「会社が今のカタチになる以前は、社員は5人しかいませんでした。そういう規模の小さい会社ほど、Mac OS X Serverのメリットが発揮できると思います。どういうことかというと、サーバの管理を自分たちで行えるのです。それも、サーバ専門の担当者を置くとかではなくて、日常の業務の中で兼任することができる。朝来たときと帰るときにサーバの状態をチェックするとか、トラブルが起きたときのチェックと対処の仕方など、最低限の手順を決めておけば、あとは技術者無しでも大丈夫なんです。だからMac OS X Serverを導入した当時は、当時20歳の社員を担当者に任命して運用していましたが、問題はありませんでした。」(河辺氏)
Mac OS X Serverの管理がしやすさは、Appleならではのグラフィカルなユーザインターフェースによるところが大きいといえるでしょう。ユーザアカウントの作成や、サーバ上の共有ポイントの設定、共有ポイントに対するアクセス権の設定といった、ファイルサーバとしての基本的な機能はもちろん、サーバハードウェアに障害が起きているときも、その様子をGUIで確認して対処することができます。
図2:Mac OS X ServerのGUI (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
「さらに大事なのがアップルのサポート体制で、アップルケアのプレミアムサポートは非常に便利です。サーバの専門家ではない人に対しても、電話でちゃんとサポートしてくれます。例えばWebサーバの動かし方がわからないというときは、Apacheのことをサポートしてくれますし、実際にXserveのRAIDの調子が悪くなったときも対処法をサポートしてもらいました。Mac OS X ServerはMacでしか動かないけれど、その分アップルにはOSとハードウェアを一括してサポートしてもらえるのが大きなメリットといえるでしょう」(河辺氏)
さらに河辺氏は、サーバのバックアップに関しても「サーバのハードディスクの内容をディスクイメージとしてフルバックアップしています。Windowsサーバだったら、ディスクをフルバックアップしたところで、そこから起動することはできません。これは、MacとMac OS X Serverならではといえるでしょうね」と、その利便性を感じています。もちろん、サードパーティのバックアップソリューションを利用することも可能です。
Mac OS X Serverなら人が育てられる
河辺氏は「最初のインストールと設定は、業者に任せても構わないと思います。しかし、日々の運用は自分でもできるというのが、Mac OS X Serverのいちばんのメリットだと思います。今まで他のサーバOSで運用した経験のある人こそ、わかるはずです」とまとめます。そして東氏は、経営者の立場としてMac OS X Serverのメリットを次のように話します。
「小さな企業にとっては、なるべく手間をかけずにセキュリティを確保したいというニーズがあります。そういったニーズに対してMac OS X Serverは最適だといえるでしょう。正直なところ、Mac OS X Serverでないと、サーバ管理などができる人材が育てられません。『それだけやってる』というわけにはいきませんから。FreeBSDのコマンドの打ち方を教えている場合じゃないんです」