サポートされるシステム構成
サポートされるシステム構成
RHEL4およびSLES9でサポートされるシステム構成を比較します。これらの情報は、レッドハットおよびノベルのホームページで参照することができます。
http://www.redhat.co.jp/software/rhel/configuration/
SLES9(ノベル)
http://www.novell.com/ja-jp/products/linuxenterpriseserver/kernel_limits.html
最大論理CPU数についての比較
ここでサポートされる最大論理CPU数について比較します。
| RHEL4 | SLES9 | ||
| 最大CPU | x86 | 32 | 128 |
| AMD64/EM64T | 8 | 8 | |
従来からのIA32といわれるx86アーキテクチャにおいては、RHEL4とSLES9ではサポートされるCPU数が異なります。RHEL4では 32CPUまでに対しSLES9では128CPUまでと、4倍もの差があります。しかしながら、SLES9の128CPUというのはあくまで理論値であ り、実際には32CPUまでなので、現実的には差はないと考えられます。
IA32に対して64bit拡張をおこなったAMD64/EM64Tアーキテクチャ上では、RHEL4およびSLES9のどちらも8CPUまでと同様です。
このように、サポートされる最大論理CPU数には実際のところ差がないことが判ります。それでは、同一の(マルチCPU)システム上でRHEL4お よびSLES9を使用した場合、それぞれ同じパフォーマンスが得られるのかといえば、必ずしもそうであるとは限りません。
スケジューラの実装が異なると、CPU数が増加するに従ってそのパフォーマンスに差が発生します。レッドハットもノベルもスケジューラに関して独自のパッチを加えており、その実装の相違によりパフォーマンスが異なることが予測できます。
また、一般的なIAシステムでの最大物理CPU数は4つであり、論理CPU数が4つを超えるシステムでは通常のSMPではなく、SMT/マルチコア /NUMAといった技術も採用されている可能性が高くなります。そのような場合でも、スケジューラを含めたカーネルの実装が異なればそのパフォーマンスも 異なります。
しかしながら、公表されているスペックベースではRHEL4とSLES9のどちらがより高いパフォーマンスを示すか判断できません。これは、使用す るハードウェアやソフトウェア環境によって結果は左右されるためです。公開されているベンチマーク結果などを参考にしながら、実環境でのテストを行うこと が推奨されます。
最大メモリ容量についての比較
次にサポートされる最大メモリ容量について比較してみます。
| RHEL4 | SLES9 | ||
| 最大メモリ | x86 | 64GB | 64GB |
| AMD64/EM64T | 64GB | 1TB | |
| 最大ユーザ/カーネルスペース | i386 | 4G/4GB | 3G/1GB |
x86アーキテクチャでは、RHEL4およびSLES9のどちらも最大64GBと同様です。64GBというのは、x86アーキテクチャ(PAE使用時)で扱えるメモリ領域の上限です。ここで注意しなければならないのは、実際のシステムにおいては主メモリの他にも様々なシステム領域があるために、 64GBすべてを主メモリに割り振る当てることは非現実的であるということです。
実際には、RHEL4とSLES9のどちらにおいても実践上では48GB程度までだと考えるのが無難です。それでは、同一メモリ容量のシステム上で RHEL4およびSLES9を使用した場合、アプリケーションは同じだけのメモリを使用できるのかというと、実際には異なります。
SLES9では従来から使用されているユーザ3GB/カーネル1GBのメモリ空間モデルを採用しています。RHEL4ではそれに加え、ユーザ 4GB/カーネル4GBのメモリ空間モデルも使用することができ、より大きなユーザアプリケーションに対応することが可能です。
AMD64/EM64Tアーキテクチャ上では、RHEL4とSLES9ではサポートされる最大メモリ容量が異なります。RHEL4ではx86と同様 に64BGまでとなっているのに対し、SLES9では1TBまでと大きな差があります。RHEL4が64GBまでとなっているのは技術的に64GB以下の 主メモリしか認識できないのではなく、レッドハットとしてサポートできる主メモリの上限が64GBということです。
しかしながら、AMD64/EM64Tアーキテクチャを用いたシステムを採用する大きな理由の1つに64GBを超えるメモリ空間の利用があげられますので、このことはディストリビューション選定の際に注意を払うべき事項であるといえます。