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あなたのロボットビジネスプランは大丈夫? 今日本では、経済産業省がロボットビジネス推進協議会を立ち上げ、保険やビジネスマッチング、国際規格の制定などを行おうとしています。しかし関心をよせる技術者が少なく、話が進んでいない状況です。認識するのは、もう目に見える形のロボットができた後ですが「これを売ってくれ」といわれても保険制度がないからビジネスにはなりません。 アメリカのすごいところは、それを見越してすべて国として政策を行っている点です。このままでは日本でロボットを作っているのに、社会制度がないため実用化するのはアメリカの企業ということになりかねません。二足歩行のロボットは研究テーマとして重要ですが、海外からは「売れないものに何億、何十億の資金を突っ込む日本の政府は変わっている」と指摘されています。 とくにこのままではヨーロッパでは売れません。ヨーロッパでは「CEマーク」という安全の型式検定制度があり、取得しないと製品を販売することができません。売りたければきちんとした技術規格を作らなくてはならないのです。アメリカではこういった強制マーク制度はありませんが、もし事故が起こった場合に賠償金が非常に高いのです。 人型ロボットは制御がなくなると転びます。もし4メートルのロボットが転んだら家がつぶれます。そのときに家をつぶした保障を行うだけでなく、ATが持つベネフィットを説明する責任が生じます。「なぜ普通のクローラーのついた建築機械で作業しなかったのか」に対して「かっこいいから」じゃ駄目なのです。 もし「クレーン車やブルドーザでよかった」という結論になれば、賠償金額はあっという間に10〜20倍になり、さらに同じ事故を繰り返すと懲罰的な意味で金額があがっていくのです。 しかし日本では強制マーク制度もなく、事故の賠償金には懲罰的な意味もなく、ある意味では「日本ならロボットが売れる」環境があります。ただし、もし事故が起こってしまえば訴訟が起き、裁判に技術者をとられ、商品開発ができなくなり、会社はつぶれてしまうでしょう。 もし事故が発生して安全配慮義務違反で民法の415条と709条に基づいて訴えられたとき、今のロボット開発体制では対応できません。現在大手の工場の約7割がリスクアセスメントを行っていますが、ロボット開発はリスクアセスメントシートがない状態で進められています。これは非常に怖い状況です。リスクアセスメントシートがなければ裁判で提出を求められても、期日までに作成することは難しく、敗訴が決定するからです。 ヨーロッパ企業の話に戻りますが、ヨーロッパの自動車企業ではECUのサプライヤに「AutomotiveSPICE」という社内のマネジメント体制を義務付けています。さまざまな項目に対して1〜5までのレベルが設定されているのですが、今日本のベンダーでレベル2を目指して活動しています。しかしインドや中国ではすでにレベル5を達成している企業もあるようです。 もしロボットでも同じように「RobotSPICE」ができたとしたら、日本はどうなるでしょうか。バグが発生したらきちんと原因をトレースし、誰が担当したかのドキュメントが残っていて、変更・確認をどのように行ったかという情報が求められます。海外の自動車分野では常識になりつつありますが、日本では「まだまだ」の状況です。
ずばり、いつ実用化される? 「2025年」がターゲットイヤーだと思っています。かなりのレベルの基礎技術がそれまでに蓄積され、ATレベルのものが資金さえあれば作れる状況が整うことでしょう。すでにアメリカでは軍事ロボットが量産化されていますから、先にアメリカで登場するのかもしれません。 ただし、これはあくまでも特定の環境においての話です。ロボットが一般社会で使えるためには社会制度の整備が必要です。感覚的には研究室レベルで2020年ごろに開発され「こんなロボットができるんだ。これ使いたいよね」と社会が気づいてからさまざまな条件が整いはじめます。そこから何度かに分けてロボットに対応する社会改革、制度改革が行われ、はじめて普及していくでしょう。 私はレスキューロボットを専門にしていますが、このような誰もが「使おうよ」といってくれるようなものでも、万が一事故を起こした、暴走した際の責任問題がまだクリアになっていません。今は、それをいち早く作り上げたいと思っています。 |
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