プレイヤーの身体パーツを判別するKinectサンプル
ロジックコードを記述する
リスト2 (MainWindow.xaml.vb)
Option Strict On Imports Microsoft.Kinect Class MainWindow
1個のKinectセンサーを表すKinectSensorクラスのメンバ変数Kinectを宣言しておきます。
Dim Kinect As KinectSensor
プレイヤーごとのスケルトンデータを表すSkeletonクラス型のメンバ変数mySkeletonを宣言しておきます。
Dim mySkeleton As Skeleton
整数四角形の幅、高さ、および位置を表すInt32Rect構造体のメンバ変数myScreenImageRectを宣言します。領域の指定に使用されます。
Dim myScreenImageRect As Int32Rect
Short型の配列メンバ変数myDepthPixelDataと、Byte型の配列メンバ変数myColorPixelDataを宣言しておきます。
※深度情報は、1ピクセルあたり2バイトのshort型。画像情報はフルカラーなので1ピクセルあたり4バイトのbyte型です。
Dim myDepthPixelData As Short() Dim myColorPixelData As Byte()
右手、左手、頭の、Kinectセンサーからの距離の値を格納するSingle型のメンバ変数を宣言しておきます。
Dim rightZ As Single Dim leftZ As Single Dim headZ As Single
ピクセル深度を格納するためのDouble型のメンバ変数myDepthを宣言しておきます。
Dim myDepth As Double
書き込みおよび更新が可能なBitmapSourceを提供する、WriteableBitmapクラス型のHumanImageプロパティを定義しておきます。
Property HumanImage As WriteableBitmap
ウィンドウが読み込まれた時の処理
ピクセル深度の値を1000(1m)で初期化しておきます。よってKinectセンサーから1m離れて試す必要があります。Kinectデバイスを取得し、ビットマップデータを初期化し、プレイヤーの画層(レイヤー)を初期化するinit_kinectプロシージャを実行します。
構成ツリーのオブジェクトがレンダリングされる直前に発生する、CompositionTarget.Renderingイベントにイベントハンドラを指定します。イベントハンドラ内では以下の処理を行います。
OpenNextFrame(100)メソッドで、KinectからRGBデータの次のフレームを開きます。次のフレームがなかった場合のタイムアウトを100ミリセコンドと指定しています。
同様に、Kinectから深度データの次のフレームを開きます。次のフレームがなかった場合のタイムアウトを100ミリセコンドと指定しています。
背景をマスクして距離データを取得するRenderScreenプロシージャを実行します。引数として、Kinectのストリーミング用RGBデータのバッファと深度データのバッファを含んでいる、colorFrameとdepthFrameを渡しています。
DataContextプロパティにMainWindow自身のインスタンスを指定します。この処理を行わないとプレイヤーが表示されませんので注意してください。
Private Sub MainWindow_Loaded(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles Me.Loaded myDepth = 1000 init_kinect() AddHandler CompositionTarget.Rendering, Sub(renderSender As Object, renderArgs As EventArgs) Using colorFrame As ColorImageFrame = Kinect.ColorStream.OpenNext Using depthFrame As DepthImageFrame = Kinect.DepthStream.OpenNextFrame(100) RenderScreen(colorFrame, depthFrame) End Using End Using End Sub DataContext = Me End Sub
Kinectデバイスを取得し、ビットマップデータを初期化し、プレイヤーの画層(レイヤー)を初期化する処理
Kinectセンサーを取得します。DepthStream.Enableメソッドで距離カメラの表示サイズを640×480、1秒あたり30フレームで、動作を開始します。同様にColorStream.Enableメソッドで、RGBカメラを、RGBフォーマット、表示サイズ640×480、1秒あたり30フレームで、動作を開始します。プレイヤーおよびスケルトンの動作も開始します。
AddHandlerメソッドでRGBカメラ、距離カメラ、スケルトンのフレームが更新されたことを通知するイベント、AllFramesReadyにイベントハンドラを追加します。骨格生成を行う場合は、深度センサー(距離カメラ)を有効にする必要があります。Dim depthStream As DepthImageStream = Kinect.DepthStreamで、距離カメラの処理を行うクラスのインスタンスを取得します。Short配列変数myDepthPixelDataに、距離カメラのピクセルデータの、バイト長分の配列を作成します。640×480の表示サイズの場合は、myDepthPixelData=New Short(307200-1){}分の配列を確保することになります。-1しているのは配列のインデックスは0から始まるためです。
バイト配列変数myColorPixelDataに、RGBカメラのピクセルデータのバイト長分の配列を作成します。
WriteableBitmapクラス型のHumanImageを下記の書式で初期化します。
New WriteableBitmap(距離カメラのフレーム幅,距離カメラのフレーム高さ, ビットマップの水平値, ビットマップの垂直値,ビットマップのピクセルフォーマット,ビットマップのビットマップパレット)
「ビットマップのピクセルフォーマット」に指定する、PixelFormats.Bgr32は、Bgr32 ピクセル形式を取得します。Bgr32 は、bits per pixel (BPP) が32のsRGB 形式です。各カラー チャネル (青、緑、および赤) に割り当てられるbits per pixel (BPP) は 8 です。これで、HumanImageオブジェクトの表示形式が設定されます。
HumanImage = New WriteableBitmap(640, 480, 96, 96, PixelFormats.Bgr32, Nothing)
と指定しても同じです。
IntRect32構造体のmyScreenImageRectを下記の書式で初期化し、領域を指定します。
New IntRect32(新しいInt32Rect のインスタンスの X座標,新しいInt32Rect のインスタンスの Y座標, 四角形の幅を指定した新しい Int32Rect のインスタンスの幅, 四角形の高さを指定した新しい Int32Rect のインスタンスの高さ)
「新しいInt32Rect のインスタンスの X座標」と「新しいInt32Rect のインスタンスの Y座標」には0を指定します。「四角形の幅を指定した新しい Int32Rect のインスタンスの幅」には、HumanImageオブジェクトの幅を指定し、「Int32Rect のインスタンスの高さ」には、HumanImageオブジェクトの高さを指定します。
結局は、
myImageRect = New Int32Rect(0, 0, 640, 480)
と指定しても同じことです。
Kinectを動作させます。
Private Sub init_kinect() Try If KinectSensor.KinectSensors.Count = 0 Then MessageBox.Show("KINECTが接続されておりません。") Exit Sub Else Kinect = KinectSensor.KinectSensors(0) End If Kinect.DepthStream.Enable(DepthImageFormat.Resolution640x480Fps30) Kinect.ColorStream.Enable(ColorImageFormat.RgbResolution640x480Fps30) Kinect.SkeletonStream.Enable() AddHandler Kinect.AllFramesReady, AddressOf kinect_AllFramesReady Dim depthStream As DepthImageStream = Kinect.DepthStream myDepthPixelData = New Short(Kinect.DepthStream.FramePixelDataLength - 1) {} myColorPixelData = New Byte(Kinect.ColorStream.FramePixelDataLength - 1) {} HumanImage = New WriteableBitmap(depthStream.FrameWidth, depthStream.FrameHeight, 96, 96, PixelFormats.Bgr32, Nothing myScreenImageRect = New Int32Rect(0, 0, CInt(Math.Ceiling(myHumanImage.Width)), CInt(Math.Ceiling(myHumanImage.Height))) Kinect.Start() Catch ex As Exception MessageBox.Show(ex.Message) Exit Sub End Try End Sub
背景をマスクし距離データを取得する処理
RGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すcolorStride変数にcolorFrame.BytesPerPixel *colorFrame.Width と指定します。RGBカメラの1ピクセルあたりのバイト数を取得して、RGBカメラのフレームの幅で乗算します。RGBカメラの1ラインあたりのバイト数が取得できます。
32ビットを1バイト(8ビット)で除算すると4バイトそれにcolorFrame.Widthの640を乗算します。4×640=2560となります。直接この値を指定しても問題はありません。
同様に、screenImageStride変数に、colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Widthと指定します。
これも4×640=2560となり、直接この値を指定しても問題ありません。
Byte型の配列変数bytePlayer1変数を、距離カメラのフレームの高さと、距離カメラの1ラインあたりのストリームバイト数を保持しているscreenImageStrideで乗算した値で初期化します。
つまり、depthFrame.Heightの480に、screenImageStrideに設定した、colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Width (4(バイト)×640)の値である2560を乗算した(480×2560)1228800-1の値を作成します。この値で初期化されたバイト配列型であるbytePlayer1オブジェクトを作成します。
CopyPixelDataToメソッドで、距離カメラのピクセルごとのデータを取得します。同様にRGBカメラのピクセルごとのデータも取得します。これで、実際のデータを取り出します。
CopyPixelDataToメソッドは、ピクセルデータの長さを使用して、事前に割り当てられた配列へ、ピクセルごとの深度データやRGBデータをコピーします。
繰り返し変数depthYで、0から距離カメラのフレームの高さ分反復処理を行います。反復処理内では以下の処理を行います。
depthPixelIndex変数に1ずつ加算される変数depthXの値と繰り返し変数depthYに距離カメラのフレーム幅(640)を乗算した値を加算して、格納しておきます。
Init_kinectプロシージャ内で確保された、myDepthPixelDataのShort型の配列で、depthPixelIndex変数に対応する値と、距離カメラのフレームデータから、PlayerIndexBitmaskでビットマスクに含まれているプレイヤーIDとで論理積演算を行います。距離カメラのピクセルデータを反復処理し、プレイヤーのインデックス値を抽出します。
ビット演算 AND は、2 つのビットを比較し、両方のビットの値が 1 の場合にのみ、値 1 を結果に代入します。そうでない場合は、結果のビットに 0 をセットします。AND 演算子は、その他全てのビット演算子と同様、オペランドとして数値のみを取ります。And演算子に付いては下記のURLを参照してください。
→ And 演算子(msdn)
また、
playerIndex = myDepthPixelData(depthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmask
でplayerIndexに入る演算結果については、図3を参照してください。
RGBカメラのX-Y座標データを表す、ColorImagePointクラスのcolorPointを宣言し、MapDepthToColorImagePointで、距離カメラの座標に対応するRGBカメラの座標を取得します。
深度情報を実画像に変換してくれます。書式は下記の通りです。
KinectSensor. MapDepthToColorImagePoint(距離カメラの フォーマット,距離カメラのX 座標,XとY座標の距離データ(Short型),RGBカメラのフォーマット)
変数colorPixelIndexに、RGBカメラのX座標とRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を取得して乗算し、RGBカメラのY座標とRGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すcolorStrideを乗算して、これらを加算した値を格納しておきます。colorPixelIndex = (colorPoint.X * 4) + (colorPoint.Y * (4*640))としても同じです。
プレイヤーが存在し、プレイヤーの深度データが必要な場合は、
depth = myDepthPixelData(depthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth
と記述して、myDepthPixelData(depthPixelIndex) をDepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth 分右へシフトします。
PlayerIndexBitmaskWidthフィールドは、プレイヤーインデックスビットマスク内の、幅またはビットの数を表します。これはプレイヤーインデックスを格納する深度データの、下位ビットの数を表します。
つまり、3ビット(DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth分)右へシフトするとプレイヤーの深度のデータだけを取得できます。深度のデータが1000(1m)より小さい場合は、プレイヤーを抽出します。
上記は、ビットシフト演算を使用しています。ビットシフトはその名の通り、ビット列をそのまま左右に移動させる演算です。
expression1 >> expression2 expression1 と expression2 には、それぞれ式を指定します ImageIndexに対応する、Byte型の配列変数である距離データを画像化していきます。 Kinectセンサーからの右手の距離に1000を乗算した値が、myDepthメンバ変数の値(1m)より小さかった場合は「これは右手です。」と表示します。左手の距離が1mより小さかった場合は、「これは左手です。」と表示します。左手の認識精度が悪い場合がありますので、左手をきっちりと前方に付きだし表示させてください。右手と左手の距離が1mより小さかった場合は「これは両手です。」と表示します。 頭部の距離が1mより小さかった場合は「これは頭です。」と表示します。身体の一部が、距離カメラとの距離の1m以内にある場合は、その一部を表示して部位の名称を表示します。ここで使用している右手、左手、頭部の距離カメラとの距離は、GetCameraPointプロシージャ内で取得していますので、後ほど解説いたします。 変数depthXを1ずつ加算し、ImageIndex変数にRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を加算していきます。 ImageIndex = ImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel BytesPerPixelは1ピクセルあたりのバイト数を取得しますので、1ピクセルは8ビットでフルカラーの場合は32ビットになるため、32÷8=4バイトとなり、colorFrame.BytesPerPixelは4と同じになります。 WriteableBitmap型の変数HumanImageにWritePixelsメソッドで、ビットマップの指定した領域内に更新したデータを格納します。書式は下記の通りです。このHumanImageプロパティの値を、NameがmyHumanImageというImageコントロールのSourceプロパティにバインドします。 WritePixels(更新するWriteableBitmapの四角形,ビットマップの更新に使用するピクセル配列,pixel内の更新領域のストライド,入力バッファのオフセット)
expression1
>> は expression1 を expression2 だけ右にシフトします
ビットごとの右シフト演算子 (>>)やビットごとの左シフト演算子 (>>)については、下記のURLを参照してください。
は
ImageIndex = ImageIndex + 4
としても同じです。
この値が、Byte型の配列変数(bytePlayer1)のインデックスに対応します。下位3ビットのプレイヤーIDを指し示す値です。 Private Sub RenderScreen(colorFrame As ColorImageFrame, depthFrame As DepthImageFrame)
If Kinect Is Nothing OrElse depthFrame Is Nothing OrElse colorFrame Is Nothing Then
Return
End If
TextBlock1.Text = String.Empty
Dim depth As Integer = 0
Dim depthPixelIndex As Integer
Dim playerIndex As Integer
Dim colorPixelIndex As Integer
Dim colorPoint As ColorImagePoint
Dim colorStride As Integer = colorFrame.BytesPerPixel * colorFrame.Width
Dim screenImageStride As Integer = colorFrame.BytesPerPixel * depthFrame.Width
Dim ImageIndex As Integer = 0
Dim bytePlayer1 As Byte() = New Byte(depthFrame.Height * screenImageStride - 1) {}
depthFrame.CopyPixelDataTo(myDepthPixelData)
colorFrame.CopyPixelDataTo(myColorPixelData)
For depthY As Integer = 0 To depthFrame.Height - 1
Dim depthX As Integer = 0
While depthX < depthFrame.Width
depthPixelIndex = depthX + (depthY * depthFrame.Width)
playerIndex = myDepthPixelData(depthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmask
colorPoint = Kinect.MapDepthToColorImagePoint(depthFrame.Format, depthX, depthY, myDepthPixelData(depthPixelIndex), colorFrame.Format)
colorPixelIndex = (colorPoint.X * colorFrame.BytesPerPixel) + (colorPoint.Y * colorStride)
If playerIndex <> 0 Then
depth = myDepthPixelData(depthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth
If depth < myDepth Then
bytePlayer1(ImageIndex) = myColorPixelData(colorPixelIndex)
bytePlayer1(ImageIndex + 1) = myColorPixelData(colorPixelIndex + 1)
bytePlayer1(ImageIndex + 2) = myColorPixelData(colorPixelIndex + 2)
If rightZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは右手です。"
If leftZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは左手です。"
If leftZ * 1000 < myDepth AndAlso rightZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは両手です。"
If headZ * 1000 < myDepth Then TextBlock1.Text = "これは頭です。"
End If
End If
depthX = depthX + 1
ImageIndex = ImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel
End While
Next
HumanImage.WritePixels(myScreenImageRect, bytePlayer1, screenImageStride, 0)
End Sub
プレイヤーの身体パーツを判別するKinectサンプル
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