スタートアップの4つのタイプを特定する方法 、どのようなビジネスがあるか理解しているか?
ゲスト著者のGal Nachum氏は、企業家で5Xの創設者でもあるスタートアップのよき指導者である。
策を講じる方法は複数あるし、スタートアップを分類する方法は多数ある。分類のフレームワークを役立つものにするには、単に有益なもの以上にする必要がある。それはスタートアップの本質を理解するのに役立たなければならず、そのポテンシャルを特定し、定量化するように導くものでなければならない。
ビジネス領域(例えば、サイバーセキュリティやヘルスケア)、対象顧客(B2CまたはB2B)、あるいは技術領域(ハードウェアまたはソフトウェア)によってスタートアップを分類するといった一般的な分類方法は有益である。しなしながら残念なことに、それらの方法は、スタートアップを評価する方法といった点についてはほとんど役立たない。それを行う際には、代わりに以下を参考にしてほしい。
スタートアップは必要性プラスソリューション
スタートアップは通常2つのものの組合せであり、関心のある問題つまり必要性とその問題を解決するためのアプローチである。大きく価値のある問題を思いつくことは簡単だが、それらは一般的な企業家の枠を超える傾向がある。(永遠の平和や、あるいは無制限のクリーン・エネルギーのソリューションを持っているなら、私に電話をしてもらいたい。きっと一緒に何かできるだろう。)
チャレンジは単に価値がある問題を見出すことだけでなく、それを解決するためのアプローチを見出すことでもあるのだ。問題が明白な場合はあるが、ソリューションはつかみにくいものだ。しばしば、問題そのものを特定するのが難しく、はっきり特定され理解されれば、その解決方法は明白になる。
我々は問題とソリューションの組合せを探しているのだ。いろいろなタイプの問題、さまざまな種類のソリューション、そしてそれらの関係性を見ることによって、洞察を探り出すことができる。
3種類の主な問題または必要性として、「人間の必要性」、「ビジネスの必要性」、そして「技術的な必要性」がある。
「人間の必要性」は、我々が人間として、価値があると判断するものである。大部分の消費者系ベンチャーは、人間の必要性に取り組んでいる。FacebookやApple、Netflixは、まさにそれを行っている有名なベンチャーの例である。
「ビジネスの必要性」は、通常は組織、企業がある意味よりよく機能するのを支援するものである。ほとんどのB2B(企業対企業)ベンチャーは、このカテゴリーに該当する。IBMやSalesforce、Slackは、ビジネスの必要性を満たしている有名企業の例である。
「技術的な必要性」は、システムや構成要素がよりよく機能するのに必要なものである。ほとんどのあらゆるシステムまたは構成要素のために、それがある意味ではよりよく機能するか、そのためにより高価でない必要がある。この必要性はユビキタスである。Intelがより速いクロック・スピードや低い消費電力値でCPUを開発する場合、それは技術的な必要性に取り組んでいるのである。技術的な必要性があるビジネスまたは人間の必要性を最終的に満たすことが真実である一方で、その特徴は異なるので、我々はそれを別々のカテゴリーと考えるだろう。
ソリューションを見るとき、議論する価値のある2つの主要なカテゴリーがある。技術的な進展と、確実なエンジニアリングを必要とするソリューションであるが、大きな技術的な進展ということではない。
技術的な進展は、それまで存在しなかった能力で、おそらくほかの誰もできないがあなたができることである。解読するのが難しいか使いやすい新たな暗号化アルゴリズム、より高エネルギー密度のバッテリー、そして燃費が2倍の自動車エンジンであるかもしれない。それは確立した市場か新しい市場で起こり得る。
技術的な進展は、例えばエネルギー容量が2倍の携帯電話バッテリーを開発することのような確立した市場がすでにある製品の優れたバージョンを生産することができることを意味するかもしれない。火星へ飛ぶことができる宇宙船を製造することができたとすると、確かに技術的な進展ではあるが、星間宇宙船は、現在確立した市場ではない。
上記分類に基づいて、それらが表す必要性とソリューションに基づくスタートアップ用の共通のテンプレートを見ることができる。
人間の必要性とビジネスの必要性は、技術的な進展をあまり必要としない。確実なエンジニアリングは、通常十分である。これらの種類のスタートアップのために答えられなければならない2つの重要な質問がある。これは本当に必要性があるのか、そして提案されたソリューションはそれを本当に解決しているのか?
それらはその領域の専門家への質問である。ビジネスの必要性に関しては、その領域の専門家はこの産業を十分に理解している人だ。人間の必要性に関しては、本当に等価な物がビジネス領域の専門家になくて状況はより複雑である。現在の共通する知恵として、重要な質問に答える唯一の方法は、市場がデータ解析論技術を用いた我々のソリューションにいかに反応するかを測ることである。
確立した市場における技術の必要性に関する重要な質問はかなり異なる。これは確立した市場なので、必要性についての実際の質問がない。唯一の問題は、それがなされ得るかどうかということだ。このソリューションはおそらく技術的な進展のカテゴリーだろう。ここでの重要な質問に答える人は、進展を発明したか、ソリューションをデザインした研究者または科学者だ。
新しい市場での技術的な進展のケースは、おそらく最もやりがいのあるものだろう。ここでは、それがなされるかどうかだけでなく、それで何がなされたのかについて尋ねる必要がある。実現できそうな局面が技術的な進展を発明した者によって明らかに述べられなければならない一方、ビジネスの局面は不透明だ。ビジネス領域がまだ決定されていないので、ビジネスの専門家を雇用することはできない。この場合、その発明とその可能性がある用途の可能性を心に描くために、起業家的な展望をもつビジネスの革新者が必要とされる。それらが定められれば、ビジネスの専門家はその発明の特定の使用法を確認することができる。
このことは、以下の表にまとめることができる
仮にもこれは粗い分類であり、いくらか重複していることもある。技術的なブレイクスルーは確立された市場でのニーズを満たしたり、また同時に、新たな市場に異なった形で適用されることがある。それでも、スタートアップにとって聞いておくべき重要な問題を見極めたり、また、その答えを出す為にどのようなタイプの人々が信頼できるか、という点において、こうした分類は有用となる。
つまり、ほとんどのB2Bのスタートアップを含むタイプ2のスタートアップを始めたいのであれば、近くにその筋の専門家が必要となる。テックニードのカテゴリにおいては、科学者は常に必要不可欠である。タイプ4のスタートアップは、複数のリーダーが必要となるため非常に難しいケースである。また、これは広い範囲にわたって影響を与える可能性のある種類のスタートアップである。
また、ほとんどのB2Cのスタートアップを含むタイプ1のスタートアップはユニークである。リーダーが存在せず、技術的なブレイクスルーも必要としない。この2つの点が重なっていることで近年莫大な数のB2Cのスタートアップを目にするようになってきており、他のスタートアップのカテゴリと比較すると、成功率は非常に低くなってきている。
このように、スタートアップの4つのタイプを特定し、それらの関係性から必要性とソリューションの組み合わせを探り出すことが必要不可欠になるであろう。
ReadWrite Japan編集部
[原文]
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- StartupGoGo!が運営支援。静鉄・静ガス・テレ静3社による、静岡県内初のオープンイノベーションプログラムを開始
- 【ビジョン キーノート】デジタル・ネイティブ企業と創り出すビジネスと社会の未来
- 新しい市場に立ち向かうスタートアップ企業が覚えておくべき11の事
- スタートアップのCTOってどんな仕事をしているの? Retty樽石さんのケース
- LFがOSPOのビジネス価値を調査したレポート「The Business Value of the OSPO」から読み解くOSPO設立の動機と役割
- ニューヨーク、LA、バルセロナ… 世界の先進都市が重視する「情報公開責任」とは?
- 差別化が求められるいま、IT企業には「文系」が必要だ
- 次世代のサプライチェーンを実現するもの
- 米国でAIを活用している産業【前編】
- EMSプラットフォーム『Aurora』にエンドツーエンドの暗号化が実装