正しく説明できる? 意外に注意が必要な「手順」の説明
はじめに
皆さんは、英語で手順を説明したことはありますか? 会話であれば、例えば駅でどこかへの行き方を尋ねられたとか、文書であれば手続きの流れを説明するといったことが考えられますね。
手順を説明する際は、情報を整理して分かりやすく伝えることがとても重要です。それが上手くできないと、いくら相手のことを思って一所懸命説明しても、相手には伝わりにくくなってしまう可能性もあります。
今回は、英語で手順を伝える際、どのようにすれば相手に分かりやすく説明できるのかを紹介します。もし、英語で手順を説明する機会があれば、ぜひ積極的に試してみてくださいね。
ちなみに、今回は日本人であれば恐らく誰もが知っている「袋のインスタントラーメンの作り方」を例に説明していきたいと思います。それでは、早速見ていきましょう!
手順の説明 その1:必要な単語を考える
手順を説明する際にまず整理したい点は「重要な単語は何か」ということです。これを中心に手順の説明を考えると、重要な情報を伝え忘れることも減る上に、文も作りやすくなります。
なお、1つ覚えておいてほしい点は、ここでの「単語」とは、基本的に名詞を指しているということです。もちろん手順を説明する際には動詞もとても重要になりますが、まずは名詞を並べることで「あれを使ってこうする」と考えられる状態にする方が、特に日本人にとっては説明がしやすくなります。
それでは、袋ラーメンの作り方の手順を説明する際に必要な単語を考えてみてください。下記のような単語は思い浮かびましたか?
- pan(またはsaucepan):鍋
- water:水
- noodles:麺
- seasoning packet:調味料の小袋
- chopsticks:箸
- soup bowl:お椀
まずこれらの単語を出すことで「これらを使って何をする」という流れを考えることができるため、説明もしやすくなります。
手順の説明 その2:重要な点を考える
単語を出した後は「手順を説明する際の重要な点は何か」を考えるようにしましょう。重要な点とは「それらを伝えることで手順の全体像が相手に伝わるポイント」です。手順を伝える際に、仮に文字数制限がある場合は「絶対にこれは伝えなくては」という手順が出てきますよね。そのときに出てくるものとイメージしてもらうと良いかもしれません。
手順1で出した単語に「何をする」という動作を加えることで、全体像が上手に伝えられるようになります。
それでは、実際に手順1で出した名詞に動詞を加え、手順の文を作ってみましょう。ただし、その際は文頭に動詞を入れて命令形の文を作るようにしてください。通常の文ではYouといった主語を入れて文を作りますが、手順を述べる際にYouから始めると、むしろ不自然に聞こえてしまう可能性があります。
こそれを踏まえて、手順1の名詞を使った英文を考えると下記のようになります。
- Boil some water in a pan.
鍋で水を沸騰させましょう。 - Put the instant noodles in the pan.
ラーメンを加えましょう。 - Open the seasoning packet and add it to the noodles.
調味料の小袋を開けて、ラーメンに加えましょう。 - Stir the noodles gently with chopsticks.
箸で麺をやさしく混ぜましょう。 - Pour the noodles and the noodle broth into a soup bowl.
スープのお椀に麺と汁を入れましょう。
どうでしょうか。皆さんがインスタントラーメンを作る際の手順で、特に重要なポイントとして挙げるとしたら、大よそ同じような感じになるのではないでしょうか。
手順を説明する際は「単語を考えて」「動詞を加え」「命令形で重要な点を伝える」文を作るようにしましょう。
手順の説明 その3:細かい点を考える
ひとまず説明文は完成しましたが、これだけでは上手に手順を説明できていないと考えた人も多いと思います。インスタントラーメンの作り方を説明する際は手順2ももちろん重要ですが、もう少し補足、要するに細かい点を伝えてあげることで、より美味しいラーメンを作ることができます。
そこで3つ目のステップとしては「細かい点を考えて文を加える」ということです。細かい点と言っても、実際にインスタントラーメンを作る手順を説明する上で、どういった内容を加えれば良いでしょうか。「これを伝えると相手は助かるだろうな」という内容を、手順2で作成した説明文の重要な点の後に少しだけ加えてみましょう。
ちなみに、細かい内容は、重要な点の後だけではなく、前に置くこともできます。
- Boil some water in a pan.
Add 500 milliliters of water to the pan. Place it on a stove and heat the water until it’s boiled.
500 mlの水を鍋に入れます。鍋をコンロにかけて、水が沸騰するまで熱します。 - Put the instant noodles in the pan.
Push the noodles into the water a few times with chopsticks.
箸を使って麺を数回水の中へ押してください。 - Open the seasoning packet and add it to the noodles.
Stir it so that the seasoning is mixed well with the boiling water.
かき混ぜて、調味料が熱湯としっかり混ざるようにしましょう。 - Stir the noodles gently with chopsticks.
Cook the noodles for three minutes until the noodles are soft and separated from one another.
麺が柔らかくなり、ほぐれるまで3分間調理しましょう。 - Pour the noodles and the noodle broth into a soup bowl.
Eat the noodles with chopsticks.
箸でラーメンを食べましょう。
このように、重要な点の後に相手が助かる、細かい情報も足すようにしましょう。細かい情報も命令形で伝えることが多くありますが、必ずしも命令形である必要はありません。
手順の説明 その4:順序表現を付ける
最後の手順では、ここまでの説明に流れを作るために「順序表現」を付けていきます。まずは、どのような順序表現がよく使われるかを3つのパートに分けて紹介します。
- first of all, first, the first step, to start the process,
- second, next, then, and then, after that, following this, the next stage is, before, after, once
※これらは複数回使うことが可能
- finally, the final step, last, lastly, the last step, in the end
それでは、これらの順序表現を使いながら、これまで考えた文をつなげてインスタントラーメンを作る手順を説明してみましょう。
- First, boil some water in a pan.
Then, add 500 milliliters of water to the pan. Place it on a stove and heat the water until it’s boiled. - Next, put the instant noodles in the pan.
And then, push the noodles into the water a few times with chopsticks. - After that, open the seasoning packet and add it to the noodles.
Once you have done that, stir it so that the seasoning is mixed well with the boiling water. - Then, stir the noodles gently with chopsticks.
Following this, cook the noodles for three minutes until the noodles are soft and separated from one another. - Before you eat them, pour the noodles and the noodle broth into a soup bowl.
Finally, eat the noodles with chopsticks.
このように、順序表現を各手順の説明文の冒頭に入れることで、時系列を整理できるようになります。
おわりに
最初は少し面倒に感じてしまうかもしれませんが、このような流れで手順を説明する方法を身につけることで、徐々に最初から手順4に飛んで説明を口頭、または文章で上手に伝えられるようになります。まずは、身近なことの手順を英語で説明する練習を行ってみてはいかがでしょうか。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
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