「直訳からの脱却」で伝わる! 英語が使えるようになるためのポイント

2022年11月11日(金)
宮園 順光(みやぞの よりみつ)

3. 直訳ではなく「情報」を見よう

最後は、今回の一番のテーマである「直訳から脱却する」というものです。ただし、予めお伝えしておくと、全ての「直訳が悪い」というわけではありません。単語や表現でも、日頃から知識を増やすことで、そのまま訳せるものはありますよね。

例えば、「椅子」はchairだし、「洗濯機」はwashing machineです。こういった一般的なものは難しく考える必要はなく、分からなければ調べれば良いだけです。直訳できるものを正しく、かつ自然に直訳できるのであれば、その方法でも全く問題ありません。

ただ、問題なのは「常に単語を一語一句直訳しなければならない」と考えてしまうことです。難易度の高い単語や表現、ましてや文の場合は、一語一句直訳しようとすると難易度はかなり増します。これは英語の上級者でも難しいですし、プロの通訳でも無理と言えます。

頭の中で「まずは日本語で考えてしまう」ことは仕方ないですが、日本語の情報を英語で伝えることが難しいと感じる人は、意識的か無意識的かに関わらず「『日本語の単語』にマッチする『英語の単語』に直訳するべきだ」と考えている傾向があります。

英語を使う際に、会話の目的が何か忘れないようにしましょう。その目的は、単語や文の形を直訳することではなく、「情報」を相手に正しく伝えることです。

「訳」を「日本語の単語や表現を英語に直訳するという意味だ」と考えるのではなく、「情報を正確に伝えるという意味だ」と考えることが大切です。そうすると「これは(直訳すると)英語で何て言うのかな?」とは考えなくなるため、不自然な間ができたり、日本語を英語にすることが難しいと感じることが減ってきます。

上図に示すように、情報を伝えるためには「3つのステップ」があります。まず、①「日本語」で伝えたい情報を考えます。次に、それを確認することで②の伝えるべき「情報」が分かります。そして、その「情報」を③のように日本語の直訳ではなく、情報を自分で言える英語で表現する、という流れを意識しましょう。

このステップに沿って行うことで「日本語から英語へ一語一句変換しなければならない」という考えから解放されます。

ちなみに、このサイクルでとても重要な点がもう1つあります。「情報を整理して英語にする際に、情報を具体的にする」ことです。最後に、下記の例文を使って「直訳」ではなく「情報」を伝える方法を見てみましょう。

2月末までにお支払いいただく必要があります。

「直訳する」という意識がある場合、「2月末」をFebruary end、「お支払いいただく」をpay、「必要」をneedと訳して、それらを使って文を作ろうとしてしまいます。

これで完成する英文には、下記のようなものが考えられます。

You need to pay by February end.

これは「いかにも直訳」という文で、かつYou need to payという言い方がとても強いですよね。確かに意味は通じるのかもしれませんが、直訳したがために、相手にとって不快な文になってしまっています。

ではどうすれば良いのでしょうか。思い出してほしいのは、文の形を訳すのではなく「情報」を正しく伝えることが目的であるという点です。そのためには、内容が具体的であることが大切なのと同時に、言い方にも注意が必要です。

それでは、いくつか「情報」を意識して作った英文を見てみましょう。

Please complete the payment by the end of February.
May we ask you to make the payment by the end of February?
The payment needs to be made in February.

先の文にあったYou need toは強いので、それを避ける言い回しができる①の文や、少し弱くなりますが②のように依頼する形でも良いですね。

また「2月末」が出て来ない場合は「2月中」という意味だと考え、in FebruaryにしてもOKです。

おわりに

英語を話すときに、まず頭の中で日本語の文を考え、それを英語に直訳したい気持ちは分かります。しかし、その文は相手にとって分かり難い文になってしまったり、誤解が生じる文になってしまう可能性があります。何より、直訳できずに迷ってしまうことも多くあるでしょう。単語を一語一句訳すのではなく、「情報」を整理して伝えることを意識してください。

また、他にも結論を先に述べたり、「誰が」「誰に」「何をする」という情報を正しく伝えることも意識しましょう!

著者
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン 取締役。小学校〜高校卒業までをベルギーで過ごす。上智大学を卒業後、大手英会話スクールにて7年間教務主任として多くのクラスを担当。外国人講師の指導にも従事。マンツーマン英会話教室の代表を経て、2014年から現職にて語学プログラムの総監修を務める。これまで1万人以上にレッスンを提供。TOEIC990点、英検1級。

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