Tintri本社訪問、インハウスのラボは絶賛拡張中
仮想化技術に特化したストレージを展開する米国Tintriの本社に訪問した。Tintriは仮想マシンに特化したストレージとしてスケールアウト型のストレージとは一線を画す存在だ。創業者でCTOのキーラン・ハーティを始めとして元EMCや元VMwareの社員が多く存在し、昨今の仮想化を前提としたデータセンターに最適な製品を開発している。本社はマウンテンビューにあり、GoogleやVMwareの本社ともごく近い場所にある。
エントランスにはTintriのロゴや世界観を盛り込んだ壁画がある。ロゴを中心にしてサーバーの構成部品であるCPUやメモリーなどを配置し、その裏側には世界各地のランドマークを配して青空と雲(クラウド)を背景にして、「世界のクラウドコンピューティングを支えるTintriの仮想化サーバーとストレージ」を表現しているのだろうか。
今回はラボと称される開発のためのサーバー群が設置されている施設を見学した。約40余りのラックに一番最初に出荷した製品から最新の製品まで2セットづつ配置し、過去のバージョンのOSやハードウェアを組み合わせて検証出来るようになっているという。ラボに入ると過去のTintriの製品が隙間なくラックに収まっているのが確認できる。過去のTintriのロゴは緑、製品は黒をベースにした外観で従来の他社のストレージ製品と差別化が難しかった。過去のTintriの製品を利用しているユーザーは分かるのかもしれないが、Tintriのイメージカラーが赤になったのはそう昔のことではない。過去は創業者の出身地であるアイルランドにならって緑をベースにしたロゴであったが、それを赤に変えたのは「EMCやIBMを始めとして寒色系のロゴが多いので目立たないから」という事情があったようだ。現在は赤のロゴ、白のフロントパネルと外観だけでも差別化が図られている。
ラックの後ろ側はこんな感じで配線がキレイにまとめられ如何にも保守運用者が気を遣っているのかが分かる。電源を色分けし、データプレーンとコントロールプレーンのケーブルが細かくまとめられており、乱雑さは微塵も無い。
サーバーを装着するリフターも準備されており、何時でも新しいサーバーを入れられるように準備は万端だ。
ちなみに2か所あるラボは従来使っていた場所が満杯になってしまったため、新たにオフィスを借りて増設している。新ラボでは旧ラボに比べて2倍の密度でサーバーを配備出来るという。新旧のラックを比べてみるとスイッチに繋がるケーブルが銅線から全て光ファイバーに変えられており、ケーブルの取り回しと軽量化に貢献しているという。また冷房もラックの列ごとに区分けされており、より冷却の効率化と省エネルギー化がすすめられているのが見て取れた。
アメリカのIT企業では文化の違いか、エンジニアリング部門と営業部門が全く別のオフィスに居ることがよく見受けられるが、Tintriは同じ社屋にエンジニアリングも営業も同居する形式だ。営業部門は毎日のセールスの結果が目で見て分かるように工夫されているいう。大きな商談が纏まったりすると歓声が挙がることもあるという。いかにもアメリカのセールス現場らしい。
今回の取材での小さな驚きは、Tintriというストレージ製品を作っている企業のオフィスが製造業というよりもソフトウェアカンパニーといっても良いような体裁をしていたことだろう。既にハードウェアそのものは中国や台湾製のホワイトボックスに移行し、ソフトウェアだけで差別化する時代に入っていることを強く感じた訪問であった。
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