本イベントは全4部構成の1dayセミナーで、主催は『ブログ飯』(インプレス刊)や『複業のトリセツ』(DMM PUBLISHING刊)の著者である染谷昌利氏(以下、染谷氏)。今後変容していく世の中において、副業未経験の会社員でも今後副収入を得るために身につけておきたい心構えなどを学ぶ場となった。

株式会社MASH 代表取締役 染谷昌利氏

複数の収入窓口を準備しよう

第1部のテーマは「未来予測と事前準備」だ。これまでもAIのあるなしに関わらず、技術発展により消えゆく仕事はあったという染谷氏。スマートフォンの登場により目覚まし時計やデジタルカメラなどの産業規模は縮小し、スマートスピーカーの登場によりパソコンを操作しなくても話しかけるだけで検索や注文が可能になってきた。そんな時代を生き抜く上で大事なのは、「この人に仕事をお願いしたい」と言われるような個人ブランディングを形成してAIと競合しない人材になること。「テクノロジーの進化を恐れるよりも、時代の変化に寄り添うよう、本業でのベースアップ・別ルートから稼ぐ・運用によりお金を産むなど、複数の収入窓口を準備しておくこと」とアドバイスした。

ここで、染谷氏は日本の現状を紹介。人口は減少し物価の上昇による生活費は年々増える中、収入は従来と変わっていないか、あるいは下がっていることや、60歳以上の高齢者世代と将来世代(0~19歳)の生涯賃金の差は1億2千万円になるというデータもあるなど、「今後も世代間、所得、地域、教育・学歴などの格差はさらに広がっていくだろう」と指摘した。

インターネットを利用した
情報発信のススメ

では、そのような時代を生き抜くための必須スキルとは何か。染谷氏は「情報発信力」であるという。「ホームページを作れば売れるのではなく、情報を発信し発信者の信頼度が向上することで商品は売れていく。昨今、自分の知識や熱意、経験などを発信することで資金調達にも繋がる時代では『知識を付け、行動を変え、継続することが大切』」と語った。

また、情報を発信する場としてはインターネットの活用を推奨。その理由は諸経費や集客のリスクが少ないためだ。ただし、特にインターネットは自分の欲しい情報しか取得できない傾向が強いため、視野が狭くなりがち。染谷氏は「トレンドやリサーチを知るには、書店に行ったり街歩きしたりなど、現実社会とネットとの差分を見つけることが大切。アイデア・発信力・メッセージで世界は変わる! ぜひ行動を!」と呼びかけた。

そんな染谷氏にとっての自由の定義とは「選択肢の幅があり、その中で選べること」だとか。「新しく始めることや変化させることにはエネルギーが必要。24時間の1%、15分に変化を加えることで確実に未来は変わる。『自分にとって最適な活動とは何か』を模索しながら、1%で良いので新しい行動をしてほしい」と語り、染谷氏は第1部を締めくくった。

副業がスキルアップ・
給料アップに繋がる

続いて、第2部のテーマは「本業と副業の掛け算」だ。昨今、世間で働き方改革や副業が言われるようになったのは、厚生労働省が就業規則のルールを変えたことによる。日本で副業の経験者は3割ほどで、内訳は時間給制での働き方が多いようだ。残り7割の副業未経験者のうち半分は副業したいと考えているとのこと。しかし、副業には、より高い時間管理能力やコミュニケーション能力が必須になる、と染谷氏は断言する。

また、副業により本業が磨かれたり、副業がきっかけで希望の部署に異動するなど、スキルチェンジや給料アップの交渉材料に活用する人もいるなど、副業のメリットを事例で紹介した。

さらに、副業にインターネットを利用するメリットとして「その場で発送・決済が可能ならばどこでも仕事ができる」「失敗しても金銭リスクが少ない」「伝えるための情報発信力やスキルが身につく」などの点を挙げた。「情報発信力はマーケティングやリサーチ力にも繋がり、新たな自分を発見する一面にもなるので身につけておくと良い。情報を発信する際のコツは相手の悩みを解消するよう、わかりやすい言葉で伝えること」とアドバイスした。

うまい話には気をつけて!

一方で、良い話ばかりではない。「稼ぎたい」という思いを利用した副業詐欺や在宅ワーク詐欺等の相談も多発しているそうだ。染谷氏は「キャリアを積んできた人でも、結果が出始めるには早くて半年から1年かかる」と指摘する。

また、できるだけ好きなことや得意なことを副業にすると良いが、成長するときもあればそうでないときもある。「現状を変えたいならば結果を急がず、とにかく続けること。突き抜けるとそこには何かがある。辞めないことを続けることで成長へと繋がっていく」と染谷氏は力説し、第2部を締めくくった。

情報発信力は自分の信用にもなり、
結果お金もついてくる

第3部のテーマは「フリーランスで楽しく生き残るマインドセットとハウツー」だ。よく「フリーランスは不安定」と言われるが、会社員でも変わらない。会社員の給料は一局集中で、0になれば安定はなくなる。フリーランスでも会社員でも収入を一局集中にせず、「可能であれば数社から分散して収入を得ると良い。金額は経験を積めば自ずと増えていくので、まずは広くやってみること。昔の成功事例やルールではなく時代の流れを読み取り、思考を変えていかなければ時代に合わなくなる」と染谷氏は示唆した。

さらに、過去の栄光にすがらず、伸びる業界に自分の強みを重ね、時代の波に乗ることを推奨する、と染谷氏。自身の収入について「クリック課金型や成功報酬型(アフィリエイト)などインターネット関連の仕事が多いが、今ではネット収入の他に、セミナーや企業へのコンサルティング、オンラインサロン、書籍執筆など、現実社会とインターネット上との収入のバランスを取り、一極集中しないようにしている」と紹介した。

染谷氏が強く「情報発信力」を推す理由は、収入が増えやすくなるからだ。「自分の魅力を伝えるため入念に準備して情報を発信すれば、自分の信用にも繋がり、結果商品が売れるようになる。それが、最終的には安定した収入に繋がっていく」とのこと。

また、自分を中心としたコミュニティ作りの重要性にも言及。「インターネットは狭い世界の重なり合いで成り立っている」と指摘した上で、自分中心のコミュニティ作りで大切なことは、まず「自分がどうしてやるのかメッセージを発信し、心地良い場作りと、その場を気に入ってくれた人にコミュニティの存在を伝えること」だと言う。コミュニティ運営で気をつけていることは「メンバーがどうしたいかを察し、選択肢を増やす中でモチベーションを保つように努めること」。また「リーダーは万能でなくて良く、人に頼れることも大切」とリーダーに陥りがちな点にも触れ、第3部を締めくくった。

自分の独壇場は
ビジョンを共有することから

第4部のテーマは「Be Unique!(独壇場を創り出せ)」だ。巷では「ブルーオーシャンを狙え」などと言われているが、本来の意味は「ブルーオーシャンは探すものではなく自分自身で創り出すもの」である、と染谷氏は言う。それには競争率の高い場で戦わないことが重要で、自分のベースに何かをプラスすることで自分の独壇場ができ、強みになる。

その独壇場を作り出した例として、ある美容師の紹介をした。交通の便があまり良いわけではない美容室が、SNSで好きなサッカーの情報を発信していたら「あなたと話がしたい」と美容室にお客が訪ねてくるようになったという。

「残念ながら価格と商品の質は必ずしも比例しないことが往々にしてある。みなさんも金額に見合わないサービスを受けたことがあるだろう。そのようなお店は長続きしない。人の役に立ち、そしてその場所、その人からしか受けられないサービスを提供して、顧客に愛されているお店や人を目指し『あなたにお願いしたい』と声がかかるようになろう。そうなれば他社と競争せず、あなただけの独壇場、そうブルーオーシャンを創り出すことができる」と染谷氏は断言した。

会場はクリエイターなどが集まるシェアハウスの一室。トレーニング器具もある

「人は驚くほど動かず、意識しないと変わらない。少しずつでも良いので、普段と違うことをやってほしい」と染谷氏は呼びかけ、1日にわたるセミナーを締めくくった。

* * *

筆者自身、味見するような感覚で、これまで未経験のことでも、できる範囲でやってみようと心掛けている。経験しなければ自分に合うか合わないか分からないことでも、人は自分で自分の可能性を狭めていることが多分にあると感じている。いつもと違う茶器でお茶を入れるなど、今の習慣に1%異なることを追加することを筆者もオススメしたい。あなたの未来を変えるのは、あなた自身です。

著者
望月 香里(もちづき・かおり)
保育士資格を活かして、放課後児童クラブで勤務しながらライターもこなす二刀流。ものごとの始まり・きっかけを聞くのが好き。低山トレッキング・NHKフロンティア・世界街歩きが好き。
ブログ:https://note.com/zucchini_232

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