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| 経営レベルで差がつくIT非活用のリスク | ||||||||||||
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本連載も、今回で最終回となる。これまでIT活用にまつわる諸処のリスクと成功に導くキーファクターについて触れてきた。特に、技術論にとどまらず、これを支える「人」や「マネジメント」についてもリスク回避の手立てが必要であることは、各項で触れた通りである。 ITを安全に活用するには、やれ専門家が必要だの、技術を見通さねばならないだの、なかなか簡単にいかないんですよ、ということが述べられている。こうしたことに取り組んでこなかった組織にとっては、あらためてハードルの高さを感じるのではなかろうか。 しかし、あえて断言しよう。こうしたことへの抵抗感を覚え、IT活用を潜在的に回避する、これこそが今後の経営にとっての「最大のリスク」である。 |
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| 忘れ去られた「CALS」の脅威 | ||||||||||||
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「日進月歩」という四字熟語になぞらえ、ITの世界の変革の速さを「分進秒歩」と呼ぶことがある。今回は、この慌しい世界から少し離れて、今から約10年前を振り返ってみよう。 平成7年、通商産業省(当時)の施策として、「生産・調達・運用支援統合情報システム技術研究組合」が創設された。といっても、この長いタイトルではわからない方が多いかも知れない。英訳すると、「Continuous Acquisition and Life-cycle Support」となる。 これでもまだピンと来ない方は、次の略語でいかがであろうか。「Commerce At Light Speed」そう、一時期かなり話題となった「CALS」である。 当時、日本と米国の情報技術の活用レベルの差は「10年」と称されていた。この「CALS」の題材であった米国大手の製造業においては、徹底した情報の再利用が進められており、日本の製造業は、早晩、情報技術活用のレベル差に基づく生産性の違いにより、壊滅的な打撃を受けるであろう、といわれていたほどである。 こうした背景から、通商産業省という国家のIT戦略を左右する所管省庁において、各企業の人材を招聘し、真摯な取り組みが行われていたのは紛れもない事実である。今でこそ当たり前である「データの発生源から、これをライフサイクルに渡って徹底的に再利用し続ける」というシステムの設計コンセプトは、ある意味、このCALSを1つのトリガーとして国内に根付いてきたといっても過言ではない。 CALSをあらわす説明文で「Create data once, Use IT many times」という表現が用いられるが、これには電子データは一度発生させたら、それ(it)を情報技術(IT)により徹底的に再利用しよう、との意味も込められている。 昨今では情報技術に関するハードウェアやソフトウェアの「資源」が容易に入手可能で、ともすればこうした「情報」そのもののライフサイクルにはあまり留意をせず、ある種の「力技」で乗り越えるシステムも散見される。しかし、こうしたことの1つ1つが、組織を支える「生産性」という観点では、着実に彼我の差になっていくのである。
表1:CALS実証事業のテーマ 出典:JIPDECホームページ |
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