Kinectで距離カメラの値を取得して、指定した距離で人物が背景に溶け込むサンプル

2012年8月8日(水)
薬師寺 国安

今回は、背景マスクされたプレイヤーと距離カメラの位置が2000(2m)を超えると、背景に溶け込んで消えていくサンプルを作成します。

2000(2m)を超えるとプレイヤーの全身は消えますが、身体の一部だけを距離カメラに近づけて表示させることも可能です。カメラに近づきすぎてもプレイヤーは消えてしまいますので注意してください。実際に動かした動画は以下になります。

サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。

プロジェクトの作成

VS 2010のメニューから[ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)]と選択します。

次に、「WPF アプリケーション」を選択して、「名前(N)」に任意のプロジェクト名を指定します。ここでは「KINECT_GetDepthValue」という名前を付けています。

ツールボックスからデザイン画面上に、Imageコントロールを1個とTextBlockコントロールを2個配置します。ImageコントロールのSourceプロパティにはPersonをバインドしています。PersonはVBコード内で定義されたプロパティ名です。

書き出されるXAMLコードはリスト1、レイアウトは図1のようになります。

リスト1 書き出されたXAMLコード(MainWindow.xaml)

(1)SourceプロパティにPersonがバインドされている。

<Window x:Class="MainWindow"
  xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
  xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
  Title="プレイヤーと距離カメラとの距離を取得する" Height="639" Width="670">
  <Grid>
    <Image Height="480" HorizontalAlignment="Left" Name="sourceImage" Stretch="Fill" VerticalAlignment="Top" Width="640" Source="{Binding Person}"/> ■(1)
    <TextBlock Height="39" HorizontalAlignment="Left" Margin="12,433,0,0" Name="TextBlock1" Text="" VerticalAlignment="Top" Width="226" FontSize="32" FontWeight="Bold" />
    <TextBlock Height="25" HorizontalAlignment="Left" Margin="244,442,0,0" Name="TextBlock2" Text="値が2000より大きいとプレイヤーの全身が消えます。" VerticalAlignment="Top" Width="392" FontSize="16" FontWeight="Bold" Foreground="Red" />
  </Grid>
</Window>
図1:各コントロールを配置した(クリックで拡大)

参照の追加

VS2010のメニューから「プロジェクト(P)/参照の追加(R)」と選択して、コンポーネントを追加しておきます。今回追加するのは、Microsoft.Kinect.dllだけです。.NETタブ内にこのコンポーネントが見つからない場合は、「参照」タブから以下を指定して、このフォルダ内にあるMicrosoft.Kinect.dllを指定してください。
→ C:\Program Files\Microsoft SDKs\Kinect\v1.5\Assemblies

次に、ソリューションエクスプローラー内のMainWindow.xamlを展開して表示される、MainWindow.xaml.vbをダブルクリックしてリスト2のコードを記述します。

ロジックコードを記述する

リスト2 (MainWindow.xaml.vb)

Option Strict On

Imports Microsoft.Kinect
Class MainWindow
  Dim kinect As KinectSensor

距離カメラの最大距離を2mに指定します。

Const maxDepthValue As Integer = 2000

Short型の配列メンバ変数myDepthPixelDataとByte型の配列メンバ変数myColorPixelDataを宣言しておきます。

※深度情報は、1ピクセルあたり2バイトのshort型。画像情報はフルカラーなので1ピクセルあたり4バイトのbyte型です。

  Dim myDepthPixelData As Short()
  Dim myColorPixelData As Byte()

整数四角形の幅、高さ、および位置を表すInt32Rect構造体のメンバ変数myImageRectを宣言します。領域の指定に使用されます。

  Dim myImageRect As Int32Rect

WriteableBitmap型のPersonプロパティを定義します。

  Property Person As WriteableBitmap
  • Kinectで距離カメラの値を取得して、距離に応じて姿を隠すサンプル

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています