オランダ移住と物件探し。一人暮らし?それともシェアハウス?ボートに住んでいる人も!
はじめに
海外移住というと、皆さんはどんなことを思い浮かべますか。私はオランダの、のどかな風景のなかでのんびりと仕事をして心穏やかに過ごす日々を思い描いていました。
想像した通りに充実した日々を過ごしていますが、もちろん大変だったこともあります。住居、病気、食事、人間関係、仕事、言葉……1年半オランダで暮らしてみて、ちょっとしたことでつまずくことも多々ありました。海外移住には楽しそうで自由なイメージがあるかもしれませんが、自分が経験したことを通して実際の様子を紹介していきます。
今回は、住居についてです。
オランダと日本、住居に関する違い
オランダに移住した時に最初の壁は住居でした。会社や学校に所属していないので、自分で住まいを探さなければいけません。
オランダで物件を探すには、大きく分けて2つの方法があります。
- 業者経由(不動産情報サイトや不動産屋さん)
- 個人間での取引(Facebookグループや掲示板)
業者経由で探す場合、オランダではfunda.nlというサイトがメジャーです。日本のSUUMO(スーモ)やHOME’S(ホームズ)みたいなサイトと思っていただければわかりやすいかもしれません。オランダの母国語はオランダ語ですが、移民も多いため多くのwebサイトで英語を利用できます。funda.nlも英語に切り替えることができます。
物件に関するトラブルで、不動産会社に多額のお金を振り込んだのにも関わらず、連絡がつかなくなったケースもあるようです。このため、得体のしれない小規模業者よりも、funda.nlのような大手の仲介サイトを利用すると安心でしょう。
不動産の契約に関して日本と異なる点は、個人間での物件の取引が多いことです。例えば、Facebookグループや日本人向けの掲示板では「この物件をシェアしませんか?」という書き込みが頻繁にされています。
これには、アムステルダムの不動産価格が高騰していることや、もともとオランダはシェアリングエコノミーが発達しており、何かをシェアすることに抵抗がないことが理由にあるようです。
募集がある物件も「半年以上の契約が必須」のものもあれば「短期滞在向け」など様々。本格的に物件探しをする際の滞在先としてこういった物件もニーズがあるようです。
また、オランダと日本の物件の大きな違いの一つに「住民登録可能な物件と、そうではない物件がある」ことが挙げられます。
オランダでフリーランスビザを取得するための条件の一つに「住民登録可能な物件に住んでいること」があり、物件を探す際は必ずこの点を必ず確認しなければなりません。
一人で住むほうが良いのか?シェアハウスが良いのか?
私は最初funda.nlで犬と猫が飼える物件を探していたのですが、オランダへ出発するギリギリまで粘ったもののなかなか見つからず、結局ペットは実家に置いていくことにしました。下見に行った時は、そこら中に猫がいて「絶対日本よりもペット可の物件も多いはず!」と思っていたのですが……みんな秘密で飼っているんじゃなかろうかと疑っています。
結局、オランダへ出発する直前に住む家を決めたため、融通が利く個人間取引の物件に住むことにしました。
オランダにいる日本人のフリーランス仲間には、一人暮らしをしている方もいれば、私のようにシェアハウスに住んでいる方もいます。
例えば、オランダフリーランス歴2年超の出張美容師さんは、とても素敵なお家に住んでいて、たまにホームパーティーを開催してくださいます。
一人暮らしも素敵ですが、私は初めての海外生活であればシェアハウスの方が良いのではと思っています。シェアハウスの一番のメリットは、右も左もわからない海外で、その道の先輩と一緒に住める点です。実際に、私も衣食住に関して色々な情報をシェアメイトから教えてもらいました。
しかも、私はオランダに来てすぐに40度の高熱を出し、苦しくて買い物にもいけないし、病院の探し方も分からないという最悪の状態になってしまったのです。そんな時、シェアメイトにご飯をもらい、病院の情報も教えてもらい、かなり助けていただきました。シェアハウスに住んでいなかったら、不安すぎてどうかなってしまったかもしれません。
食事に関しても、スーパーで見かける野菜や果物は微妙に日本と形や大きさが異なります。キャベツは、丸い形ととんがった形の二種類があるのですが、とんがったキャベツの方が日本のキャベツに近いようです。日本の調味料や食材が恋しくなる時もあり、そんな時に「中国系の食材店に行くと欲しいものが手に入るよ」など、食に関する情報もシェアメイトからもたらされました。
また、真冬にランニングに出た際に鍵を忘れ、家に入れなくなったことがありました。外の気温は2度だったので、薄着のランニングウェアで絶望的な気持ちになりました。この時も、シェアメイトに鍵を借りて助けてもらいました。オランダに住んでいる日本人の友達も私と同じことをして部屋に入れなくなってしまったのですが、一人暮らしだったため鍵を開けられず、鍵の業者に高額の費用を請求されてしまったそうです。
私はこの「鍵を忘れる」ことも頻繁にやるので、シェアハウスの方が安全…と思っています。
「ただいま」が言える場所
フリーランスはよく「孤独だ」と言われます。家で仕事をしていると、なかなか他人と話す機会がありません。海外で働く場合はなおさらです。
コワーキングスペースに行っても、ただ同じ場所で作業をしているだけなので、仕事仲間とは言えません。一人で黙々と仕事を頑張らなくてはいけない時に、業種は違えど同じ移住仲間がいる家に帰り、「ただいま」と言えるのはどことなく安心感があり、有り難いです。
最近引っ越してしまったのですが、オランダに来てから1年住んでいたシェアハウスは、私以外は全員、優秀な音楽家でした。音楽家同士のつながりが強い家だったようなのですが、私が入居した頃、偶然一部屋空いていたようです。
食堂にはティンパニーがあり、たまに隣の部屋からは美しいヴァイオリンの音色が聞こえて来ました。しかも、音楽家たちは食が豊かで仲が良く、よく楽しそうに晩ご飯を食べていました。彼らが作ったカレーをおすそ分けしてもらったこともあります。そんな感じで、なかなか楽しく、あたたかいシェアハウス生活でした。
集合住宅、伝統的な家、ボートハウス……
オランダというと、この写真のような家のイメージが強いのではないでしょうか。特にアムステルダム市内はこういった昔からある家が多く、とても美しい街並みが特徴です。
ただ、家と家がぴったりとくっついて建っていて、「地震が多い日本では考えられない…」と、見ていてちょっぴりドキドキしてしまいます。しかも、たまに傾いている家もあります。
アムステルダムの中心地を離れると、こういった集合住宅もあります。この写真は、私が最初に住んでいたシェアハウスがある集合住宅地です。
ポストが小さく、大きな荷物が届いた時は、近所のスーパーもしくは隣の家に預けられます。
さて、オランダの物件の一つに、ボートハウスがあります。ボートに住んでる人、けっこういます。私の剣道仲間にもボートハウスに住んでいる人がいますし、Airbnb(エアビーアンドビー)でも、ボートハウスのプランが人気です。
ボートを超えて、船に住んでいる人たちもいます。写真だとわかりにくいかもしれませんが、家の近所によく停泊していた船で、帆を張るとかなり大きいです。私は密かに「海賊船」と呼んでいました。彼らは真昼間からデッキで寝転がってたまにバーベキューをしています。
おわりに
今回は、オランダ移住する際の住居事情について紹介しました。物件の契約から実際に住んでいる人たちのこと、そしてボートハウスや伝統的な家など多様な住居形態まで。
住居形態ももちろんですが、日本との大きな違いの一つは「シェアに抵抗がないこと」かもしれません。むしろシェアを前提に家を借りている人も多いです。アムステルダムは移民が多く、ビザが下りなければそもそも家を借りることはできません。そんな人たちに向けて短期滞在で簡単に家を貸せるのがシェアハウスです。
また、最近は不動産価格が高騰しているため、借りる方も貸す方も、シェアをした方が合理的というのもあります。
このように、衣食住の一つをとっても日本とオランダでは大きな違いがあります。次回以降も、オランダと日本の違いに焦点を当てつつ、移住をするにあたって苦労したことを紹介していきます!
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