第8回:IT要員の教育体制 (3/3)

企業IT動向調査2005
ユーザ企業におけるIT動向調査2005

第8回:IT要員の教育体制
著者:日本情報システム・ユーザー協会   2005/9/21
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IT要員育成とローテーション活用

   IT要員育成計画の中で、どの程度ローテーションを活用しているのだろうか。

   部門内/情報子会社間のローテーションは「(十分)活用している」は企業は、ほぼ3社に1社である。「(十分)活用している」企業と「(全く)活用していない」企業がほぼ同数となっている。
IT要員の育成計画の中でのローテーションの活用
図6:IT要員の育成計画の中でのローテーションの活用
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   対照的に、ビジネス部門間では「(十分)活用している」企業は20%以下で、「(全く)活用していない」企業が「(十分)活用している」企業の3倍以上となっている(図7)。

   ビジネス部門間とのローテーションの活用度と、「業務の知識・理解」が重視される「IT戦略の策定」「プロジェクトの企画・業務改革(BPR)の推進」の充足度の関連を見てみよう。

   「IT戦略の策定」においては、活用している企業のIT戦略の策定の充足度は、全体平均(37.7%)の1.2倍強となっている。「活用していない」企業では充足度を実現していないと回答したものが29.6%あったが、活用している企業では14.4%となっている(図7)。

ビジネス部門間とのローテーションの活用度と「IT戦略の策定」の充足度の関係
図7:ビジネス部門間とのローテーションの活用度と「IT戦略の策定」の充足度の関係
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   「プロジェクトの企画・業務改革(BPR)の推進」については、全体平均(38.5%)の1.3倍強となっている。活用していない企業では「実現していない」と回答した企業が23.8%あったが、「活用している」企業では10.5%となっている(図8)。

ビジネス部門間とのローテーションの活用足度と「プロジェクトの企画・業務改革(BPR)の推進」の充足度の関係
図8:ビジネス部門間とのローテーションの活用足度と「プロジェクトの企画・業務改革(BPR)の推進」の充足度の関係
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   ビジネス部門間とのローテーションの活用成否が、IT戦略の策定/プロジェクトの企画・業務改革(BPR)の推進の充足度向上の要因となっている。

   IT部門へのインタビューからは、新入社員数が減少し、ローテーションで人をだす余裕がなくなってきているとも聞く。

   またIT部門は、他の業務部門、特に人事/経理など経営管理部門の社員のローテーション先として人気が薄く、ローテーションの受け入れ先の業務部門からは「一体何をさせたらよいのか困る」「いらない」といわれることもあるようで、ローテーションを回しにくい、ローテーションが思うように回せないという声もあった。

   一方で、入社2〜3年目の若手社員を対象に毎年情報子会社に出向させている企業や、「本社IT部門 → 情報子会社 → 本社IT部門」のローテーション、業務部門のIT要員と本社IT部門要員のローテーションを頻繁に行って、業務の知識・理解を向上している企業、IT専門知識・技術を継承・獲得している企業もある。

   本社のIT部門では戦略だけを担当している、ある集権型の企業は、以下の通り述べている。

   「経営企画部門として人をとるため、ステータスも高く良い人材が来る。こうした人間が2、3年システムのことをやって、また戻っていく」

   同じく、企画だけを担当している集権型の企業は、その効用を以下の通り述べている。

   「システムをやっている人間については、IT部門、ユーザ部門、情報子会社を回るローテーションがある。ユーザ部門からIT部門にきて、ある程度プロジェクトマネジメントなどを理解してもらうと、全体を見ることのできる広い視野を持てるようになり、その後ユーザ部門のプロジェクトを進める役割を担ってもらえるようになる」

   制度上問題を解決し、教育のための施策として、ローテーションを積極的に活用できれば、非常に有効なのではないだろうか。


ユーザの要望が未来を切り開く

   本調査は94年から継続して行っており、今年で11年目にあたる。IT部門対象のアンケート調査票は24ページの量にものぼり、多岐の分野に渡って専門性の高い設問も多くなっているが、毎年1000社近くの企業に回答をいただいており、ご協力いただいた企業にあらためてお礼申し上げたい。

   本調査の報告書では多岐の分野に渡り、ユーザの実態・課題・要望が盛り込まれている。これまでITの世界では、製品や技術さらに基準や手法に対して、ユーザの立場から要望、その反映が不足していたのではないかと感じられる。厳しいユーザの要求が、ベンダー側の新しい技術・商品の創出につながり、システムの品質を向上させて信頼性を高めることになる。

   ユーザは質が高い多くの要望・要求を出していかなければならない。本調査がその一助となれば幸いである。

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日本情報システム・ユーザー協会
著者プロフィール
日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/


INDEX
第8回:IT要員の教育体制
 IT人材の育成(教育費用の予算化・教育の体系化)
 半数の企業がITスキル標準を参考に
IT要員育成とローテーション活用

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