ファイルサーバーを横ぐしカイゼン
効率的なバックワックを実現する「ネットワークバックアップ」
複数台のファイルサーバーが存在すると、バックアップ作業やデータ管理などが煩雑になる。そこで検討すべきものが「ネットワークバックアップ」(図3)である。これは、バックアップデータをローカルではなくネットワーク経由で取得する手法であり、バックアップ作業を集中管理できる。
ただし、注意すべき点として、ネットワークのスピード(帯域)など環境によっては、期待するバックアップ性能にならないことが挙げられる。また、大量のデータがLANに流れるため、通常稼働しているシステムとの兼ね合いを考慮しなければならない。必要であれば、バックアップ専用のLANや、ストレージ専用ネットワークであるファイバチャネルの導入なども検討してみたい。このネットワークバックアップはマイクロソフトのData Protection Managerも対応しているほか、数多くのバックアップソフトウェアも対応している。
ネットワーク環境を変更できない、もしくはWAN(Wide Area Network:広域ネットワーク)接続のためネットワークバックアップが難しい場合は、「重複除外バックアップ」が検討できる。特に上記のケースはバックアップ対象のファイルサーバー側で重複除外処理を行うタイプのソリューションSymantec NetBackup PureDiskやEMC Avamarがお勧めだ。これらのソリューションでは、すでにバックアップしたファイルは除外してバックアップするため、帯域とバックアップ時間を縮小できる。
「ログ監視」ツールをうまく使いこなして解決
複数のファイルサーバーを運用しているなら、アクセスログやイベントログを監視するツールが便利だ。複数に渡るファイルサーバーのログを解析して、レポート形式で出力することができる。このレポートから、アクセス履歴や操作履歴などを確認することができ、不正アクセスなどの問題解決に重要な役割を果たすことができる。
また、セキュリティーに関する対策としては、OSやアプリケーションのパッチの適用も横ぐしに行うことが可能だ。マイクロソフト製品では、WSUS(Microsoft Windows Software Update Service)やConfiguration Manager 2007にて対応可能である。そのほかにも高度な処理を行うソリューションも市場には存在するので、ニーズに合わせて検討することをお勧めする。
このように、複数のファイルサーバーを横ぐしにして運用を効率よく行うソリューションをうまく活用することで、既存の環境をカイゼンすることが可能だ。次回は、さらに一歩進んで、分散したファイルサーバーをNAS(Network Attached Storage)で物理的に統合することで、運用を一元管理するアプローチを紹介する。