Pandora FMSを使った具体的な監視運用設計の実装

監視運用設計を実践的に見てみる
ここでは、以前説明した監視要件定義を中心に、これまで述べてきた監視運用のポイントについて、「Pandora FMS」を使った具体的な実装の仕方を説明する。
その前に、Pandora FMSの機能について、もう少し詳しく見ていく。Pandora FMSは、大きく次の4つのコンポーネントに分かれている(図1)。

- 監視を行うサーバー
- 管理インタフェースであるコンソール
- 監視対象であるエージェント
- すべてのデータが保存されるデータベース
まず、これらのコンポーネントについて説明しよう。
Pandora FMSサーバー
Pandora FMSサーバーは、ICMP、SNMP、TCPおよびWMI(WindowsManagementInstrumentation)※1でのリモートからのポーリング監視や監視サーバー上での任意のコマンドを使った監視のほか、SNMPトラップや、「ソフトウェアエージェント」から送信されてくるデータを使った監視を行う。
※1 WMI(Windows Management Instrumentation)は、Windowsリソースへのアクセス、構成、管理、および監視を可能にする管理基盤で、スクリプト言語やプログラミング言語から、CPU使用率のようなリソース情報を取得したり、サービスの再起動といったタスクを実行したりすることができる。WMIはローカルコンピュータだけでなく、リモートコンピュータの管理にも利用できる。詳細は、Microsoft社のTechNetの次のURLを参照して欲しい。
参考:WMI の FAQ: トラブルシューティングとヒント
ソフトウェアエージェントとは、監視を対象とする機器にインストールして使うソフトウェアのことで、これについては後ほど詳しく説明する。
また、PandoraFMSサーバーには、こうした監視機能のほかに、監視対象の自動検出機能や、収集した過去のデータに基づくデータ予測を用いた監視を行う機能もある。
さらに、エンタープライズ版には、次の機能がある。
- フォーム入力やWebページ遷移の確認といった、いわゆるシナリオ監視を行う機能
- 他のPandoraFMSサーバーに収集したデータをコピーする機能
- 監視対象機器のハードウェア構成やインストールソフトウェア情報といったインベントリ情報※2を収集する機能
※2 インベントリ情報:ITの分野では、組織が保有ないし管理するIT資産に関するデータをインベントリと呼ぶ。CPU、メモリー、ハードディスクといった部品に関する情報もインベントリである。
Pandora FMSでは、これらの機能を、独立した下位のサーバーとして実装しており、機能の追加や不要な機能の無効化が容易になっている。Pandora FMSサーバーについての一覧を、表1にまとめたので参考にしていただきたい。
サーバー | 機能 |
---|---|
データサーバー | 監ソフトウェアエージェントからのデータ受信 |
ネットワークサーバー | ICMP、SNMP および TCP リクエストを使った情報収集 |
SNM Pサーバー | SNMP トラップの受信 |
WMI サーバー | Windows Management Instrumentaion を使った情報収集 |
自動検出サーバー | 監視対象機器(エージェント)の自動検出 |
プラグインサーバー | 任意のコマンドの実行による情報収集 |
予測サーバー | 収集データを使った数値予測に基づく監視 |
Webサーバー | ウェブシナリオ監視(フォームヘのデータ入力、コンテンツ チェックなど) |
エクスポートサーバー | 収集データを他のサーバーへコピー |
インベントリサーバー | インベントリ情報の収集 |
イベントサーバー | 発生したイベントに基づく監視 |
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