Linux/OSSの導入実態と今後の展望 1

OSSの導入状況

OSSの導入状況

   まずはじめに、社内の情報システムにおけるOSSの導入状況を質問したところ、OSSを既に導入しているのが32%となり、約1/3のユーザ企業・団体でOSSが導入されているという結果となった。

   また、導入を検討中あるいはこれからの導入に興味があるというような、OSSの導入に対して前向きに捉えているユーザも31.3%と高い数値を示し ている。導入済みと導入検討中・興味ありを合わせると60%以上を占めることになり、OSSに対する導入意識は非常に高いことがはっきりと示されている。

 

OSSの導入状況と今後の導入意向
図2:OSSの導入状況と今後の導入意向


   次に業種別に見てみると、公共では61.9%が既に導入している。さらに導入意向ありを合わせると80%以上になる。この結果から官公庁や自治体での積極的な導入が図られていることは一目瞭然であり、政府のOSS推進政策は浸透しているようである。

   公共に次いで2番目に高い導入率はサービス業(44.8%)となり、公共とサービス業の2業種で全体の導入率を高めている格好となっている。その他の業種では、製造業で30%以上の高い導入意向を示しており、今後の導入が期待される。

   また、ここでは示していないが企業規模別に見てみると、年商、従業員数とも企業規模の大きさに比例して導入率が高まる傾向も示されている。年商1,001億円以上では42.2%の導入率となっており、導入意向ありを合わせると75%を占める結果となっている。

 

導入しているOSSの種類

   OSSを既に導入しているユーザに対し導入しているOSSの種類を質問したとこ ろ、86.3%のユーザがLinuxを導入しているという結果となり、他のOSSに比べ圧倒的に高い導入率を誇っている。同じUNIX系のオープンソース OSであるFreeBSDは6.9%、その他のOSは導入なしという結果から見ても、オープンソースOSはLinuxという地位が確立されている。 Linuxのもう少し踏み込んだ分析については、第2回で詳しく述べていきたい。

OSSの種類別導入率
図3:OSSの種類別導入率(複数回答可)


   2番目に高い導入率は56.4%でWebサーバのApache(56.4%)となった。ま た、メールサーバのSendmail(34.8%)、DNSサーバのBIND(27.9%)、ファイル/プリンタサーバのSamba(25%)など、各 サーバアプリケーションソフトも高い導入率を示している。

   ただここで留意していただきたいのは、このようなサーバアプリケーションソフトウェア群は、実際にはこのアンケート結果よりもっと多く導入されてい ることが考えられるということである。SIerがLinuxを使ってシステムを構築する際には、これらのソフトも使われている確率が高い。ほとんど SIerにまかせっきりの情報システム管理者では、OSやDBは認識していても、アプリケーションソフトが入っていることを認識していないケースも結構あ るため、アンケート結果に反映されていないということも十分有り得るからである。

   オープンソースのDBMSについては、PostgreSQLが22.5%、MySQLが14.7%となっている。OracleやMicrosoft SQL Serverなど商用DBMSで市場が固められている中、この数値は健闘している。DBMSにもオープンソースの波が迫ってきていることは間違いない。 オープンソースDBMSについては第3回で検証する。

   OSSの用途としては、全般的にWeb系システムで80%以上となっておりフロントエンドでの導入が進んでいる。基幹系システムへの導入はまだ少ないのが現状である。

 

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