Nagios、Zabbix…いろいろな運用監視ツールの評価ポイント

2014年7月1日(火)
株式会社アールワークス

Hinemos(ヒネモス)

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の支援のもと、NTTデータで開発されたシステム管理ツール(監視専用ツールではない、図3)。前述した2つと違い、監視設定は、専用クライアントからGUIで設定が可能であり、監視設定完了後の設定反映に、システムの再起動を必要としない。また、設定データはリレーショナルデータベースに格納されるので、設定入力時のケアレスミスも軽減できることが期待できる。ただ、プラグイン機能など、監視項目の拡張性がないことが難点だと言えよう。

図3 Hinemosの画面
図3:Hinemosの画面

設定用のクライアントは、プログラマーにはなじみの開発環境である、Eclipse上に構築された専用クライアントが必要となる。そのため、アールワークスが求めた、「顧客と監視状況を共有するためのプラットフォーム」として利用することは難しいものであった。また、監視クライアントと監視サーバー間で、多様なプロトコルや、多数のポートを使用しており、ファイアウォールを跨ぐのが困難なため、この点においても、「顧客と監視状況を共有するためのツール」としては厳しいと判断した。

Zabbix(ザビックス)

これまで見てきた監視ツールからすると後発のプロダクトだが、ラトビアのZabbixSIA社により精力的に開発が行われており、今やオープンソースのデファクトスタンダード(業界標準)となる勢いの「Zabbix」だ(図4)。商用サポートを行うベンダーもあり、業務で採用するうえでは、魅力的なポイントの1つだ。

図4 Zabbixの画面
図4:Zabbixの画面

監視項目の設定は、WebブラウザーからWebアプリケーションとして設定できるし、設定後のシステム再起動も不要である。また設定データも、リレーショナルデータベースに格納されるので、ケアレスミスによるシステムダウンの可能性も低い。唯一難があるとすれば、プラグイン方式を採用していないので、監視項目の追加が少し煩雑といったところだろうか。ただし、独自のスクリプトを用意すれば、どのような監視項目を追加することも可能であるなど、システムとしてはとても魅力的なものだった。

Pandora FMS(パンドラ エフエムエス)

スペインのArtica社が開発する監視ツールである(図5)。Zabbixと同様、開発ベースはオープンソースに軸足を置きつつ、Artica社はそれとは別にエンタープライズ版(商用ライセンス)も用意している。

図5 Pandora FMSの画面
図5:Pandora FMSの画面

システムとしてのアーキテクチャは、通常のWebアプリケーションであり、サーバーはPerl、収集データはMySQLに格納され、WebコンソールはPHPアプリケーションといったように非常にわかりやすい。監視項目はプラグイン方式で、運用しながら追加ができ、即座にWeb監視画面に反映される。Perl、MySQL、PHP、シェルスクリプトといった慣れ親しんだテクノロジーで開発されており、ソースコードへのアプローチも敷居が低いものであった。

監視設定やアラートの設定など、日常のオペレーションもすべてWebブラウザー上のGUI画面からの操作が可能であり、複数の異なる権限を設定することで、社内運用担当者と顧客との間で、同じ画面を見ながら監視状況の共有が可能である。最後まで候補に残った前述のZabbixと比較すると、圧倒的に画面レイアウトが初心者にわかりやすく、「これならお客様に直接見せることができる」と評価し、採用に至った。

以降の記事で具体的な実践例を挙げるが、Pandora FMSまたはそれをベースに利用したASPサービス「SoNar」(ソナー)を前提とした記述となっている。

※画面写真などは2012年当時のものです。

著者
株式会社アールワークス
1985年に株式会社アステックとして創業。2000年10月の株式会社アールワークス設立を経て、2005年6月より現在の1社体制に移行。同時に、社名を(株)アールワークス(Rworks, Inc.)に変更。
設立以来、IDC事業やITマネージドサービスを行い、そこで培ったネットワークインフラの運用ノウハウや、さまざまなソフトウェアを開発した技術力を結集し、現在、ITシステムのリモート運用サービスをはじめとして、インフラ構築、ハウジングやホスティングサービス、SaaS/ASP型のシステム監視基盤の提供を行う。単純なオペレーターではない技術提供をベースにした24時間365日の統合的なフルマネージドサービスを提供している。

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