センサーが人生を変える
限りなき成長
第3回では、センサーがマネジメントの常識を変えることを述べたが、最終回の今回は、知識成長と人生がテーマである。
成長のマネジメント
石川さんは、AB-1を使った新しいワークスタイルを提案する部署に所属していた。新製品AB-1の展示会準備が進んでいる中で、明日、石川さんは大手顧客のB社に提案する予定だ。ところが、提案書に何かが足りない気がして、提案書を見つめていたのだ。
その時、耳に飛び込んできたのが「ラシンバン」という言葉だ。実は、少し前から、隣の部署からこの言葉がよく聞こえていた。気にかかって、隣の部署の斉藤さんに聞いてみたら、「知的活動に関するヒント」を与えてくれるビジネス顕微鏡の機能とのこと。石川さんも使えるはずだが、気が進まず、そのままになっていた。
ふと、その「ヒント」を見てみようと思った。壁の大型ディスプレーを操作すると、「知の羅針盤」の結果として「牛を飼いならす 牧牛(ぼくぎゅう)」が表示された(図1)。
これは8個の分類の1つで、牛のたとえで説明されている。探していた牛(知)を見つけて、つかまえて、その次に「飼いならす」段階が来るという。そこでは、つかまえた牛の多様な面に気づき、その変動やゆらぎを知り、より深い知の理解に至ることが「飼いならす」ことだという(詳細は3ぺージ)。
そこに、隣の課の斉藤さんがやってきて、「牛は暴れていますか」と聞いてきた。「うまくいえないんですが、新しい働き方を押しつけると、職場にやらされ感が増すんじゃないかと、どこかで心配しているんですよ。そこをまだ飼いならせてないんです」そう話してみて、石川さんは、そこに答えがあることに気づいた。早速、資料に加えたのは「変化を飼いならす新しい働き方。機会発見に向けた行動は、御社にありますか」というフレーズだ。
1ヶ月後。石川さんは毎朝出勤すると、必ず今日の「知の羅針盤」を見て、「A×B=X」という今日の行動の方程式をつくるようになった(前回および次ページ参照)。「羅針盤」のアドバイスを活用してから考え方がポジティブになった。データに潜む法則性は、仕事も人生も楽しみ、そして成長するための強力な後押しをしてくれるようだ。