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情報セキュリティ
> スパムメール送信方法の変化
迷惑メールを80%削減するスパム対策テクノロジー
第1回:スパムメール対策の基礎を知る
著者:
トレンドマイクロ 宮崎 謙太郎
2006/5/23
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スパムメール送信方法の変化
スパムメールが引き起こす問題はウイルスの感染以外にもいろいろあります。例えば最近話題になっているフィッシング詐欺など、数年前では想像できなかったようなスパムメールも新たに出現してきています。
スパムメールの脅威については各方面で報告されていますので、この連載ではスパムメールをいかに防ぐか、その技法に注目してご紹介していきます。まずはその前提として、時代とともに変化してきたスパムメールの送信方法から解説します。
1996年〜1997年:ISP経由での送信
1996年頃のスパムメールは、企業やISPが提供するメールサーバを使って、通常のメールと同様に送信されるものが主な手法でした。
1998年〜2000年:ISP経由での送信
1997年頃にはISP側のメールサーバにあったセキュリティホールやサーバ設定の誤りにより、不正なリレーが可能なサーバを踏み台にしたスパムメール送信が行われるようになりました。これは送信元を隠蔽する送信方法で、いまだ使われている手法のひとつです。
2001年〜2003年:独自サーバを利用
2001年頃にはスパムメール送信者自身が独自のメールサーバを用意して、数多くのスパムメールを高いパフォーマンスで短時間に送る方法が使われはじめました。これは大手ISPがスパムメールの配信制限が施されるようになったことと、より大量のスパムメールを配信することを狙ったものと思われます。
2004年〜:Botによる送信へ
2004年頃になると、現在のスパムメールの80%近くを占めるといわれている手法が登場しました。これは外部からコントロールできる「Bot」といわれる不正プログラムを使ったものです。
※注1:
Botとはウイルスの一種で、安易なパスワード設定やWindowsのセキュリティホールを利用して侵入し、外部からハーダーと呼ばれるリモートコントロールを可能にする機能を持つ。外部からコントロールできることからRobotが語源。
Botはコンピュータに感染しても、すぐに不正な活動を開始せず、静かに潜んでいます。しかしハーダーと呼ばれる外部のBotを制御する悪意のユーザからの命令に従い、活動を開始するのです。現在ではコンピュータのスペックも向上しているため、Botが動作しても、コンピュータの使用者が体感できるケースは稀でしょう。感染者はもしも自分が大量のスパムメールを配信していても、そのことに気づかないことがほとんどです。
ちなみにBotをインストールされているクライアントパソコンのネットワークをBotNetと呼びます。BotNetから配信されるスパムメールが増大している背景として、このBotNetの所有者がスパムメール送信やDoS攻撃などを請け負うビジネスの存在が大きいといえるでしょう。
図1:スパムメール配信方法の変移
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著者プロフィール
株式会社トレンドマイクロ 宮崎 謙太郎
2001年トレンドマイクロ株式会社入社。法人向けサポート部門でゲートウェイ製品を担当した後、技術的に高度な問題に対応するサポートチームに異動。スーパーバイザーとしてチームのリーダを勤める。社内公募により2005年にプロダクトマーケティングへ異動。ゲートウェイ製品やスパムメール対策サービスなどを担当し現在に至る。
INDEX
第1回:スパムメール対策の基礎を知る
スパムメールの脅威とは
スパムメール送信方法の変化
スパムメールの送信元
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