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新しいSNSのカタチ

第2回:OSSを使ったシステム構築

話者:セキュリア  久保 美恵子   2007/4/18
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OSSで作ったSNS

   「第1回:実社会に近づくSNS」では、これからのSNSとして「Willbee」を紹介した。このWillbeeは、オープンソースソフトウェア(OSS)を活用して開発されたアプリケーションである。そこで今回は、いかにOSSを活用したのかを解説していく。

   なお、解説するにあたっては、実際にWillbeeを使って構築された「FFM」を取り上げる。FFMでは、藤井フミヤと藤井尚之の両者のファンサイトをSNS(Willbee)で運営している。
藤井フミヤのファンサイトページ
図1:藤井フミヤのファンサイトページ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

藤井尚之のファンサイトページ
図2:藤井尚之のファンサイトページ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   この2つのサイトのユーザは同一であることが多く、第1回で解説した「グループ機能」を有効的に活用している。なお、アーティストのファンサイトの特性として、イベント(ファンサービスの活動)などを開催するとアクセスが集中し、一時的に膨大な負荷になることがあるが、これについては後に解説する。

   まずは、Willbeeの開発にあたってOSSを選択した理由をあげていく。


WillbeeはOSSでできている

   筆者らは、Willbeeの開発を行うにあたって、OSS以外のテクノロジを選択するという気持ちはなかった。なぜなら、すでにOSSを使っていくつもの開発を進めてきた実績があり、SNSという多機能なアプリケーションを開発するにあたっても不安はなかったからである。

   例えば、Fedora Core上でTomcat + MySQL + Javaを組み合わせ、携帯でもPCでも使えるWebサイトの構築から、XOOPSをベースにしFlash上でビデオ会議を行うアプリケーション(FedoraCore+PHP + MySQL + Apache)、CentOS上でのXen対応などの実績があったからだ。

   今まではFedora Coreをベースとして開発してきたのだが、今回は運営者側から、Red Hat Linux Enterpriseの使用を要望されたため、開発環境としてはクローンであるCent OSを選択した。その他のアプリケーションは以下の通りになる。

  • Apache 2(Webサーバ)
  • MySQL 5(データベース)
  • PHP 5+XML(開発言語)

表1:Willbeeの開発に使ったアプリケーション

   開発当初のMySQL 5とPHP 5はリリースされたばかりで、国内での実績が少なく、どちらもバージョン4を選択するのが安全策として考えられた。しかし、今回の案件ではMySQL 5のview機能を必要としたほか、PHP 5のパフォーマンスへの期待は諦められなかった。

   そこで、この不安を払拭するために様々な経路で情報を収集した。まずは海外の情報である。海外には最新テクノロジの事例が多く、コミュニティにも日本にはない情報がある。そこで、現地のコミュニティのメンバーと直接コンタクトを取り、情報を集めた。

   最後に残った「日本語」の取扱いに関する問題はやはり事例が少なかったため、社内での検証を行ったうえで、最終的にバージョン5の選択を決定したのである。もちろん、その成果はコミュニティに反映させている。

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株式会社セキュリア  久保 美恵子
著者プロフィール
株式会社セキュリア  代表取締役社長  久保 美恵子
2004年1月セキュリア設立、ASP向けアプリケーションの開発・ライセンシングをメイン事業とする。2006年3月フィリピンのパートナー企業と合弁でアライアンス・ソフトウェア・ジャパン株式会社を設立。ブリッジエンジニアリング専門の会社として、現在フィリピンの開発会社と連携して、受託開発を含めた開発を行う。


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