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クラウド時代に求められるネットワークのパフォーマンス

2012年2月7日(火)
伊藤 信

ハイブリッドクラウドでのパフォーマンス

それでは、ここからハイブリッドクラウドで、どのように利益や生産性、コスト削減、リスク管理の改善を実施していけば良いのかをまとめたいと思います。ハイパフォーマンスのクラウドを実現するためには、戦略的なプランニング、円滑な導入、サービスの継続性という3つが重要だと考えられます。

・戦略的なプランニング
クラウドモデルの種類はどのような物があるのか? それぞれのクラウドモデルの導入での課題は? 企業や組織として、それぞれのクラウドモデル導入で必要な準備は?
・円滑な導入
クラウドへ移行し、導入する時の課題は? IT管理者はどのように距離の問題やアプリケーション特有の課題を克服するのか? 組織はどのようにクラウドの拡張性をハイブリッドクラウドで享受できるのか?
・サービスの継続性
クラウドサービスの提供と管理の課題は?どのシステムがSLAの準拠を判断するのか?データ保護やビジネスの継続性をクラウド環境でどのように実現するのか?

フェーズ - 1 戦略的なプランニング

クラウドコンピューティングを合理的に移行するために、まず必要なのは既存のIT環境を理解し、正確な情報に基づいた決定をしていくことです。どのサービスをパブリッククラウドへ移行するのか、インフラストラクチャはどの部分をプライベートクラウドであるデータセンターで集中管理するのか、またどの技術を集約せずに拠点に分散させておくのかを考えなければいけません。多くの組織にとって重要なのは、最高のパフォーマンスやコスト効率性、信頼性を実現するための最も合理的なハイブリッド環境の構築です。ハイブリッド環境を構築する上で、克服しなければいけない壁は現在のITの課題と類似していますが、クラウドでは若干視点が変わってきます。

・可視性
統合や集約、アプリケーションの移行を第三者機関であるクラウド事業者へと実施する場合、アプリケーションの相関関係を理解しておく必要があります。パブリックとプライベートクラウド間のサービスのパフォーマンスを管理し、速やかに問題を解決していくには、アプリケーションを認識可能な可視性が必要になります。
・距離
アプリケーションをパブリッククラウドや集約化されたプライベートデータセンターへ集約すると一般的に通信を行う距離が遠くなり、遅延の影響を受けパフォーマンス劣化につながる可能性があります。
・データ
今後もデータは、飛躍的に増加すると予想されています。IDCの予測によると、2010年から2020年の間にストレージは45倍成長する(*1)とされてます。

*1 IDC “The Digital Universe Decade - Are You Ready”2010年5月

・アクセス
ほとんどの組織では、モバイルユーザーや拠点のユーザーのインターネットのトラフィックをバックホール(データセンターへ)しています。パブリッククラウドサービスを導入にするには、この方式がサービス提供時に大きな障壁となる可能性があります。また、これまで多く利用されているWANベースの企業内アプリケーションも同様です。
・セキュリティとコンプライアンス
データの属性によっては、法令で決められた地域内で取り扱う必要があり、パブリッククラウドサービスの提供事業者が限定される可能性があります。そのためクラウド導入を考える組織や企業は、クラウドサービス事業者と監査や認証サービスなどのセキュリティ要件に適合するかデータセンターと事前確認しなければなりません。

重要なITプロジェクトであるIT統合やクラウドの導入や展開では、既存のネットワークで何が利用されているのか、誰がそれぞれのサービスをどの程度使っているのかを把握する必要があります。従来の可視化手法やITインベントリーの解析手法は、これらの情報を集積するのに、非常に長い時間と情報の精度に問題がありましたが、近年になってITのインフラを全体把握し、合理的に可視化できるソリューションが登場し、情報を広範に集積できるようになってきました。

フェーズ - 2 円滑な導入

どのアプリケーションをプライベートデータセンターへ集約するのか、またパブリッククラウドサービスへ移行するのかを決定後、次に重要となるのは、該当するデータとアプリケーションへのアクセスを保ちながら移行を成功させる事です。

・移行(マイグレーション)
WAN越しにデータを移行する場合、またはインターネット越しに移行する場合は遅延の影響を受けます。 データ移行やデータ同期のエラーにより再スタートが必要になると倍の予算が必要になると考えられますが、時間と複雑性の他に、距離や総データ量を元に追加契約する、プライベートクラウドの帯域の増加費用や、パブリッククラウドで発生するデータの送受信量の費用などにより、法外なコストが必要になる場合があります。また、データの移行はネットワークを介して通常実行されているアプリケーションとネットワークのリソースをあらかじめ計算しておく必要があり、事前に利用形態を把握しておかないと、広範にアプリケーションパフォーマンスの影響を及ぼす危険性があります。
・パフォーマンス
データやアプリケーションのアクセスでユーザーが既に“反応”が遅いと感じている場合、既に生産性に影響を及ぼしていますが、このような状況では、新たにクラウド越しのサービスを利用するのは難しいと考えられます。
・拡張性
複数のデータセンターのリソースを分散させるプライベートクラウドを構築しているとしても、またパブリッククラウドの容量の恩恵を受けるためにクラウドサービスを利用するとしても、地域に依存せず、増加投資を抑える事は拡張性の高いハイブリッドクラウドを構築する上で重要です。

パブリックやプライベートクラウドの課題である、ネットワークの遅延やコスト、クラウドコンピューティングで課題となる様々な論点はWAN最適化により解決する事ができます。一般的なWAN最適化製品では、データの合理化、トランスポートの合理化、アプリケーションの合理化を実施し、データの重複排除、TCPベースのアプリケーションのパフォーマンス改善、アプリケーションレベルの往復遅延の影響を削減する事が出来ます。

次回は、ハイブリッドクラウドのアプリケーションのパフォーマンスを、WAN最適化によりどのように改善できるかという点と、サービスの継続性をどのように維持できるかをしていきます。

リバーベッドテクノロジー株式会社

米ジョージ・メイソン大学卒業後、シスコシステムズの日本法人に入社。
ITベンチャー数社でSE、Technical Consultant、Business Development、Strategy & Execution Directorを経験し、07年にリバーベッドテクノロジーへ入社。同社でマーケティングマネージャーに就任。

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