連載 :
  ReadWrite Japan

映画によってVR業界全体が注目を集めるかも知れない

2015年8月11日(火)
ReadWrite Japan

VRが捉えたがっているのはゲーマーの視界だけではない。TVの前で座わっている人たちもターゲットだ。

VRの流行を牽引するフェイスブックに参加したVRギアメーカー、OculusはこれまでVRシネマ実現の為にロビー活動に励んできた。同社はちょうど先週、VRプロダクションのFelix & Paul Studiosと、Oculus RiftおよびサムスンのGear VRで没頭的なVRのエクスペリエンスを提供するための提携を結んだ。

この発表は「過去最大のライブアクションVRに関するパートナーシップだ」と喧伝されている。同プラットフォームをゲーム以外にまで展開しようとする共同戦略としては最新のものだ。複数のVR業者達による取り組みは、このテクノロジーに興味がある全ての人たちに影響を与えることになる。

VRのファンなのであれば準備はいいだろうか。その世界に没入できるビデオがより多く出てくる。映画製作者は新しい表現方法(と、言うまでもないがそのツール)を手に入れた。そして開発者たちにとってはより多くの存在的なカスタマーに結びつくことを意味する。

映画をバーチャルにする

これらのVRゴーグルは視聴者の視界を取り巻くこれまでで最大のスクリーンになる

これらのVRゴーグルは視聴者の視界を取り巻くこれまでで最大のスクリーンになる

Felix & Paul StudiosはGear VR向けにジュラシックワールドとWildの作品を造りだしたことでよく知られているだろう。このサムスンのゴーグルがOculusの技術で動いていることを考えると、Riftでも同様のことが起こると考えるのは自然なことだ。

このスタジオの共同設立者、フェリックス・ラジェウネスは、VRシネマは物語を伝えるための興味深い手段であり、彼はそれを現実のものにするのに一役買いたいという。「我々とのOculusにおけるパートナーシップにより生み出されるプロジェクトは、フィクション、ノンフィクションのみならず、音楽やパフォーマンス・アートなどでVRの没入感がもつ前例のないポテンシャルを探る機会となる」と彼はプレスリリースで語った。

OculusはVRの持つ芸術面でのポテンシャルを推し続けているが、彼らはインディーズの映画製作者ではなく技術の会社だ。VRシネマとは同社のプラットフォームをゲームより更に広い層に訴えかける1つの方法である。

ゲーマーは既にVRに熱い注目を集めており、またゲームはプレイヤーをその世界に引き込めるかどうかにかかっていることから、彼らとの相性はそもそもいいものだろう。Entertainment Software Associationによれば、既に1億5千万人ものアメリカ人がゲームに夢中になっているという。これは今年末には1億人を超えるであろうと予測されているストリーミングの購読者よりも多い数字だ。

しかしこれが全ての視聴者というわけではない。他にもYoutubeやDailymotion、ケーブルTVをメインにしている視聴者や、映画館に行く層、つまりビデオや映画が好きな人達全員という事だ。

VRがどういうものかを伝えることは難しい。そこでGoogleはI/O 2015で一面パノラマで囲まれた動画を発表した。本当のVR環境はもっと没入感があるものになるだろう

VRがどういうものかを伝えることは難しい。そこでGoogleはI/O 2015で一面パノラマで囲まれた動画を発表した。本当のVR環境はもっと没入感があるものになるだろう

VRが大ヒット映画の上映方法として人気となり、多くの聴衆を引きこむことになれば、彼らは他にどの様なVR作品があるか目を向けるようになると言うのは十分ありえる話だ。

これはVRアプリ製作者にとっても重要な機会となる。独立系の開発者は既に膨大な数があるモバイルアプリ業界において注目を集めるために苦しい時期を過ごしているが、VR業界はまだよちよち歩きの段階だ。今なら新規参入者でもこの注目を集めているが他のプレイヤーが少ない分野で足跡を残すことが出来る。

Oculusがアプローチを多角化するのには幾つかの理由がある。その中で最も大きいと考えられるのが、ValveのSteam OSで動いている非常に出来のいいライバル、HTC Viveヘッドセットと、ゲーム分野で激闘を繰り広げる事になるかも知れないという事だ。Oculusもその事は十分すぎるくらい理解しているので、シネマの方で保険を打とうというわけだ。

ビデオがVRの起爆剤になるかも知れない

ただ一つ懸念がある。Oculusは未だコンシューマプロダクトを出していない。Riftは来年にならないと発売されないのだ。しかしその事で準備が滞ることはない。

OculusだけがVRビデオに力を入れている訳ではない。今年の初め頃、サムスンはWalking Deadのエグゼクティブ・プロデューサー、David Alpertと提携し、Mild VRサービスを開始すると発表した。GoogleもYoutubeで360度カメラをサポートし、Cardboardユーザーおよびその他は全方位ビューを楽しめるようになった。

Google I/O 2015のCardboardデモで段ボールを装着している有志

Google I/O 2015のCardboardデモで段ボールを装着している有志

Oculusにとっては、Felix & Paulの話がシネマ方面での最近の動きだ。このFB参加の企業はすでにPixarを含んだVRショートムービーを作成するハリウッドのベテラン集団、Story Studioの事を紹介した。またCannes Film Festivalでも映画制作会社にアピールするために同社のプラットフォームを紹介した

今やVRメーカー達がコンテンツを充実するために躍起になっている。ギャンブルの部分はかなりあるが、もし当たれば業界全体が盛り上がり、VRでの成功が現実のものとなる。

画像提供:Adriana Lee

Adriana Lee
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています