なぜNeoCore XMSが採用されたか
なぜNeoCore XMSが採用されたか
次に、XML文書をそのまま格納できるXMLDBの導入を検討することにした。
導入検討時にはXMLの柔軟性をそのままに格納・検索ができるXMLDBが存在すると考えていた。しかし、実際に製品を調査していくと様々な問題があることがわかってきた。
当時、すでにいくつかのXMLDBはリリース済みであった。今回事例で紹介するNeoCore XMSは三井物産が日本国内で販売を開始した直後であり、日本国内では後発組であったため、導入実績は多いとはいえない状況だった。
しかし、その中でNeoCore XMSが選択された理由は、次の2点である。
- スキーマ定義が不要である
- 格納するデータ量が増えても検索スピードが一定であり、しかも高速である
NeoCore XMS以外のXMLDB製品では、XML文書を格納する前に、どのようなXML文書を格納するのか、あらかじめスキーマを定義しておく必要があった。運用上、スキーマを定義する手間がかかるのはRDBMSでも同じである。
そのため、運用・維持コストはRDBMSを採用した場合と変わらないと考えられた。しかし、スキーマ定義が必要だということは、結局は固定的なデータしか登録できないことを意味するため、柔軟性を必要とされる今回のシステム要件をクリアできないことになる。
スキーマ定義をしなくてもXML文書を格納できる製品も存在してはいたが、格納しているデータ量が増えていくと検索スピードが遅くなってしまうことがわかった。これでは性能要件を満たさないのは明らかであった。
一方、NeoCore XMSは、スキーマ定義が不要であるため、データ項目が変更になったとしても定義のやり直しを行う必要がなく、運用・維持コストの低減が可能になる。ま た、データ項目の増減など格納するデータのスキーマが変更されたとしても、問題なくすべてのデータを格納していくことができる柔軟性を持っていることがわ かった。
さらに毎回のアンケート情報をすべて蓄積していくことになるが、NeoCore XMSでは格納するデータ量が増えたとしても一定の検索スピードが実現できることがわかった。
このようなアドバンテージにより、NeoCore XMSが採用されることになった。
なお、XML文書をそのまま格納できるRDBMSも世の中に存在していたが、まだ世の中に登場してきた直後であり、今回の要件を満たすような製品は見当たらなかった。
NeoCore XMSの効果
システムを構築する際、不慣れなXMLDBでの開発であることや柔軟性の高い方式に変更するために3回ほどプログラム変更を要したが、プロジェクト当初に設定したリリース時期を延ばすことはなかった。

図5:プロジェクトのスケジュール
今回のプロジェクトにおいて、プロジェクト当初の課題であるコスト低減と柔軟性の高いシステムを構築することができた。初期開発での開発コストは RDBMSの場合と変わらないが、改修・運用に関するコストは当初計画したRDBMSベースのものに比べて30〜50%削減することが可能となった。
おわりに
今回紹介した事例のシステムは、今後は他のシステムとの連携も視野に入っており、NeoCore XMSを核とした本格的なCRMシステムへの拡張も将来的には検討しているという。より効果的なアンケートやキャンペーンを行うため、データ項目を自由に 改廃しながらトライ&エラーを繰り返すことが簡単にできるようにする必要があるためだ。
RDBMSはデータベースの代名詞であり、これからも企業の業務システムに最も多く利用されるデータベースであることは間違いない。
しかし今回の事例のように、表5のことを実現させようとする場合、NeoCore XMSはもっとも最適なソリューションを提供できる製品の1つであると考えられるのではないか。
- システムの変更に柔軟に対応できること
- システム運用開始後の運用・改修コストを低減できること
- データ量が増えても高い検索性能の確保すること
