箕輪厚介が独自視点で生き方、働き方を語る! 自分が正解だと思えば正解。「自分が何を良いと思うか」が大事―Guild Summitレポート
個人と組織がより自由で、よりフレキシブルに調和する未来を考える「Guild Summit ~会社員でもない、フリーランスでもない、あたらしい働き方~ #guildsummit」が4月11日(木) GINZA SIX 株式会社コンカーセミナールームにて開催された。本セミナーのテーマはこれからの働き方と組織の在り方について。主催はランサーズ株式会社、主催者はランサーズCMO/カーマンライン株式会社 代表取締役の許 直人さん。
当日の模様を、フリーライターの望月香里がレポートする。
組織と個人との関係はシームレスな時代へ
セミナーの冒頭で、主催の許 直人さんが開会の挨拶を行った。
いま、フリーランスの中でも組織の中でバリバリに勝ち抜いてきた“個”が集結し、「ギルド」集団を形成している。ギルドの特徴として「会社を通さなくても仕事がある」「経済成長が第一義ではない」など、楽しさ・自分の価値観を大事に仕事している点が挙げられる。
「仕事に対して、組織では計画通りにやる再現性が、 個人では創造性がそれぞれ長けている。これからは組織と個人が互いを触発する『創造的コラボレーション』の時代がくるのではないか」と許さんは言う。自分の周りもそうだが、確かに組織と個人の境界線が緩くなってきているように感じられる。
箕輪厚介が独自の視点で語る
―「やりたいことをやる」働き方
続いて、ランサーズ執行役員の後藤信彦氏さんによる乾杯の挨拶とライトニングトークが行なわれた後、いよいよ本イベントのメインであるスペシャルゲスト箕輪厚介氏さんのトークへ。
箕輪さんが主催するオンラインサロン「箕輪編集室」は、クリエイティブに興味のある人が多く参加しているという。箕輪さんが編集長ということもあり、はじめは本づくりがメインの関係者が集まったが、箕輪さんの「編集=文字・本を書くだけではないだろう」という考えから多方面にわたって動いたことで、動画・イベント・デザイン・コミュニティなどの関係者による「裏の実働部隊」ができており、いま最も頼りにしている存在とのこと。
箕輪さんをはじめとする彼らの行動理念は「雇う・雇われる」ことによる金銭的な報酬ではなく、「好き・やりたい」という「感情の報酬」を得ることだ。箕輪さん自身が能動的に関わることで仕事のクオリティが上がってきており、今では企業から直接箕輪編集室へ仕事の依頼が来るようになっているという。
最近、周りの起業家たちがよく言うのは「もう、不合理にしか正解がない」ということ。これまでストイックに「1秒も無駄にしたくない」と言っていた彼らが今、「真剣に」無駄を取り入れている。自分が熱狂していても、その熱量が外に伝播しなければ会社にファンがつかずビジネスにつながらない。「ホットなヤツがひとりいれば成功できる」という方程式が答えになりすぎてしまったのではないかと指摘。
そして、箕輪さんは断言する。
「『経営者』のやることは、それぞれの創造性とモチベーションを100%発揮できる場を作り、異常な種(アイデア)をビジネスと結びつける文脈を作る。ただそれだけ」
「やりたい」という熱量でやっている方が、最終的には勝つ。人間がお金を生み出すのは、ゼロかイチの「クリエイティビティ」と、この人のために頑張ろうという「エモーション」の2つだけだと言うのだ。
また、組織の中で仕事を楽しめていない場合の対策として大事なのは、「自分」がドラマの主人公のように、どうやって会社を変えて行こうかと「ストーリーを楽しもうとする」こと。どんな所にいても「主語は自分!会社や上司でなく『市場』に評価」されたら良い」と箕輪さんはいう。
「スポーツの世界はビジネスの10年先を行っている。『監督と仲が良いから』という考え方はもう通用しない。ある意味、健全な社会になってきたのではないか。これまでの日本人は『奴隷の幸福』と揶揄されてきたように、言われたことだけをやっていれば良かった。その体制自体が緩かったのだと思う」と振り返る。上司や会社ではなく市場を見るようになれば、すごく自由。一番大事なのは「誰」の部分。箕輪編集室が始まって2年になるが、メンバーも程良い距離感でいてくれるそうだ。
自分でなかなか行動に移せない人へのアドバイスとして、はじめは「あなたがいたから成功できた」「助かったよ」というクレジット意識・成功体験を意識していると話す。大企業の人たちもどこかモヤモヤしたものがあるからこの場にいるのかもしれないが、無理に変わろうとしなくて良い。「めいめいが好き好き」で良いのだ、と。
今、SNSの影響もあって、世の中に「とにかく行動すること」が良しとされる風潮があるが、これに正解はない。行動する人は時代とか関係なく、何も言われなくても行動する。色々な人がいて良い。「僕だって今、メディアにもてはやされているだけだ」と謙遜の言葉も。
最後に、来場者へ向けて応援メッセージを送った。「ロールモデルもキャリアモデルも自分が正解だと思ったら正解。僕たちは生まれてからの人生史上、一番自分で生き方を選べる時代に生きている。エッセンスの共有はできるが、自分が思うように生きれば良い。『自分が何を良いと思うか』が大事。人に影響されなくて良い。本当の幸せとは『自分の幸せは何か』を知ること」と力強く語り、トークを締めくくった。
ビジネスリーダーが語る
「組織」「仕事」そして「働く」ということ
本セミナーの最後に、「大企業のリーダー経験者が、ギルド型組織を志向する理由とは」というテーマでパネルディスカッションが行われた。参加メンバーは、Bizconcier 代表取締役の小井戸 洋さん、博報堂プロダクツ ギルドクリエーション部 部長の藤原弘治さん、UZUMAKI代表取締役の工藤崇志さんの3名に、ファシリテーターを務めたコンカー株式会社 マーケティング本部長の柿野 拓さんだ。
仕事の受注に関して
- 藤原:よくある問題として大企業はギルドを、ギルドは大企業をなかなか見つけられない現状がある。博報堂の社内でも、どの人が何をできるか相互的に知らないことがよくある。
- 小井戸:紹介しなくても繋がれるプラットフォームをサービス化していけたら。
- 工藤:仕事の依頼は前職のOBネットワークや知り合い経由からの依頼が多い。
会社にしてもフリーにしてもギルドにしても人は結局「群れる」。そもそも群れることに関して
- 工藤:個人事業主(フリーランス)で仕事していた時、自分の得意分野の切り売りをしているようだった。チームとして動きたかった。会社でもなく「コミュニティ」がベースにあった上で仕事をしてみたいという想いがあった。同じ仕事でも「誰と」やるかが大事。
- 藤原:事業開発にはエンジニア・ディレクション・デザイナーといった人たちが起点で広がっているケースがあり、結果を出すスキルを持った人達と仕事をするための「ネットワーク」を作り始めたところだ。
- 小井戸:チームでやるから大きい事もできる。群れる理由は楽しいからではないか。自分のポリシーとして、一緒に仕事したい人としかやらない。そういう人たちとは友達以上恋人未満みたいな感じの関係性だから、一緒にいて楽しい。それが仕事のモチベーションにも繋がっている。
仕事の案件について
3名とも、クライアントとの相性を重視。コミュニケーションが取れるか、信頼して大丈夫か、その上で自分たちができる事はあるか、案件と自己スキルのすり合わせによるとのこと。また新規のお客さんとの付き合いは、リスクを軽減するため契約期間を短くして小規模の仕事をする。仕事内容を細分化して請負契約はしないなど、お互いが幸せになる方法をとっている。
「働く」とは
- 藤原:「生きるため」を前提に、自分の存在や能力が認められることで充足感があるもの。同じ方を向いて一緒に乗り越えられる仲間と絆の繋がりができていくのが楽しいと感じるから続けていく。
- 工藤:「生きるため」を超えた段階でお金にモチベーションを感じなくなった。だから「誰といたいのか」「何をしたいのか」「どうやったら楽しいのか」が大事。今は趣味と仕事の垣根がなくなってきている。
- 小井戸:サラリーマン時代はミッション型でやりきるタイプだったが、独立してからは仕事の規模よりも「やる価値」「やる意味」「誰とやるか」へと価値の軸がずれてきたように感じる。今は楽しさや人との繋がりなどとバランスをとっているが、これもきっと変わってくるのだろう。
* * *
本セミナーの参加者は、フリーランス3割・箕輪さんファン3割・それ以外は会社員という割合だった。ビックネームと思われがちな箕輪さんだが、実際に話を聞いてみると自分の今の状況をとても冷静に俯瞰しており、卓越した方々に共有するどこか少年のような純粋さを感じた。「人生史上自分で生きる道を選べる時代に生きている」という言葉には、深くうなずけるものがあった。この時代のグルーブ感を味方に付けられるか否かで自分を取り巻く環境は変わってくると思っている。
いま、大切なのは「自分軸」と「誰とやるか」ということなのだろう。組織と個人の在り方は確実に変容している。考え方も、働き方も、生き方も、それに伴って変化・変容していくのが本来の自然の摂理だ。年号も「令和」となり、お互いがお互いを許容しあう働き方が今後は溢れてくるのではと思う。「正解なんてない。自分が正解だと思ったらそれが正解」。とても印象に残った箕輪さんの言葉。今後も、時代の変化・自分の変化を楽しんでいきたい。
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