モバイル・セキュリティにおけるBYODという考え方

2012年3月23日(金)
小川 直樹(おがわ なおき)

ITの“2大トレンド”

ご存じのように、ここ数年の2大ITトレンドと言えば、「クラウド」と「モバイル」でしょう。この2つの《メガ・トレンド》はビジネスに変化と機会をもたらす重要な要素となっているように思います。

この5年程を振り返ってみれば、クラウド/データセンターを中心にサーバー/ストレージでの仮想化環境が急速に普及しました。海外では1台の物理サーバー上に平均6台の仮想サーバーがあるとも言われています。そしてクライアント・デスクトップにまで仮想化の波は押し寄せています。

またネットブック、ウルトラブック、スマートフォン、タブレット端末といったモバイル機器の普及もあり、ワイヤレス環境も当然あるべき環境になってきています。またそれに伴い「ビジネス・モビリティ」や「モバイルワーカー」といった言葉も定着してきたのではないでしょうか。そして、その周辺からソフトウェア、アプリケーションやサービスといった新たなビジネス機会、ビジネス・モデルが出て来ています。

さて、本連載(全3回)の中で、この2つのトレンドとその周辺を《セキュリティ》という観点から見ていきたいと思います。《セキュリティ》は必ずと言ってよいほど、各種調査結果で企業ITでの課題トップ3に入っているイメージがあるのは私だけではないでしょう。それだけ認識され何かしら対応されているであろうにも関わらず、毎年のように情報漏えいなどの問題がニュースで取り上げられているのも事実です。

日々新しい脅威が現れるため、IT管理者は《セキュリティ》を常に意識し、最新の環境やユーザーの要望に対応しつつ、セキュリティ・レベルを維持あるいはさらに高度にしていくといった、もはや終わることのない、永遠の課題としてとらえなければならないでしょう。

図1:ITの2大トレンド~ビジネス規模は大きく拡大~

モバイル機器市場について

本連載最初のお題は、モバイル・セキュリティについてです。

前述の通り、トレンドとして「モバイル」という言葉を使いました。これは日本語にすると「移動性」となりますが、今ではモバイル機器、特にスマート・デバイスの進化・普及によって、“いつでも・どこからでも”ネットワークに接続でき、必要な情報のやり取りができるようになりました。そういった状況を踏まえ、モバイル機器のセキュリティについて見ていくことにします。

まず、セキュリティについて考える前にモバイル機器の状況を今一度整理してみましょう。今やモバイル機器はスマートフォンをはじめ、プライベートでもビジネスでも欠かせないツールとなっていますね。私も会社からラップトップPCとスマートフォンを支給されていますが、その他にもネットブックと小型タブレット端末を個人所有しています。仕事柄、社外からメールを見たり、文書を作成・送付したりすることも多いので、個人所有のモバイル機器も仕事のツールとして使っています。

実際、この原稿も会社のPCと個人所有のネットブック、小型タブレット端末と3つの機器で共有して書き上げているのです。労働時間に対する考え方が変化してきている感じもしますね。この点についても後ほど触れてみたいと思います。

ともあれ、このように一人でモバイル端末を複数台使用しているケースは多いのではないでしょうか。そして公私にわたって使用しているケースも多いと思います。読者のみなさんはいかがですか?

こうして、一人でも複数台のモバイル端末を使用する機会が増えてきたことから、スマート・デバイスの出荷台数は急増しているのでしょう。各種調査結果から前年比240%以上の増加率と認識しています。

さらに個人所有端末の業務利用、“BYOD(Bring Your Own Device)”の検討・導入が進んでいるのではないでしょうか。

著者
小川 直樹(おがわ なおき)
ジュニパーネットワークス株式会社 マーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャー

プログラマーから始まり、大手外資系ソフトウェアベンダーにて、ストレージソフトウェアを中心にプリセールス、プロダクトマーケティングを担当。2008年より現職。

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