プロセスを変える - ビジョン
「未来を想像する」とは?
望ましい未来を想像できない時、どうすればいいのでしょう?まず、「未来を想像するとはどういうことか」ということを考えてみます。
未来を想像する時、自分の経験や知識が基になっています。例えば、自分の思い通りにいかない経験を多くしていれば、自分の思い通りにはいかないものだと学習します。一方、自分の思い通りにいく経験が多ければ、自分の思い通りになると学習します。そして、未来の予測は学習した内容に基づき行われます。
さらに、自分が学習したことと異なる意見を聞く機会があったとします。例えば、講演会などで事例を聞き、講演者は自分の思い通りになるという意見を述べます。しかし、思い通りにならないと学習した人からすれば、その考え方は疑わしいものです。「思い通りになるわけがない」と他者の考えを否定する理由を考えます。考えてみると理由は考えつくもので、自分を納得させることが出来、自分の学習した内容は正しいものとして強化されます。疑う姿勢は大切ですが、他者の言うことだけでなく、自分の信じることも疑う対象としたいものです。
想像した未来は参考にはなりますが、自分たちの経験や知識によって偏った想像がなされています。日々の仕事のなかでは常に決断が迫られているため、特定の考え方を信じるのは自然なことです。様々な考え方を選択肢として持っていると、決断する時に迷うことになります。信じることを1つに絞ることで、決断を迅速に行うことが出来ます。しかし、これが時に限界や盲点を作ります(図3)。
図3:記憶が枠を作り、限界や盲点を作る |
ネガティブな理由をあえて考える
過去に学習した内容に基づき決断を繰り返した結果が現在とも言えます。現在が望ましいものではなく、想像される未来も望ましいものではないとしたら、過去に学習した内容に基づき決断をし続けることは有益でしょうか?何か新しい判断基準が求められます。
発想を転換して、判断基準を過去に求めずに、未来に求めます。望ましい未来を創ることを考えましょう。「どうなるか?」ではなく、「どうするか?」を考えます。しかし、望ましい未来を創ろうと考える時、出来ない理由が思い浮かびます。例えば、次に示すような理由です。
- 自分たちの望んでいることが分からない
- 望んでいることへの道筋を想像できない
- 自分たちだけで何とかなるものではない
- 時間が足りない
これらの理由により、諦めの気持ちが湧いてきます。では、これらの理由について、1つずつ対応を考えてみましょう。
未来に立ちふさがる壁を攻略するには
未来を創るという発想をした時、「どのような未来を創るのか?」という問いがでてきます。未来を想像した結果として、望ましい未来が思い浮かばないわけですから、望ましい未来は容易に思いつきません。そこで、望ましいことではなく、嫌なこと、不満、問題点に目を向けます。
なぜ、嫌い、不満、問題点などという考えがあるのでしょうか?これらは、望ましい状態と一致していないことを暗示しています。明確に意識されていない望ましい状態があり、その状態と一致していないことから、問題点などが認識されます。つまり、問題点などを反転させることで望ましい状態を見付けることが出来ます。
望んでいることが分からない時は、まず望ましくないことを明確にします。その上で、望ましくないことを反転させ、望ましいことを見付けていきます。望んでいることを明確にしていくと、チームのなかで意見が割れる時があります。そのような場合には、「なぜ、それが望ましいのか?」と問うことで意見の背景を理解し、共有できる望みを見付けていきます。