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| EVMの導入効果 | ||||||||||||
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ここでは経営者側と技術者側の視点を分けて論じてみる。分けて論じるが、お互いの立場の視点を知っておくことは大事なので、両方とも読んでいただきたい。 |
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| 経営者側から見たEVMの導入効果 | ||||||||||||
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経営者側から見ると、EVMはスケジュールおよびコストに関する指標が一目瞭然に表現される手法であるため、報告内容が非常にわかりやすくなる。EVMを使用していない通常の報告の際、スケジュールの遅れについては表面化したとしても、スケジュールさえ守られていれば、予定よりコストがかかっていたとしても気がつかないことも多かった。 他業界の事例ではあるが、スケジュールを守ることは当然として、建築資材の発注時期によって調達コストが変動するため、それを予算内に収めるための指標を示すツールとして使われているケースもある。これはスケジュールよりもコストに着目したツールの使い方の1例、といえよう。 事実IT業界としても、スケジュールを守るためにどんぶり勘定でリソースを投入してしまい、完全にコストオーバーになるケースも少なくない。コストについて「何かおかしい」と感じとることは、熟練したプロマネによる経験の成せる業であったが、EVMでは指標が明確であり、そのような状態におちいる前に、熟練者でなくても「何か問題が発生している」と察知でき、このまま進むと最終的にどれだけ余分なコストがかかるか想定することができるツールなのである。 このように書くとEVMは魔法のツールのように思えてしまうが、そうではない部分についても触れておこう。誰もが察知できる指標が表現されるためには、前提条件として大きく表2のことがある。
表2:誰もが察知できる指標が表現されるために必要なこと これらをクリアすることは一朝一夕にできることではない。これまでのデータからシュミレーションやテスト導入してみることで、基準が適正であるか、余計にかかる工数がどの程度かといった感触をつかんでおく必要がある。これらの準備が周到になされてはじめて、問題の察知や最終的なコスト予測といった恩恵を受けることができる。 |
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| 技術者側から見たEVMの導入効果 | ||||||||||||
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技術者側からEVMの導入効果を見るとどうなるだろうか。EVMを導入することは、技術者にとって「管理者の押し付けで、自分には価値のない面倒な作業が増えた」と感じるだけかもしれない。 しかし、本当にメリットはないのだろうか。この連載を読んだ技術者の方には次のように考えて欲しい。
給料をもらっている以上、すべての技術者はコスト意識を持って仕事をするべきであり、コストに無関心でいいはずがない
例えば、誰もが家庭の収支について考えているはずである。「月の収入が30万だとして、支出が家賃10万、食費3万、etc…。必須支出が27万かかるから、小遣いとしては3万円までしか使えない」など、想定される収入から支出の上限を設けているのが普通だろう。 それと同じことで、自分の作業にはどれだけの価値(収入)があり、どれだけの時間・コスト(支出)をかけているので、利益(貯金)や赤字(借金)があるといったコスト面の収支について知る意味は大きい。 EVMを実践するということを通じて、自分の作業がどの程度の金額(原価)で見積もられているかが見えるはずである。もし経営者側からそのような資料が示されず、EVMの意義についても何も説明されないまま「今回からEVMを適用します」と管理基準と方法だけ説明されるようであれば、管理者側が本質を理解していない可能性もある。そのためにも、EVMの意義についての説明を求めてみよう。 |
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| コスト意識を持つことが重要 | ||||||||||||
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長文になってしまったが、要はコスト意識を持って欲しいということである。このような感覚をもつ技術者は、EVMを使わなかったとしても、きっと問題があればアラームをあげるに違いない。どこに行っても重宝されることだろう。 再び経営者側の視点に戻ると、EVMは導入時の工夫次第で技術者にコスト意識を持たせるという副産物を生み出す可能性を秘めている。社員にコスト意識を持たせるということをEVMでする必要はないのだが、もしEVM導入を考えるのであれば、よいところは取り入れておくことをおすすめしたい。 しっかり計画をたて、目的と意義をきちんと説明し、皆が同じベクトルに向かう方がより大きな効果を得られるのは明らかである。EVM導入前の準備に手間を惜しまないでいただきたい。 |
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