COBOLエンジニアが次に開発しなければいけないものとは?
技術の習得に有効な“内発的動機”
これはCOBOL技術者のWeb技術習得に限らず、学習全般に言えることですが、学習には動機づけが必要です。
動機づけには大きく分けて2つあります。
- “内発的動機づけ”
- 賞罰や金銭、名誉のような外的報酬に基づかない動機づけ。
- “外発的動機づけ”
- 義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけ。
つまり、内発的な動機づけに基づいた行動は行動そのもの(Webアプリケーションを作ること)が目的となりますが、外発的動機づけに基づいた行動はなんらかの目的(昇給や昇格、同僚エンジニアの一歩先に後れをとりたくない、会社命令で上司から行けと言われた、など)を達成するためのものになります。そして、特に学習においては、外発的動機づけよりも内発的動機づけの方が、質の高い行動が長く続くとされています。
とはいえ、あなたが、上司に「次の案件はマイグレーションだから色々勉強しておけ」と言われて、つまり「100%外発的動機づけ」でこのページを見ているのであれば、いくらここで内発的動機づけをしろ、と言われても「でも上司に言われたからなあ…」で、終わってしまうでしょう。
では、「自律的に内発的動機づけを行う」にはどうすればいいでしょうか?
この分野の研究者として有名なエドワード・L・デシは、内発的動機づけを行うためには
- 自分の行動を自分で決めるという「自己決定感」
- その行動の結果、自分が役に立っていることを認識できている「有能感」
の2つが必要であると言及しています。
おもちゃで夢中になって遊ぶ子供をイメージしてください。右手にヒーローのおもちゃ、左手に怪獣のおもちゃを持った子供は、その世界の神様です。ヒーローを勝たせて世界に平和をもたらせることも、神であるその子供の自由です。そして子供は延々と遊び続けます。
「作って動かして楽しむ」ことに集中する
どうして子供は飽きることなくそれをするのでしょう?なぜなら、それが楽しいからです。「自己決定感」「有能感」は、それそのものが快楽であり、目的だからこそ、子供は遊びに夢中になります。もし、あなたがそんな風にRuby on Railsと向き合うことができれば、みるみるうちにWeb技術を習得することができるでしょう。
それでも、やっぱりピンとこない人もいるかもしれません。では、あなたの内発的動機づけを阻むものはなでしょうか?それは、「外発的動機づけの尊重」です。
優秀で真面目な社会人であれば特に、知らず知らずのうちに自身の内発的動機づけを抑え、「会社のため、家族のため、仕事だからやらないといけない」という外発的動機づけを重視する傾向があります。確かに自律性の高い外発的動機づけは、内発的動機づけに勝るとも劣らない効率を発揮することもあります。しかし、Ruby on Railsの記述言語「Ruby」の産みの親、まつもとゆきひろ氏はLinuxの創始者リーナス・トーバルズ氏との対談で、「(Ruby言語開発)プロジェクトは趣味として始めた」と告白しました。また、氏はいたるところでRuby言語は「プログラマがハッピーになる」ことを目的として作ったと述べています。まさに「内発的動機づけ」で作られた言語なのです。
そういった誕生の経緯からして、RubyやRuby on Railsを習得するにあたっては、内発的動機づけを重視した方がよいでしょう。それができたら、「Ruby on Railsを勉強して得た知識は本当に業務に使えるのか?スキルにつながるのか?」という、考えても仕方がないのだけれど、もやもやした疑問からも解放されるはずです。それまで、外発的動機づけは、いったんしまっておきましょう。
「技術習得のため」「会社のため」という外的要因を一度胸の奥にしまい、「作って動かして楽しむ」ことに集中する。これが、Ruby on Railsを習得する一番の勘所です。
Ruby on Railsを使うと、30分もあればCRUD機能を有するWebアプリケーションを作成することができます。MOGOKを使えば、Ruby on Railsで作成したアプリケーションを、あっという間に外部公開して、自分のスマートフォンで確認することもできます。
すると
「もっと画面をかっこよくしたい」
「ログイン機能など、もっといろんな機能を取り込んでみたい」
といった、作る欲が生まれてきます。是非、その一連の流れを楽しみ、試行錯誤を繰り返してみてください。
そして、最後にもうひとつアドバイスをするとすれば…。Ruby on Railsは規約通りに作成していけば失敗せずにWebアプリケーションを作成することができるフレームワークですが、もし可能なら、最初は、講師の指導の下、何人かチームで学ぶとさらに良いでしょう。
仲間と学ぶことで彼らの失敗や成功を自分の経験として共有ことができますし、講師から効率のいい学習方法について学ぶことも可能です。その後、自宅に帰ったあなたのパソコンを開かせて、そこにRubyと様々なgemをインストールさせる力を、Ruby on Railsは持っています。
<執筆協力:BOSS-CON JAPAN>
【参考URL】
(リンク先最終アクセス:2013.12)
<編集部より> MOGOKの正式リリースに伴い無償アプリケーションの数が変更されたため、一部文章を修正しました。(2013.12.19)
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