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| 原因は人為的なミス、背景にはアクティビティのギャップ | ||||||||||||||||||
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調査の結果、ICユニットのタイプが違っていた原因は、経理担当者が仕掛データの受注製品への振替という処理を行う時の入力ミスだったことがわかった。カスタム品の製番(製造番号)を入力すべきところに、汎用品の製番を入力していたのである。 手作業による単純な入力ミスは必ず発生する。しかし、同じ種類のミスが頻発する状況はシステムの設計上の何らかの構造的な問題がある可能性が高い。このケースでは、根本的な原因として、ICユニットの仕掛データを手作業で振り替えていること自体にあるとわかった。 A社の原価計算は「受注ごとに採番される製番をキーとして集計する」という製番ありきのシステムである。材料費や加工外注費、直接労務費などはすべて各システムで管理された後、製番単位で自動集計される。 ICユニットの仕掛データについても、当初は、製番で関連付けて自動集計する計画だった。ところが、原価管理システムの導入間際になった時点で、カスタム品のICユニットは受注に先行して生産する場合があることがわかった。つまり、問題となったタイプのICユニットは受注してあるために製番が決められるものと、まだ受注していないために決められないものが存在するということだ。 従来こうした、受注していないICユニットには、特殊な「仮の製番」を振ることで管理されていた。これは、ICユニットの製番と受注製品の製番とが常に一致するとは限らないということであり、そのままでは製番ベースでの自動集計ができないことが判明したのである。 経営陣から運用開始日の厳守をきつくいわれていたこともあり、該当部分に対するシステムの仕様変更はあきらめ、集計作業の直前に経理担当者が製番を割り振りし直すという運用でカバーすることになったのである。 経理担当者は製造現場のスタッフとは異なり、実際のICユニットと製品との関係が実感として理解できていない。そのため製番の振り直しは担当者にとって意味不明な型番と製番をよくわからないルールで書き替えるという、非常にミスの起きやすい作業になっていた。 ![]() 図1:原因は人為的なミス、背景にはアクティビティのギャップ このように、直接の原因は経理担当者の入力ミスにあった。しかし、その背景には、導入を急ぐあまりに、現場担当者に非効率でミスが起こりやすい運用を強いる結果になってしまったことがあげられる。 すなわちこれがアクティビティのギャップとなり、システムが業務のあるべき姿を支援できていないという結果をもたらしていたのである。 |
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| アクティビティのギャップを埋めるには | ||||||||||||||||||
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前述の事例において、外部コンサルタントとして対策チームに参画した筆者が、アクティビティのギャップを埋めるために取り組んだことを紹介する。 システムがアクティビティのギャップを埋めるとは、つまりあるべき姿を支援できるようにするということになるが、これはそれほど簡単なことではない。筆者はこれに対する具体的な処方箋として、次の3つを心掛けている。
もちろん、この3つですべてが解決できる訳ではない。しかし、アクティビティのギャップを埋めるにあたって、まずやるべきこと、かつ、忘れてはいけないことであると、過去の経験から実感している。 それぞれの内容について、前述の事例での適用例を交えながら詳しく説明する。 |
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