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OpenShift 3.0で既存コードを捨てコンテナーに賭けるRed Hat

2015年2月10日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

OpenShiftはRed Hatが展開するPaaSのプラットフォームだ。これまで日本のレッドハット株式会社からはあまり積極的に日本市場に展開しようという動きは少なく、IBM、HPが自社のPaaSとして採用したPivotalのCloud Foundaryに後れをとっていたといっても過言ではない。

そんな中、2015年1月28日にレッドハット株式会社が「次世代PaaS - OpenShift Enterprise紹介セミナー」と題したセミナーを開催した。

米国本社からOpenShift製品の責任者、アシェシ・バダニ氏と製品技術マネージャーのクリス・モーガン氏が来日し、OpenShiftの次のバージョン、V3.0を紹介。最近、注目が高まっているDockerとKubernetesによるコンテナー技術をコアにした全く新しいアーキテクチャーによる新バージョンを解説した。

クラウドコンピューティングがパブリックからプライベートへ、更に両方を併用するハイブリッドに進化する中でスケールアウトするインフラをどうやって迅速に構築するのか、という課題に対しては、VMwareやMicrosoft、Red HatなどのシンプルなOSの仮想化から、OpenStackによるプライベートクラウド基盤に注目が移って来ているということが言えるだろう。

しかし情報システム部門が次に注目しなくてはならないポイントは、アプリケーション開発サイクルをどうやって構築するのか、開発から実装を如何に高速化するのか、今流行りのDevOpsやCI(Continuous Integration)を如何に実践するのかであろう。
それはビジネスとも直結した、より切実なニーズとしてあらわになってきている。インフラだけ整備しても、素早いアプリ開発と即座の実装ができないのならば、ビジネスにインパクトを与えることはできない。

そのニーズを満たすひとつの解決策がPaaSによるアプリケーション開発だ。現状だと、SalesforceはHeroku、MicrosoftはAzure、GoogleはGoogle App Engine、そしてEMC/VMware/Pivotal連合によるCloud Foundryとそれに乗ったIBM、HPなどのように、それぞれのベンダーが特長を活かしてユーザーの獲得にしのぎを削っている。
このような状況の中で、Red HatのPaaSであるOpenShiftはいまひとつ特徴に欠ける印象があった。しかし、どうやら次期の新バージョンでは大幅にアーキテクチャーを刷新して現状の遅れを取り戻そうとしているように見える。

写真:OpenShiftを解説するバダニ氏

Red HatのPaaSを解説するバダニ氏。基盤となるRHELとOpenStackをベースにしてアプリと運用のDevOpsを頂上に持ってきたこのスライドではクラウド基盤の上にコンテナー、その上にマイクロサービスを乗せていることでもRed Hatがコンテナーを重要視していることが見て取れる。

今回のセミナーではOpenShiftのセミナーであるにも関わらず、レッドハット株式会社のクラウドエバンジェリスト、中井悦司氏が「Docker is not Container」と称したコンテナー技術とレッドハットの関わりを解説するプレゼンテーションを行った。このプレゼンテーションはモーガン氏による次期バージョン紹介の前フリとして、アプリケーション開発のサイクルにDockerを使う場合、単に開発環境を配備するための入れ物としてDockerを使うのではなく、開発環境から本番環境までそのままDockerとKubernetesでパッケージングして配備する方法を解説している。

つまりRed HatとしてはPaaSの使い方として、開発も本番もそのままコンテナーに入れられたアプリを配備する方法論で、DevOpsとCIを実現することがベストであるということだろう。そのために現在のOpenShiftを全て書き換えて、コンテナーに最適化されたOSとしてのRHEL Atomic、その上でDockerとDockerを連携させるKubernetes、それらをまとめて管理する基盤としての新しいOpenShiftを実現しようという意図がはっきりと見ることができた。

モーガン氏のプレゼンテーションとデモでは、実際にDockerでパッケージされたアプリをローカルのPCで稼働させ、そのままベータ版のOpenShift上に移動させても即座に実行できることをグラフィカルなインターフェースで実演した。このグラフィカルユーザーインターフェースは直前にビルドされた機能だそうで、モーガン氏もヒヤヒヤなデモンストレーションであったらしく、ちゃんと実行できた時に思わず笑みが漏れたのが微笑ましかった。

写真:新しいアーキテクチャーを説明するモーガン氏

なお、OpenShift v3.0に関しては現在ベータテスト中で今年の夏以降に商用版としてリリースが予定されているという。

写真:OpenShift V3.0のロードマップ

現在、アプリケーション開発と配備をDockerベースで検討しているのであれば、Red HatのOpenShiftは要注目だろう。

【関連リンク】

http://www.openshift.org

(最終アクセス:2014.02)

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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