ワンソース・マルチユース&UXソリューション最前線 〜TOBESOFTセミナー・レポート〜
製品・サービスに重要なUXが日本で普及しないワケ
さて、このコラムの後半はUXについて触れます。
日本市場はUXに興味があってもなかなか実行に移さない企業が存在しています。アップル製品や、Google系製品など評価されているIT系製品・サービスなどでは、UXが採用されていないものはないといっても過言ではないくらいに活用されているにもかかわらずです。
UXが活用されないと、そのシステムは、使い勝手が悪いと評価されたり、ゆくゆくは使われないシステムになったりする可能性もあります。実際に使い勝手が悪いといわれる業務システムはものすごく多く存在していますよね。全てのシステムにおいて、使い勝手を良くしたいと思われているにも関わらず、使い勝手が悪くなるシステムがあるのです。
何故でしょうか?その根本的な原因は開発の進め方やプロジェクトの考え方が悪いからであると考えています。UXのプロジェクト方法論にあわせて開発を進めれば、使い勝手が悪くなることはありません。日本の業務システムではUIを意識してもUXを意識せずに開発が進められているから、使い勝手が悪くなるシステムが生まれてくるのだと思っています。
ちなみにUXとUIは何が違うのかという話もよく出ますが、UIは、人と機械間の相互作業のための空間として定義できます。UIの目的はユーザーが効果的に機械を操作し、機械がユーザーの意図どおりに動作し、人にその結果をフィードバックできるようにすることです。一方でUXは「eXperience(体験)」です。つまり、UIは客観的な事実であり、UXは主観的な感じ方ということです。例えば、「自動車(客観的な事実)」と「運転(主観的な感情)」と同じ関係です。自動車がUIで運転がUXなのです。UXは主観的な感じ方なので、人によって違います。
このUXがどのくらい効果を上げるかといえば、コンシューマー製品やパッケージ製品やスマホアプリなど既製品は販売時に画面が決まっているので、はっきり言えば売り上げに影響が出るくらいのインパクトがあります。韓国のスマホ関係のメディアでは、UXの出来がスマホの売り上げの明暗を分けたという記事もよくでています。それにそもそもiPhoneが売れている最大の理由の一つにUXがあげられています。
このUXは実は日本人が弱い分野でもあるような気がします。特にIT分野ではそうかもしれません。IT分野でUXに秀でた日本のIT製品ってありますでしょうか?UXの分野でよくあげられる成功事例はアップル製品、Google系製品などすべて海外製のものばかりです。これらの製品、サービスは使いやすく、マニュアルを読まなくてもよく、使うだけでワクワクしたりしますよね。ワクワクするのはコンテンツだけではなく、UXがかなり効いています。
一方日本の業務システムはUXがだめというか、全く意識されていないといってもよいくらいのものだと私は感じています。日本の業務システムの画面はどのように作られていますでしょうか?顧客の窓口の人に対して提案をして、お客様が社内で検討して、合意したものを開発します。しかし、スケジュールや予算、技術的な理由で、結果的に違う画面になることもしばしばです。そもそも画面設計者は上流工程でおしまい、そのあとプロジェクトに顔を出さないケースも多いですよね。なんだか機能主義で、画面に関することは全く意識されていないように思えてしかたがないです。
UXが採用されているシステム開発は、最後の検証時においてもUXデザイナーが検証して、UXデザイナーが基本合意した画面と違う場合は、要件未達として修正要件に上がります。日本の業務システムの開発プロジェクトでは考えられないことですよね。ただ、海外でUXが採用されている開発プロジェクトでは当たり前の話なのです。なぜなら使いにくければそもそもそのシステムは使われなくなったり、業務効率を悪化させるからです。ユーザー、開発者、関係者全員が不幸になります。
何故、そこまでUXにこだわるのでしょうか?
海外ではUXを採用した業務システム事例が多くあります。その事例を見ると残業代が減少したり、生産性が20%向上したりと、明確な数値向上事例が多くあります。業務生産性が20%向上したら売り上げが上がりそうですよね。残業代が減れば、コストが下がりますよね。しかも、生産量を変えずにこれらを実現できるのです。
これこそが、UXの神髄なのですでも、UXの導入方法やプロジェクトの進め方など知らない人がほとんどではないでしょうか?UXは開発者の領域ではないという方も多いですが、知っておくべき技術ですし、場合によっては開発者からUXデザイナーに転じることも考えてもいいと思っています。
これこそが、UXの神髄なのです。でも、UXの導入方法やプロジェクトの進め方など知らない人がほとんどではないでしょうか?
今回のセミナーでは、そのUX導入方法論についても解説いたしました。当日講演をしたトゥービーソフト社のチェ・インヒがThink ITでUX導入方法論を寄稿しましたので、そのコラムを最後にご紹介します。
ビジネスUXを効果的に導入するための4つのステップとは?(チェ・インヒ)
また最新のUX導入方法論の概説資料は以下よりダウンロードできますので、あわせてご覧ください。
> TOBESOFT サポートセンター
(※上記の資料番号「28」です。)
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- UIとUXとの違い、そしてビジネスUXとは何か?
- ビジネスUXの波 〜業務システムが使いやすければ、生産性が上がり、利益体質を築きやすくなる〜
- Windows XPのサポート終了に伴う、IE6対応アプリケーションのクロスブラウザ対応事例
- UX導入の舞台裏。システム面ではどのように検討して進めたか 〜北陸コカ・コーラボトリング株式会社検討事例〜
- ネイティブアプリで作る?Webアプリで作る?
- HTML5でクロスプラットフォーム開発を実現する4つのツール
- ビジネスUXの投資効果とは? 〜採用で向上する生産性を数値で評価する
- Moto 360のハックにより、Android WearがiPhoneで動作することが判明
- 「Xamarin Dev Days Tokyo」でクロスプラットフォームなネイティブアプリ開発を体験
- ビジネスUXを効果的に導入するための4つのステップとは?