事例から学ぶ動画の使い方

2008年10月10日(金)
篠原 哲也

Webサイトに動画は当たり前の時代

 動画を効果的に使ったWebサイトが最近増えてきていますが、その企画や制作に関して、まだ一歩踏み切れないWeb制作者の方が多いのではないかと筆者は感じています。

 多分その理由は、動画を作るということに関して、役割の違いや専門性などで別なパートという雰囲気があるからではないかと思っています。今回の連載では、動画を使ったWebサイトの事例や作り方、考え方などについて紹介し、それが動画を使うことや制作する何かのきっかけになればと考えています。

 ブロードバンドの普及とAdobe Flash8の登場以来、Webサイトで動画を使うということが非常に身近になってきています。キャンペーンやプロモーション系のWebサイトでもTVCMやそのメイキング映像、または、CMタレントのインタビューなど簡単な動画コンテンツを掲載することから始まり、CMの続きはWebでのようなCMの延長の動画コンテンツが登場して、新しい広告手法として話題を集めました。

 今ではWebサイトの画面をフルに使って動画を印象的に見せていく方法も多く見るようなり、今後さらに動画を活用していくWebサイトが増えていくでしょう。

 また、動画はWebサイトの演出としてブランドイメージを醸成したり、プロダクトを魅力的に見せていくために非常に説得力のある表現方法です。それ以外にも、YouTube等の動画アップロードサービスやブログサービスの広まりによって、バイラルムービーというネット上の口コミを誘発させ、広がっていくWebならではの方法なども登場し、ますますその重要性や存在感を増してきています。

なぜWebサイトに動画を使うのか?

 なぜ、これほどまでにWebサイトに動画を使うことが普及したのでしょうか。それには4つの要因があります。

 1つ目は、Webサイトというメディアのもっている特性が要因だと考えます。今まで動画を使ってプロモーション活動をしたいと思っても、テレビでは時間軸に縛られ、店頭などでは限られた人たちにしか到達しないなど、動画を活用するのに適したメディアが存在しなかったということだと思います。Webサイトのブロードバンド化は、好きな時間に、気軽に自宅などで動画を見ることのできる唯一のメディアであり、送り手の都合の良いタイミングや長さで配信することが可能になってきたため、Webサイトで動画を有効に利用する意味が出てきたのではない言えるでしょう。

 2つ目は、インタラクティブなユーザーが積極的に情報を取得しようとしている状況の中で、ビジュアル、音楽、ナレーションなど多くの情報を一度に扱うことで短い時間でインパクトあるコミュニケーションが可能であること、また、そういったことをユーザーの反応や趣向に合わせて、より効果的に伝えたい情報を伝え、知りたいことが知れるという送り手と受け手のニーズがマッチしたからだと思います。

 3つ目は、単純に動画はわかりやすく理解してもらうために、インパクトを与えるといった点で一番最適な表現方法だからでしょう。

 4つ目は、仕組み的に手軽に公開できるというハードルの低さがあり、そこに既存にある動画コンテンツを有効活用したいというニーズとマッチして急速に普及したのではないかと思います。

 いかがでしょうか。これほどまでにWebサイトと相性の良い動画という表現方法。もっと積極的に、効果的に使ってみたいと思いませんか。とは言え、やみくもに動画を使えばいいというものでもないので、次からは事例を交えて、動画の効果的な使い方を紹介します。

株式会社ピラミッドフィルムクアドラ
チーフプロデューサー。1997 PYRAMID FILMにてインタラクティブ広告制作に携わる。大手企業のプロモーション、ブランディングサイトを中心にプロデュースを担当。2002 SONYに転職。VAIOをプラットフォームとしたコンテンツサービスの企画を担当。2005 PYRAMID FILM QUADRAに戻り、ムービーを強みとしたインタラクティブ広告制作に取り組んでいる。http://www.pfq.co.jp/

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