次世代データセンターネットワークのアーキテクチャー
リソース結合ネットを広域へ拡張
リソース・エリア・ネットワークはレイヤー2ネットワークであり、本質的には局所的なネットワークである。この一方、性能の観点では不利であるものの、災害対策やマイグレーションには広域接続も必要である。
レイヤー2ネットワークを広域接続する技術には、以下のものがある。いずれにせよ、カプセル化/トンネル化することになる。
(1)レイヤー3へのカプセリング
(2)MPLSを使用したトンネリング
(3)PB/PBBを使用したトンネリング
(1)レイヤー3へのカプセリングでは、特にIP(Internet Protocol)を使ったカプセル化を想定している。IPによるカプセル化の標準にはEtherIP(RFC 3378)などがあるが、レイヤー2ベースのフラットなネットワークを効率よく構成するにはベンダー固有の拡張があった方がいい場合もある。
データセンターにはFCやInfiniBandのようなプロトコルもあるので、それぞれのプロトコル・ゲートウエイも必要になる。また、必須というわけではないが、カプセル化にIPを用いる場合、IPルーターの冗長化も重要になる(図3-1)。ここでも、ベンダー固有の技術が生きる。例えば、サーバー仮想化環境を想定する場合、標準のVRRPではなく、BrocadeのVRRP-eを使う方が効率がよい。
(2)MPLS(VLL/VPLS)を使用したトンネリングは、IPの代わりにMPLSを使う。自営のネットワークでなければ構成が難しいが、さまざまなプロトコルの疑似ワイヤーを構成できるので便利である。Brocadeではエントリ製品でもMPLSを利用できるものがあるので、決して高価な技術ではない。
(3)PB/PBB(Provider Bridge/Provider Backbone Bridge)を使用したトンネリングは、データセンター・プロトコルがEthernetで統合されている場合に有効である。プロトコル単位/システム単位にVLANを設定することで構成できる。
将来のデータセンター・ネットワークの構成
ここまで、リソース結合のためのデータセンター・ネットワークの要件と技術について解説してきた。最後に、データセンター・ネットワークの参考構成を示したい(図3-2)。
この構成は、近い将来日本でも普及するCEE(Converged Enhanced Ethernet)ベースのインフラである。図3-2で示した構成とそっくり同じものは、今日現在の技術ではまだ構築できない。というのも、さまざまな要素技術がいまだに標準化の途上にあるからである。
次回は最終回である。次世代データセンター・ネットワークに向けたBrocadeの技術と製品ロードマップを解説する。