Eveはプログラミングを変化させようとしている
ここ数年世界では、プログラミングの学習に興味が集まっているが、今月初公開されたEveはこれに対してまったく異なるアプローチを取っている。このツールは人をプログラマーにしようとする試みではなく、プログラミング自体を変化させ、「コンピューターとインタラクトするのにより良い方法」を作成するのである。
簡単に言うと、単純性とアクセスのしやすさを根幹に置いている。共同設立者であるクリス・グレンジャーは発表後のブログで語っている。「長年かけて、プログラミングはプログラムを作成するというイメージに本質的に結びついてしまいました。しかし、実際に大半の人間が行おうとしていることは、自分が考える代わりにコンピューターに考えてもらい、その結果を知らせてもらうということなのです」
Eveのバージョン0は、長い道のりにおける最初のマイルストーンである。公式ウェブサイトはプロジェクトを以下のように説明している。
表面だけ見ると、Eveは、表の中で列や行を動かすことによって簡単に「プログラムする」ことができるExcelのような環境です。実態はというと、単純なウェブサイトから複雑なアルゴリズムまであらゆるものを作ることができる強力なデータベースであり、時相論理言語であり、柔軟なIDE(統合開発環境)なのです。
テキスト・エディタにタイプするのではなくドラッグ・アンド・ドロップで、また最初に中間言語に翻訳せずにコンピューターに必要なことを説明できるツールなのである。
「バージョン0」は完成版からは明らかに程遠いとグレンジャーはブログで認めているが、プロジェクトはEveの目的を告知するのに十分に進化し、プログラマーやその他(プログラミングの知識を持とうが持たまいが)興味を持つ人々が実験的に使用できるようになった。
Eveの誕生
いくつかの意味において、Eveは(「イフト」、「If This Then That」としても知られる)IFTTTと似たような道をたどっていると考えられる。このツールを使うと、通常のユーザーがサービスを連携させ、自動化を作成するということができるようになる。これは、以前は開発側の仕事であった。しかし、IFTTTのわかりやすいインターフェースを使えば、(これをサポートしているサービスに関しては少なくとも)今では誰もがこれを行えるようになっている。
Eveの前提はより深いところ、つまり必要としている機能やサービスをユーザーに作らせるというところにある。プロジェクトの声明には、Eveの目的は「プログラマーが配管工事を心配せずに難しい問題の解決に集中できる環境を創ることである」と書かれている。
人とコンピューター間のフィードバック・ループを短くすることに力を注いだIDE、Light Tableを作成したチームがEveも開発している。そのことを考えると、この精神は筋が通っていると言える。
Light Tableの開発が、さらに先を行くEveの土台になったのである。Eveではリレーショナル・データベース、新しいプログラミング言語、IDE、UI(ユーザー・インターフェース)エディタがすべて一つにまとまっている。Eveは去年の暮れに大物投資家から230万ドルの資金援助を受けている。この資金はプロジェクトの具体化に利用されたとみられる。
私たちは非常に理論的なアプローチを試み、Eveを設計するのに白紙の状態から始めました。参考文献は広範囲にわたり、言語設計からクエリ最適化、高次元幾何学や認知科学までに及びました。
プログラマーや興味を持った企業には、是非Eveがどのようなツールであるかをチェックすることをお勧めしたい。Eveの仕組みは開発日記にさらに詳細に記載されている。
無からの設計
言語のノウハウを覚えるのはExcelのチュートリアルを進めるぐらい簡単であるべきである。Eveで作成されたアプリは、ウェブのリンクで共有することができる。しかし最終的に、ビギナー用のツールで終わってしまうわけではない。上級プログラマーはJavaScriptを用いて、Eveの能力を拡張することができる。
バージョン0では、データベース、コンパイラ、クエリ・ランタイム、データ・エディタ、クエリ・エディタが提供されている。つまり本質的に、データベースが付いたIDEである。初期のバージョンとして、Eveは実験的に設計されたのであり、本格的なプロジェクトの作成のためではなかった。しかし、この状況が変わるのに時間はかからないはずである。
将来的には、Eveを有効化したアプリをTwitterからAmazon Webサービスまでのすべてに繋ぐことができるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の作成予定がある。
グレンジャーは、Eveが秘める可能性とともに、取り組まなければいけない部分も多々あることを理解している。「Eveはまだ初期段階であり、欠けている部分もたくさんありますし、バグの数も確かに多いです。しかし、私たちが将来実現しようとしているビジョンを実演できるところまで到達しました」
画像提供:Shutterstock and Eve
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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