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なぜIoTを導入するのか? 具体的な答えを持たない企業に贈る「IoT戦略」のすすめ

2016年10月25日(火)
ReadWrite Japan

IoTに関して、さまざまな取り組みが世界中で行われている。これらの情報を追っていない企業は存在しないだろう。IDCが発表した最近の調査では、アンケートに答えた企業の31%はすでにIoTを導入しており、あとの43%は12ヶ月以内の導入を考えているという。だが、IoT協会の調査によると、明確なIoT戦略を持っている企業は25%に留まるという。

このデータが示すことは、企業はIoTブームに手を出しているものの「なぜそれをやるのか」を考えずにやっているということである。

「なぜやるのか」という問いに対する答えなしに、IoTを使ったビジネス戦略を立てることは難しいだろう。IoTを導入するのは、効率性の向上やコスト削減のためか。新しい収益モデルを獲得するためか。それとも、顧客体験をより価値あるものにするサービスを提供するためだろうか。まず「ビジネスで達成したい結果は何か」がはっきりすれば、IoTを使ったビジネスケースの定義はぐっと楽になる。

ここ数年、ビジネス戦略にコネクテッド技術を取り込もうという「ビジネスのデジタル化」を求める動きが続いている。そして、IoTは企業がこの変化を成し遂げるうえで重要な役割を担っている。つまり、IoTを導入することで得られる結果と目指すゴールを明確にすることで、「デジタル化」のロードマップもはっきりと見えてくるのだ。

IoT戦略を決定するにあたって、企業は「手持ちの資源や製品をどのようにIoT化させるか」ということばかりに気を取られがちだ。彼らは、持ちうるモノすべてを繋げさえすれば利益は転がり込んでくると信じているのかもしれない。

だが、IoTはただモノを繋ぐだけのものではない。IoTは、繋がったモノ同士の“対話”を生むものなのだ。

この“対話”こそが、IoTが我々にもたらすもののうち一番魅力的な点である(そして、ビジネスのやり方を変え収益を上げるための本当の変革のカギでもある)。IoTは、繋がっている資産や製品を使用するクライアントやエンドユーザとの「継続的な対話をスケーラブルに実現をする力」を持っている。

IoTの価値を最大化するベストプラクティス

IoTは、クライアントが継続中のサービスと関係性を構築するための“つながり”を提供する。だが、このコネクティビティ(接続性)がもたらすものは、企業がクライアント自身のことを学び、製品をどのように使い、あるいはどのように使われるかを知り、そういった知見から新たな価値を提供する方法を発見するための手段に過ぎない。

たとえば、パック食品の流通業者は、コネクテッド自販機を使ってユーザの購買パターンを知り、ある時間ある場所にあるべきのスナックが並んでることを保証することで売上を最大化することができる。重機製造業者の場合、機械のパフォーマンスを分析し、サードパーティ業者が修理までにその部品を用意できていることで機械のダウンタイムをゼロにすることが可能になる。業者はサービスの付加価値だけでなく、エンドユーザの声を聞き続けることでその関係性をも収益化できるのだ。

では、IoTをただモノを繋げるものではなく、「顧客の声をリアルタイムで拾い、ビジネス上の目標を達成するためのもの」にするためのベストプラクティスとはどういったものだろうか? 大きく分けて、3つのステップを踏むことをおすすめしたい。

1. スケールを考える

IoTビジネスを考えるうえで、サービスをスケールするためのソリューションとパートナー選びは重要だ。世界中に働きかけられるネットワーク戦略を選択することで、需要があると新たにわかった国へすばやく効率的にサービスを展開できるようになる。

また、モバイル通信網を使うことは、多くの場合、明らかにいい選択だ。これはどこにでもあり信頼性も高く、安全でコスパもますます良くなってきている。同時に、世界中のモバイル通信網で利用されているIoTプラットフォームを選ぶことで、あなたのIoTサービスは世界中の導入に備えることができる。

2. クラウドを導入する

クラウドベースのIoTプラットフォームは、サービスを市場にすばやく展開するための「柔軟性」と「効率性」を与えてくれる。クラウドベースのSaaSモデルをもつことは、サービスの機動性を上げ、イノベーションサイクルの短縮化などといった利点がある。

3. とにかく自動化する

ビジネスプロセスの自動化なくして、IoT導入やデジタル化は意味を持たない。コネクテッドデバイスの管理は、どクライアントとの対話から価値ある情報を引き出すかを邪魔するものであってはいけない。しっかりとデザインされたIoTプラットフォームであれば、さまざまなことをあなたの代わりにそやってくれる。

コネクテッドサービスに向けての準備であれ、稼働しているサービスのパフォーマンス評価やコスト管理であれ、IoTプラットフォームはこれらのタスクの多くを自動化してくれるものであり、あなたはその空いた手を大切なコアビジネスに充てることができるようになる。コネクティビティのために作業をするのではなく、「コネクティビティに作業をさせる」ことが大切だ。

IoTによる“対話”を実現するために

「IoTとは、接続されるモノそれ自体ではなく、それにより実現できるサービスすべてである」という事実を忘れないことが重要だ。そして、それらサービスはクライアントとのやり取りからニーズをより深く汲み取るための基礎を提供する。

このことから、企業はまず(たいていは見直しを迫られる)展開するサービスのプランよりも、製品をIoT化するうえでの戦略を考えるべきである。まず、「クライアントの得られる体験価値を豊かにするサービスとは何か」を先に特定してから、IoTに投資することだ。

IoTが持ちうる最大の魅力である“対話”を生み出す力を最大限活用するためには、

SANJAY KHATRI
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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