こころの健康のためのキャリアとは?
キャリアとメンタルヘルスの関係
筆者の所属するメンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング(http://www.mhrc.co.jp)では、主にメンタルヘルスに関する相談を受け付けていますが、不調の原因が長時間残業など環境によるものだけでなく、背景にキャリアの問題がある方が実は少なくありません。
私たちは起きている時間の半分以上は仕事をして過ごしているのですから、それは当然のことなのかもしれません。「転職して入ったが、どうも自分には今の会社は合わない気がする」「自分のパフォーマンスが認めてもらえない」「殺伐とした職場の人間関係に嫌気がさした」「今の仕事を淡々とやり続けて、果たして自分はキャリアアップできるのか」、そして「仕事にやりがいを感じられない」といったお話はどこの業種でもあるはずですが、特にITエンジニアの方から聞くことが多くあります。
また弊社の設立母体である精神科クリニックメディカルケア虎ノ門(http://www.medcare-tora.com)にも、職場の問題によってうつ状態になり、通院しているITエンジニアはほかの業種よりも多く、業界特有の問題がメンタルヘルス不全に関係があることは明白でしょう。
それではこのような厳しい業界にあって、自らのキャリアをどう考えていけばいいのでしょうか。実は「将来のあるべき自分の姿」を描きながら、「仕事と自分のよい関係」を築いていくこと、すなわちキャリアビジョンをつけることは、メンタルヘルス対策にとっても重要なことなのです。
ITエンジニアのキャリアビジョンとは?
現在キャリアとは、仕事や職務に関することだけでなく、家庭生活なども含めた生き方、働き方を通した人生そのもの、と広義に解釈されるようになってきています。ですから、「キャリア」を「ライフキャリア」と表現することもあります。しかし今回は狭い意味での「仕事」や「働き方」に限って考えてみましょう。
私たちを取り巻く環境は情報技術の急速な進歩や価値観の多様化など、ここ数年でも大きく変化しています。将来の決定の際に多くの選択肢が与えられている状況は、一見するとポジティブな要素と考えられる反面、場合によってはそれが大きなストレスになりうるとも考えられます。将来設計やそれにともなうすべての選択に自分の責任での判断が求められるからです。
以前であれば大学を卒業して会社に就職してしまえば、転職など考える余地もなく、そのまま課長、部長と昇進して定年退職という道ができており、誰も疑うことなくその道を進むのみでした。IT業界でも以前は、プログラマからスタートして基礎レベルの資格といえる「ソフトウェア開発技術者」や「基本情報技術者」を取得して、その後はグループリーダーになりプロジェクトマネジャーとなるというのが基本でした。
しかし現在ではITコンサルタント、システムアナリスト、中小企業診断士など、その後の進むべき道も広がりがあり、実際に企業で求められる人材とは、経営課題を分析して提案、解決ができるゼネラリスト的な要素へと変化してきており、これはまさに上流の作業ができる人材なのです。
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