「直訳からの脱却」で伝わる! 英語が使えるようになるためのポイント
3. 直訳ではなく「情報」を見よう
最後は、今回の一番のテーマである「直訳から脱却する」というものです。ただし、予めお伝えしておくと、全ての「直訳が悪い」というわけではありません。単語や表現でも、日頃から知識を増やすことで、そのまま訳せるものはありますよね。
例えば、「椅子」はchairだし、「洗濯機」はwashing machineです。こういった一般的なものは難しく考える必要はなく、分からなければ調べれば良いだけです。直訳できるものを正しく、かつ自然に直訳できるのであれば、その方法でも全く問題ありません。
ただ、問題なのは「常に単語を一語一句直訳しなければならない」と考えてしまうことです。難易度の高い単語や表現、ましてや文の場合は、一語一句直訳しようとすると難易度はかなり増します。これは英語の上級者でも難しいですし、プロの通訳でも無理と言えます。
頭の中で「まずは日本語で考えてしまう」ことは仕方ないですが、日本語の情報を英語で伝えることが難しいと感じる人は、意識的か無意識的かに関わらず「『日本語の単語』にマッチする『英語の単語』に直訳するべきだ」と考えている傾向があります。
英語を使う際に、会話の目的が何か忘れないようにしましょう。その目的は、単語や文の形を直訳することではなく、「情報」を相手に正しく伝えることです。
「訳」を「日本語の単語や表現を英語に直訳するという意味だ」と考えるのではなく、「情報を正確に伝えるという意味だ」と考えることが大切です。そうすると「これは(直訳すると)英語で何て言うのかな?」とは考えなくなるため、不自然な間ができたり、日本語を英語にすることが難しいと感じることが減ってきます。
上図に示すように、情報を伝えるためには「3つのステップ」があります。まず、①「日本語」で伝えたい情報を考えます。次に、それを確認することで②の伝えるべき「情報」が分かります。そして、その「情報」を③のように日本語の直訳ではなく、情報を自分で言える英語で表現する、という流れを意識しましょう。
このステップに沿って行うことで「日本語から英語へ一語一句変換しなければならない」という考えから解放されます。
ちなみに、このサイクルでとても重要な点がもう1つあります。「情報を整理して英語にする際に、情報を具体的にする」ことです。最後に、下記の例文を使って「直訳」ではなく「情報」を伝える方法を見てみましょう。
2月末までにお支払いいただく必要があります。
「直訳する」という意識がある場合、「2月末」をFebruary end、「お支払いいただく」をpay、「必要」をneedと訳して、それらを使って文を作ろうとしてしまいます。
これで完成する英文には、下記のようなものが考えられます。
You need to pay by February end.
これは「いかにも直訳」という文で、かつYou need to payという言い方がとても強いですよね。確かに意味は通じるのかもしれませんが、直訳したがために、相手にとって不快な文になってしまっています。
ではどうすれば良いのでしょうか。思い出してほしいのは、文の形を訳すのではなく「情報」を正しく伝えることが目的であるという点です。そのためには、内容が具体的であることが大切なのと同時に、言い方にも注意が必要です。
それでは、いくつか「情報」を意識して作った英文を見てみましょう。
①Please complete the payment by the end of February.
②May we ask you to make the payment by the end of February?
③The payment needs to be made in February.
先の文にあったYou need toは強いので、それを避ける言い回しができる①の文や、少し弱くなりますが②のように依頼する形でも良いですね。
また「2月末」が出て来ない場合は「2月中」という意味だと考え、in FebruaryにしてもOKです。
おわりに
英語を話すときに、まず頭の中で日本語の文を考え、それを英語に直訳したい気持ちは分かります。しかし、その文は相手にとって分かり難い文になってしまったり、誤解が生じる文になってしまう可能性があります。何より、直訳できずに迷ってしまうことも多くあるでしょう。単語を一語一句訳すのではなく、「情報」を整理して伝えることを意識してください。
また、他にも結論を先に述べたり、「誰が」「誰に」「何をする」という情報を正しく伝えることも意識しましょう!
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