SQLを記述しない「Torque」

2006年8月9日(水)
山之内 弘行

Torque実行環境用プロパティファイルの修正


   Torque.propertiesはTorque実行環境用のプロパティファイルで、主にJDBC関連の設定を行います。Torque.propertiesはダウンロードしてきたファイルに用意されているので、今回は、その一部を自分の環境用に修正して使用します。
Torque実行環境用プロパティファイル(Torque.properties)の修正箇所抜粋
# build.propertiesのプロジェクト名に合わせる
torque.database.default=postgres
# RDBMSの種類
torque.database.postgres.adapter=postgresql
# JDBC関連の設定(ドライバ、URL、ユーザ名、パスワード)
torque.dsfactory.postgres.connection.driver = org.postgresql.Driver
torque.dsfactory.postgres.connection.url = jdbc:postgresql://localhost:5432/postgres
torque.dsfactory.postgres.connection.user = postgres
torque.dsfactory.postgres.connection.password = password

   torque.database.defaultには、修正したGenerator用設定ファイル(build.properties)のtorque projectと同様の内容を記述します。torque.database.default以下のtorque.database.、torque.dsfactory.プロジェクト名プロジェクト名の部分には、torque.database.defaultで設定したプロジェクト名を記述します。

   各プロパティの説明は以下のとおりです。

役割 プロパティ名 説明
データベースの設定 torque.database.default プロジェクト名(データベース名)を設定する
RDBMSの設定 torque.database.プロジェクト名.
adapter
対象のRDBMSの種類を設定する
JDBC関連の設定 torque.dsfactory.プロジェクト名.
connection.driver
DB接続時に使用するJDBCドライバを設定する
torque.dsfactory.プロジェクト名.
connection.url
DBアクセス時に使用するURLを設定する
torque.dsfactory.プロジェクト名.
connection.user
データベースにアクセスするユーザ名を設定する
torque.dsfactory.プロジェクト名.
Connection.password
データベースアクセス時のパスワードを設定する

表4:Torque実行環境用プロパティファイルの各プロパティの説明


テスト用実行クラスの作成


   最後に、テスト用実行クラスを作成します。作成したプログラムは以下に示します。

テスト用実行クラス(TorqueExecutor.java)一部抜粋
テスト用実行クラス(TorqueExecutor.java)一部抜粋
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   Torqueを利用してデータベースにアクセスする場合、基本的にCriteriaクラスを使用します。Criteriaクラスに様々な条件を設定し、Torqueに用意されている各メソッドにCriteriaを渡すと、Torqueが自動的にSQL文を組み立ててくれるためSQL文を書くことなく様々な処理(検索/更新/挿入/削除)を実行できます。

   また、TorqueのDTOにあたるOMクラスにはsave()メソッドが用意されており、このメソッドを使用することで更新、挿入処理を簡単に行うことができます。更新か挿入かの判断はsave()メソッドが自動的に判断してくれます。


テスト用プログラムの実行


   テスト用プログラムを実行します。実行結果は以下のとおりです。

実行結果
-----検索(JOIN)結果-----
社員ID = 333
社員名 = Torque
部署名 = 管理部


-----挿入結果-----
部署ID = 3
部署名 = 管理部
内線番号 = 3456
部署ID = 4
部署名 = 営業部(Torque)
内線番号 = 9876


-----更新結果-----
部署ID = 3
部署名 = 管理部
内線番号 = 3456
部署ID = 4
部署名 = 営業部(Torque)
内線番号 = 6789


-----削除結果-----
部署ID = 3
部署名 = 管理部
内線番号 = 3456


まとめ


   今回はTorqueについて見てきました。TorqueではSQL文を書かずにデータベースにアクセスすることができます。この点が「iBATIS」と決定的に異なる点です。SQL文を書かないためデータベースの方言の違いも意識する必要はありません。また、joinのためのメソッドも用意されているため「iBATIS」では強く意識しなければならなかった関連についても、さほど意識する必要がありません。

   しかし、SQL文を記述できない(実際には記述可能だが、SQLを多用するとToqueを使う意味が薄れてしまう)ため、データの検索や更新時のパフォーマンスチューニングなどの柔軟な対応はできません。

   Torqueは、データ構造がシンプルでパフォーマンスチューニングなどの必要性がないシステムでは有効なフレームワークであるといえるのではないでしょうか。

   次回は、「Hibernate」について見ていきたいと思います。

株式会社ビーブレイクシステムズ Javaスペシャリスト
前職ではJavaを用いたシステム開発をメインに作業を行う。更なるキャリアアップを目指し、実力次第で上流工程に携われるビーブレイクシステムズに転職。現在はJavaアーキテクトとして活躍中。

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