VLSM(Variable Length Subnet Mask:可変長サブネットマスク)の利用
2015年3月30日(月)
●VLSMの概念について
1つのクラスフルネットワークに固定長のサブネットを作るには、サブネットの大きさをホスト数の一番大きいサブネットに合わせます。例えば、アドレス範囲が256(ホスト数は254)のクラスCのネットワークに対して、表2の3つのサブネットを固定長サブネットで設計すると、最大値の128を各サブネットのアドレス範囲にします。ネットワーク部の長さであるプレフィックス長は、25ビットです。クラスCのネットワークに入るサブネットは2つになり、3つのサブネットに対しては、2つのクラスCのネットワークが必要になります。
表2 サブネットの例
VLSMでは、個々のサブネットごとに適切なサブネットマスクを適用します。ホスト数の少ないサブネットには、ホストのビット数が少ないサブネットマスク(長いプレフィックス長)を使用することで、サブネットのアドレス範囲を減らすことができます。
VLSMを用いて、表3の「方法1」でサブネットを割り当てた例を図3に示します。1つのクラスCのネットワークに納めることができ、192.168.1.224/27が未使用で残ります。
表3 アドレスの割り当て
図3 VLSMでのアドレス範囲の割り当て
サブネットへのアドレスの割り当ては、アドレス範囲の大きいサブネットから順番に、サブネットマスクで指定できるアドレス位置に割り当てていきます。
表3の「方法2」の配置は可能ですが、「誤りの例」に示すように128のサイズを192.168.1.64には配置できません。2進数のサブネットマスクで指定するので、128のサイズのサブネットは、0か128にしか配置できません。
●VLSMをサポートするルーティングプロトコル
VLSMを用いたアドレス設計を実装するためには、VLSMをサポートするクラスレスルーティングプロトコルを使用する必要があります。ルーティングプロトコルは、RIP-2、EIGRP、OSPFなどになります。これらは、サブネットのネットワークアドレスとサブネットマスクを隣接ルータに伝達して、サブネットを正確に理解してルーティングテーブルに反映します。
この記事で紹介した書籍 | |
---|---|
Wendell Odom 著/株式会社クイープ 訳 |
シスコ技術者認定試験 公式ガイドブック Cisco CCENT/CCNA ICND1 100-101J本書は、シスコ技術者認定のうち、CCENT/CCNAの認定を目指す人のための公式ガイドブックです。2013年に改訂されたICND1の試験内容に対応しています。新ICND1は、旧ICND1からトピックの削除と追加が行われています。ICND1の合格により、CCENT認定を受ければ、CCNA認定への最初のステップをクリアしたことになります。本書を携えつつCiscoプロフェッショナル認定試験突破に向けて大きな一歩を踏み出しましょう。 |
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- クラスフルIPv4ネットワークアドレスの分析[クラスフルアドレスの種類と規模]
- サブネットマスクの分析[サブネットマスク変換とサブネット設計]
- ルータの負荷を軽減できるルート集約の考え方
- IPv4アドレスのスケーラビリティ(規模拡張性)[CIDR/プライベートIPアドレス]
- ルータの負荷軽減のため、最適な集約ルートを割り出す
- 既存のサブネットの分析[サブネットID、ブロードキャストアドレス、ホストアドレスを割り出す]
- IPv4のサブネット化の概要[サブネットをサイジング/プライベートアドレスとパブリックアドレスを見分ける]
- CiscoルータでのIPv4サポートの有効化[ルータとスイッチのコマンド/showコマンドとステータスコード]
- ネットワーク層の機能(後編) ―IPアドレスとルーティングプロトコル―
- ネットワーク層の機能(前編)―パケット転送時の役割―