性能を強化した「Apache Spark 1.5」をリリース、「Office 365」は本当にオープンソースより安いのか、ほか
こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。
先週の豪雨に続いて、今週もまた「雨」の1週間になりました。米国では、先週の「VMworld」、今週の「Dream Force」とITベンダのイベントが開催されて、さまざまな発表が行われています。OSSに関連するものもいくつかあるようですので、近いうちに紹介したいと思います。
今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。
性能を強化した「Apache Spark 1.5」がリリース
「Apache Spark」開発チームは9月9日、最新安定版となる「Apache Spark 1.5」を公開しました。「Apache Spark」は大規模なデータ処理向けのエンジンで、高速性、汎用性などを特徴としています。「Apache Hadoop」、「Apache Mesos」上で動き、スタンドアロン、クラウドでも利用できます。本バージョンでは、「Project Tungsten」として進めている性能改善の取り組みの成果を反映させたもので、Java仮想マシンにおけるガベージコレクションやメモリ管理システムが速度の面で足を引っ張っているとし、これを回避するためにバージョン1.4からこのプロジェクトを立ち上げ開発を進めてきました。一部のコードを書き直すことでボトルネックを回避し、CPUキャッシュメモリを直接利用できるようになっています。また、DataFrame/SQLで集計、結合などが強化されています。
(参照記事:https://osdn.jp/magazine/15/09/12/063900)
米国IBM社、エンタープライズ向け「Node.js」を手掛ける米国StrongLoop社を買収
米国IBM社は9月10日、米国StrongLoop社(StrongLoop)の買収を発表しました。StrongLoopは、開発フレームワーク「Node.js」の、エンタープライズ向けソリューションを提供するソフトウェアベンダーです。この買収は、Apache、Eclipse、OpenStack、CloudFoundryなどオープンソース技術やコミュニティに対する、IBMの継続的な取り組みの一環とのことです。IBMは、StrongLoopの「Node.js」機能を、「MobileFirst」や「WebSphere」を含む自社のソフトウェアポートフォリオに統合することで、顧客がより適切に企業データを活用して、クラウドやオンプレミスで取引を実行できるよう支援するようです。
(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20150915_721247.html)
「Office 365」は本当にオープンソースより安いのか--伊ペーザロ市の事例
伊ペーザロ市と米国Microsoft社の委託で作成された報告書の主張によると、クラウドベースの生産性スイート「Office 365」のコストは、オープンソースの「OpenOffice」を利用する場合より約80%安くなる可能性があると見積もられています。ペーザロ市のCIOであるStefano Bruscoli氏の試算によると、OpenOfficeの使用に関連する問題への対応に1日当たり最大15分を費やす職員もいたそうで、こうした問題には、文書の校閲や書式設定に時間がかかること、組織内のシステムと連携させる場合に動作が遅くなることなどがあったそうです。
(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35070225/)
Facebookのオープンソース「React Native for Android」でクロスプラットフォーム開発が簡単になる
米国Facebook社(Facebook)は、9月14日にサンノゼで開催された@Scaleカンファレンスで「React Native for Android」をGitHubにて公開したことを発表しました。Facebookは、自社のエンジニアチームが同じコードでiOS、Android、Webのインターフェイスを製作できるようにするため、「React JavaScriptライブラリ」を開発しました。Android版の公開で、「React」を使ったことのあるエンジニアは、全ての主要プラットフォームでの開発ができるようになりました。スタートアップから大手テクノロジー企業まで、これまでより少ないエンジニアの数で仕事をこなすことができるようになります。また、それぞれ異なるコードを用いるiOSとAndroidの開発に専門の開発者を採用する負担も軽減できます。
(参照記事:http://jp.techcrunch.com/2015/09/15/20150914react-native-android/)
「Firefox」の「おすすめのサイト」タイル、バージョン41で英語版以外でも表示へ
米国Mozilla財団(Mozilla)は9月10日、Webブラウザ「Firefox」での広告表示の取り組みについて説明しました。Mozillaは昨年2月、「新しいタブ」にスポンサー付きの推奨Webページを表示する計画を発表し、現在「ディレクトリタイル」(新規ユーザーが初めて開く新しいタブに表示されるタイル)のみ広告タイルを表示しています。8月にリリースした「Firefox 40」の英語版から、さらに広告収入はないがパートナーに匿名化したデータを送る「おすすめのサイト」のタイルを表示し始めました。「おすすめのサイト」をクリックしたユーザーのデータはMozillaに直接送られ、MozillaはIPアドレスなど個人を特定できる情報を排除したタイルの表示回数、クリック数、ピン留め数の各総数を広告パートナーと共有します。現在のパートナーは、米国Yahoo!社、ニュースメディアの米国Fortune Magazine社と米国Quartz社、非営利団体のMake-a-Wish FoundationとElectronic Frontier Foundation(EFF)です。
(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/14/news051.html)
今週は、プロ野球選手の引退に関するニュースが、いろいろ流れています。一時代を築いた優秀な選手も年齢と共に活躍の場がなくなり、引退することになります。誰にでもそんなときが来るのでとても他人事とは思えなく、そんなニュースを聞くとしんみりします。雨が続くとこんな気分になってしまいがちですが、「終わり」の次には「始まり」があるので、次の領域での活躍を期待したいものです。
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