連載 :
SAP基幹システムの高可用性を低コストでSAPリソース設定に向けてのポイント
2010年12月13日(月)
構築作業の流れ
HA(高可用性)クラスタ・ソフトのLifeKeeper for Linuxを使えば、安定稼働が要求される基幹システムを安価に構築できます。本連載では、SAP NetWeaverとOracle Databaseを用いた基幹システムを、LinuxとLifeKeeperで構築します。第2回の今回は、具体的な環境構築作業の流れとノウハウ、ポイントを解説します。
以下に示すテーブル1では、おおまかな作業項目について、クラスタを構成する2台のサーバーごとに表しています。なお、ハードウエアにおけるファームウエア/BIOSレベルのセットアップや外部ストレージのセットアップ(ゾーニング設定、RAID構成の定義など)は、事前に完了しているという前提です。
【テーブル1】: 作業項目一覧
作業項目 | サーバーA | サーバーB |
---|---|---|
1. OSインストールと設定 | ||
1. RHEL5 Update5のインストール | ○ | ○ |
2. OS事前設定 | ○ | ○ |
3. RDACドライバ(外部ディスク・マルチパス接続用)のインストール | ○ | ○ |
4. 必要ファイル・システムの作成 | ○ | ○ |
2. LifeKeeper for Linux v7インストールと設定(ベース) | ||
1. LifeKeeperのインストール | ○ | ○ |
2. LifeKeeperの各リソース設定(1) [IP] | ○ | ○ |
3. LifeKeeperの各リソース設定(2) [NFS、Filesystem] | ○いずれか片方 | |
3. NetWeaver7.0 EHP1 SR1インストール | ||
1. インストール用メディアのサーバー上へのコピー | ○共有ディスク上にコピーすれば、いずれか片方 | |
2. SAP Cryptographic Libraryのダウンロード | ○ | |
3. NetWeaver7.0 EHP1(ASCSインスタンス)のインストール | ○ | |
4. NetWeaver 7.0 EHP1(DBインスタンス)のインストール(1) | ○ | |
5. Oracle 10.2のインストール*1 | ○ | ○ |
6. NetWeaver 7.0 EHP1(DBインスタンス)のインストール(2) | ○ | |
7. NetWeaver 7.0 EHP1(Centralインスタンス)のインストール | ○ | |
8. システム・コピーによるNetWeaver 7.0 EHP1の再インストール | △(前処理のみ) | ○ |
9. NetWeaver 7.0 EHP1(Dialogインスタンス)のインストール | ○ | |
4. Oracle 11gへのアップグレード*1 | ||
1. 事前準備 | ○ | ○ |
2. Oracle 11.2ソフトウエア・インストール | ○ | ○ |
3. Oracle 11.2データベース・アップグレード | ○ | |
4. アップグレード後処理 | ○ | |
5. SAP Enqueue Replication Serverのインストール | ||
1. 各インスタンス・プロファイルの編集 | ○いずれか片方 | |
2. Enqueue Replication Server用ディレクトリ作成 | ○ | ○ |
3. Enqueue Replication Server用実行ファイル・コピー | ○ | ○ |
4. Enqueue Replication Server用プロファイル作成 | ○ | ○ |
6. LifeKeeper for Linux v7設定(アプリケーション) | ||
1. LifeKeeperの各リソース設定(3) [Oracle、SAP] | ○いずれか片方 | |
7. 後処理 | ||
1. SAPライセンスのインストール | ○ | ○ |
2. その他(詳細は独SAP提供のガイドを参照) | ○いずれか片方 |
[*1] 当検証実施時点で、SAPシステムにおいてOracle 11gを利用する場合は、Oracle 10.2を経由する必要があったため、初めにOracle 10.2で導入し、後からOracle 11.2へアップグレードしている。
次ページ以降では、これらの作業項目に合わせてSAPシステムを導入・設定する上でのポイントを解説します。
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