Linux上でSAPの堅牢性をより高める
SAPシステムクラスタ環境の構成
物理的な配置としては、各サーバーの内蔵ディスクにRedHat LinuxとLifeKeeper(ARKはNFS、Oracle、SAPを使用)、Oracleソフトウエアを導入し、共有リソースとなるOracleのログファイルやデータファイル。SAP ASCS*2インスタンス用ファイル群は外部ディスクに配置しました。具体的には下記の表をご参照ください。
SAP関連のファイルシステムについては、NFSマウントさせるものについては「/export」(ネーミングは任意)というディレクトリ下に配置する構造としました。Oracle関連のファイルシステムについては、Oracleホームディレクトリを各サーバーのローカル(内蔵ディスク)上に配置する都合上(「LifeKeeper Administration Guide」より)、データファイルごとにパーティションを分割するデザインとしました。仮にもし「/oracle」というパーティション1つのみの場合、LifeKeeperとしては、内蔵ディスク上のOracleホームディレクトリが外部ディスク上の「/oracle」に後から上書きマウントされないようハンドリングすることができません。
Mount Point(内蔵ディスク) | Mount Point(外部ディスク) |
---|---|
/boot | /export/usr/sap/trans |
/usr/sap/ |
|
/ | /export/sapmnt/ |
/oracle/ |
/oracle/ |
/usr/sap/ |
/oracle/ |
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/oracle/ |
|
/media (任意) |
次に、ネットワーク構成は、表のように、SAP用とOracle用にそれぞれ仮想IPアドレスを付与しました。これはアクティブ-アクティブ構成(SAPとOracleがそれぞれ別のサーバー上で稼働)を想定しているためです。
最後に、各アプリケーションの配置は,サーバーAにSAP ASCSインスタンス(フェイルオーバー対象)とセントラルインスタンス(非フェイルオーバー対象)が、サーバーBにSAPエンキューレプリケーションサーバーとダイアログインスタンス(非フェイルオーバー対象)、さらにOracle(フェイルオーバー対象)が稼働する構成としました。
図2:構成イメージ(クリックで拡大) |
検証の詳細に入る前に事前知識として、次ページでは、IBMブレードサーバーを格納するIBM BladeCenterと、LifeKeeperについてご紹介します。
[*2]SAP R/3 4.6CやSAP Enterpriseといった過去のSAPバージョンにおけるセントラルインスタンスから、メッセージサーバーとエンキュー・サーバーが切り出されたもの。ABAPインスタンスの場合はASCSという名称だが、JAVAインスタンスの場合はSCSインスタンスと呼ぶ。