イーサネットネットワークでのデータ送信
イーサネットのアドレッシング
イーサネットの送信元と宛先のアドレスフィールドは、CCENT/CCNA試験に出題されるイーサネット処理の大半で重要な役割を担っています。一般的な考え方は単純で、送信元のノードがそのアドレスを送信元アドレスフィールドに指定し、宛先として想定しているデバイスのアドレスを宛先アドレスフィールドに指定します。送信元のノードはフレームを送信し、イーサネットLAN全体がそのフレームを正しい宛先に届けてくれるものと考えます。
イーサネットアドレスは、MAC(Media Access Control)アドレスとも呼ばれる6バイト(48ビット)の2進数です。ほとんどのコンピュータは、MACアドレスを12桁の16進数として表示します。Ciscoのデバイスは、一般に、数字を読みやすくするためにピリオド(.)も追加します。たとえばCiscoのスイッチでは、MACアドレスが0000.0C12.3456のように表示されるかもしれません。
ほとんどのMACアドレスは1つのNICまたはイーサネットポートを表すため、よくユニキャストイーサネットアドレスと呼ばれます。ユニキャストは、そのアドレスがイーサネットLANの1つのインターフェイスを表すという意味にすぎません。対照的に、ブロードキャストやマルチキャストと呼ばれるイーサネットアドレスもあります。これらについては、後ほど説明します。
データをユニキャストMACアドレスに送信するこの方法自体はうまくいきますが、すべてのユニキャストMACアドレスが一意であることが前提となります。2つのNICが同じMACアドレスを使用しようとした場合は、混乱状態に陥るおそれがあります。同じイーサネット上の2台のPCが同じMACアドレスを使用しようとした場合、そのMACアドレスに送信されたフレームはどちらのPCに届けられるでしょうか(あなたと筆者が同じ住所を使用しようとした場合に郵便サービスが混乱するのと同じような問題が発生します。郵便サービスは手紙をあなたの家に届けるでしょうか、筆者の家に届けるでしょうか)。
イーサネットには、この問題を解決するための管理プロセスがあります。このプロセスにより、すべてのイーサネットデバイスの製造時に全世界で1つしかないMACアドレスが割り当てられるようになります。イーサネット製品を製造するベンダーは、OUI(Organizationally Unique Identifier)の割り当てをIEEEに申請しなければなりません。OUIは、全世界で一意な3バイトのコードです。そのベンダーは、割り当てられた3バイトのOUIで始まるMACアドレスをNICなどすべてのイーサネット製品に割り当てることに同意します。また、ベンダーは最後の3バイトに一意な値(ベンダーがそのOUIにまだ使用していない数字)を割り当てます。結果として、世界中のすべてのMACアドレスが一意になります。
IEEEでは、これらのユニバーサルMACアドレスをグローバルMACアドレスとも呼んでいます。図2は、OUIを含んでいるユニキャストMACアドレスの構造を示しています。
イーサネットアドレスの呼び名は、LANアドレス、イーサネットアドレス、ハードウェアアドレス、焼き付けアドレス、物理アドレス、ユニバーサルアドレス、MACアドレスなど、さまざまです。たとえば焼き付けアドレスは、永続的なMACアドレスがNICのROMチップに焼き付けられていることを意味します。またIEEEは、ベンダーがNICに割り当てたアドレスが世界中のすべてのMACアドレスにおいて一意であることを強調するために、ユニバーサルアドレスという言葉を使用しています。
イーサネットでは、ユニキャストアドレスに加えて、グループアドレスも使用します。グループアドレスは、複数のLANインターフェイスカードを識別するアドレスです。グループアドレスに送信されたフレームは、LAN上の一部のデバイスに届けられるかもしれませんし、LAN上のすべてのデバイスに届けられるかもしれません。実際には、IEEEはイーサネットのグループアドレスを次の2つのカテゴリに分けて定義しています。
- ブロードキャストアドレス…このアドレスに送信されたフレームは、イーサネットLAN上のすべてのデバイスに転送される。このアドレスの値はFFFF.FFFF.FFFFである。
- マルチキャストアドレス…このアドレスに送信されたフレームはコピーされ、特定のマルチキャストアドレスに送信されたフレームを受信するように設定されたLAN上の一部のデバイスに転送される。
MACアドレスに関する詳細を表2にまとめています。
LANのアドレッシング用語または機能 | 説明 |
---|---|
MAC(Media Access Control) | IEEEイーサネットのMACサブレイヤは802.3(イーサネット)で定義されている |
イーサネットアドレス、NICアドレス、LANアドレス | MACアドレスの代わりにしばしば使用される呼び名。LANインターフェイスカードの6バイトのアドレスを定義する |
焼き付けアドレス | カードの製造者が割り当てる6バイトのアドレス |
ユニキャストアドレス | 単一のLANインターフェイスを表すMACアドレスの呼び名 |
ブロードキャストアドレス | 「現時点でこのLAN上に存在するすべてのデバイス」を意味するアドレス |
マルチキャストアドレス | イーサネットにおいて、現在イーサネットLANに存在するすべてのデバイスのうちの一部を意味する |
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