ビジネス英語の評価基準!? TOEICのスコアレベルと勉強法
はじめに
多くの企業で昇進・昇格の基準として採用されているTOEIC。昇進・昇格以外にも、就職・転職の求人ではTOEICスコアが応募資格となっていることや、配属先の決定や海外赴任の選考基準としてTOEICスコアが用いられることもあり、ビジネスマンにとっては避けて通れないテストになってきています。
今回は、TOEICとはどのようなテストなのか、そして、そのスコアによってどのような評価をされるのかを紹介します。また、TOEICスコアを上げるためにおすすめの勉強法も伝授します。
「自分にはTOEICなんて必要ない」と思っていても、今後必要になる可能性は大いにあります。英語が苦手な方は、まずはTOEICの学習を通して英語の基礎を身につけ、そこから徐々にビジネス英語のスキルアップに繋げていくこともおすすめです。
TOEICの概要
TOEICは“Test of English for International Communication”の頭文字を取ったもので、日本語で言うと「国際コミュニケーション英語能力テスト」です。
TOEICにはいくつか種類がありますが、一般的には「TOEIC Listening & Reading (TOEIC L&R)」が企業で英語力を測る指標として使われています。よって、本記事でも、TOEIC L&RをTOEICとして解説していきます。
TOEICの試験時間は2時間、問題数は200問です。スコアは、最低が10点、満点は990点です。リスニングとリーディングの2セクションに分かれており、解答はマークシートを埋める形で行います。
TOEIC: リスニングセクション
リスニングセクションの試験時間は約45分間、問題数は100問です。スコアは、5点~495点で採点されます。
Part1からPart4まで、それぞれ異なる出題形式のリスニング問題を、放送される音源を聞きながら解き進めます。45分間、音源を聞きつつ、設問・選択肢を目で追いながら解き進めるので、リスニングセクションでは集中力をキープすることが重要です。
ここで、各Partについて、簡単に見ていきます。なお、TOEICを運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)のサイトで各Partのサンプル問題を解くことができるので、こちらも参考にしてください。
●Part1
Part1は写真描写問題です。問題数は6問。問題冊子に載っている写真について、放送される4つの説明文の中から最も当てはまるものを選ぶ形式です。
●Part2
Part2は応答問題です。問題数は25問。質問・文が放送され、それに対する3つの答えの選択肢の中から、最も当てはまるものを選びます。比較的短い文が多いため、TOEIC初心者のリスニング対策はPart2対策から始るのがおすすめです。
●Part3
Part3は会話問題です。問題数は39問。1つの会話に3問ずつ設問があるので、13個の会話が放送されます。2~3人の会話が放送され、会話の内容に関する3つの設問について、それぞれ4つの選択肢から正解を選びます。
●Part4
Part4は説明文問題です。問題数は30問。各説明文に3問ずつ設問があるため、説明文は10個放送されます。形式はPart3と似ていますが、Part4では1人が話す広告やアナウンス・留守番電話等が放送され、その内容に関する設問に答えます。
TOEIC: リーディングセクション
リーディングセクションの時間は75分間、問題数は100問です。スコアは、リスニングセクションと同様に5点~495点で採点されます。
Part5からPar7まで100問もの問題を限られた時間内に解き進めるため、時間配分がとても重要になります。
●Part5
Part5は短文穴埋め問題です。問題数は30問。短文の中の空欄に入る解答を4つの選択肢から選びます。Part5の問題は文が短く、基礎的な単語や文法の知識があれば解ける問題が多いので、TOEIC初心者のリーディング対策はPart5から始めるのがおすすめです。
●Part6
Part6は長文穴埋め問題です。問題数は16問。文書の中の4つの空欄に入る単語やフレーズを4つの選択肢から選びます。Part5の長文バージョンのような形で、実際にPart5と同じ問題パターンも出題されます。
●Part7
Part7は長文読解問題です。問題数は54問。リーディングセクションの100問中半分以上がPart7の問題です。長文の文書を読み、その内容に関する複数の設問に答えます。文書の種類は広告・Eメール・チャット等様々で、1つの文書について答える問題もあれば、関連する2~3つの文書を読んで設問に答える必要がある問題もあります。
TOEICの評価と目標にすべきスコア
TOEICの基礎知識を確認したところで、次は「TOEICの点数がどのように評価されるのか」について解説します。
一般的に、就職・転職活動の履歴書に書けるのは「TOEIC600点以上」と言われています。昇進・昇格に必要なTOEICスコアは企業や職種により異なりますが、まずはTOEIC600点を早めに取っておくことがおすすめです。
また、企業によっては、若手に対してより高いTOEICスコアを求める傾向があり、就職活動時にはTOEICのスコアを基準として設けていない場合でも、内定から入社までの間にTOEIC600点以上を取るように求められるケースもあります。
自分より高いTOEICスコアを持つ後輩社員に囲まれる前に、TOEIC600点取得後はさらに上を目指すのも良いかも知れません。
しかし、TOEIC600点レベルの英語力では、ビジネスで英語を使いこなすのは難しく、業務で英語を多く使う職種や外資系企業等では、TOEIC700点以上を応募要件や昇格・昇進の基準としていることが多いです。
一概に「TOEICスコア=英語力」とは言えませんが、ビジネス英語ができればTOEICスコアが上がることも事実です。私自身は特にTOEIC対策をしたことはありませんが、海外赴任や外資系企業での業務を通してビジネス英語を習得し、TOEIC985点を取りました。
TOEIC対策をする中で、ビジネスで使える単語や表現を多く学ぶこともできるので、まずは自分なりの目標を決めて、TOEICの勉強に挑戦してみてはいかがでしょうか。
TOEICスコアアップのための勉強法
ここからは、TOEICのスコアをアップするためにおすすめの勉強法を3つ紹介します。
基礎文法を復習する
TOEICでは、文法の知識が必要不可欠です。特にリーディングセクションのPart5では「文法問題」と呼ばれる問題パターンが多く出題されますが、文法知識があれば1問を15秒で解くことも可能です。
まずは、中学校で学んだ英文法を総復習しましょう。書店に行けば、分かりやすい中学文法の参考書がたくさん並んでいます。自分が勉強しやすそうだと思うものを選ぶと良いでしょう。
または、Part5対策をしながら文法の復習をすることもおすすめです。TOEIC初心者向けの文法参考書では、Part5の問題を通して文法項目を学ぶことができるものが多くあります。文法を学びながらTOEICの問題に慣れることができれば一石二鳥ですね。
TOEIC頻出単語を覚える
TOEICのスコアをアップするためには、語彙力強化が欠かせません。しかし、むやみに何でも英単語を覚えるのではなく、TOEICの頻出単語に絞って覚えることがおすすめです。
TOEICには専門用語やアカデミックな用語は出てきません。日常的なコミュニケーションやビジネスの場面等で使われる単語のみが出題されます。TOEIC対策用の単語帳には目標スコア別に覚えるべき単語が載っているものもあり、とても便利です。
または、単語学習アプリを使って、TOEIC対策モードで学習を進めることもおすすめです。自分に合った単語帳やアプリを選び、単語を使って例文を作りながら覚えていくように取り組んでみましょう。
音読をする
最後におすすめしたいのは、音読です。第12回でも紹介しましたが、音読はTOEICのリスニング対策はもちろん、リーディング対策としても役立ちます。
自分が発音できる音は聞き取り易くなります。TOEICのリスニングの音源を聞き取れるようになるためには、まずはそれを声に出して読む練習をすることが一番です。
方法はとてもシンプルです。TOEIC公式問題集など、音声ダウンロードやCD付きの参考書を使い、音源と同じように発音できるようになるまで、繰り返し声に出して読む練習をします。最初はPart2やPart5の短い英文を音読し、慣れてきたらPart3、4の音読に挑戦してみると良いでしょう。
注意点は、まず音読する英文の意味や文法をしっかりと理解してから、音読をすることです。意味が分からない英文を音読しても効果はありません。「音読は面倒くさい」と感じるかも知れませんが、しっかりと音読に取り組んだ学習者は必ずTOEICのスコアが上がり、英語力もしっかり身に付きます。ぜひ挑戦してみてください。
おわりに
今回は、ビジネス英語の評価基準として用いられることの多いTOEICについて簡単に紹介しました。
初めてTOEICの勉強に取り掛かる方は、まずは1度TOEICを受験し、現状の自分のレベルを把握することから始めましょう。その上で自分のレベルに合った参考書を使い、勉強法を行うことで、効率的にスコアアップを目指すことができます。
今回おすすめした勉強法が、TOEICのスコアアップはもちろん、ビジネスで役立つ英語力を習得することに繋がると嬉しいです。皆さんの挑戦を応援しています!