プロのフリーランスが語る「自分の名前で仕事をする」秘訣とは?

2018年9月27日(木)
於 ありさ(おき ありさ)

8月23日(木)、LIFEWORK大手町にて、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下、フリーランス協会)監修のイベント「自分の名前で仕事をするということ 〜仕事が途切れない人は、経営視点を持っていた!〜」が開催された。

本イベントでは、クライアントと対等なパートナーシップを築き、企業に新たな価値観を吹き込んでいる4名の"プロフェッショナル・フリーランス"が登場した。開会に先立ち、アイスブレイクとして提供された軽食や飲み物を片手に参加者同士が交流を持つ時間がとられ、会場各所で熱心に語り合う姿が見られた。

開会に先立って参加者同士の交流会が行われた

"プロフェッショナル・フリーランス"が
営業をせずに仕事が取れるワケ

トークセッションの冒頭、モデレータを務めるフリーランス協会代表の平田 麻莉さんより「そもそも皆さんはどのように仕事を取っているのですか」と問いかけがあった。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表 平田麻莉さん

登壇者の4名は、それぞれ「人伝えで仕事をいただいている」「需要がある方から見つけていただいた」など、「自分から営業をかけてはいない」と答えたが、営業をしていないというのは、楽をしているわけではないとのこと。

  • 飯塚:「やらせてください」とは言わず、「やってほしい」と言っていただける関係でいられる理由として、僕自身が「嘘をつかない」ということが評価されているのかなと感じます。クリエイターの場合は、優秀かということと同じくらい、信頼されるかどうかという人間性が大切なのだろうなと思うので、真摯な姿勢で仕事をするように心がけていますね。
  • モリ:「プロジェクトをやる」と決まった時に、第一想起される存在でありたいと思っています。そのためには、できるテーマとスキルを洗い出すこと、僕の場合はスタートアップやテクノロジーの先端領域での編集やライティングで想起されるようにということを意識しています。あとは、次にやることや興味を言葉で出すことは欠かさないようにしていて、「僕も同じことを考えていました」という方から声をかけられる、半年後にお仕事として依頼していただくことも多いです。そうやって、できることの切り売りにならないように、自分の中でも常に新しい価値観を生み出しています。

コピーライター・ダンサー・ファッションプロデューサー 飯塚 浩一郎さん

ライター・編集者・プロデューサー モリ ジュンヤさん

平田:モリさんの場合は、若くしてフリーランスになられたと思うのですが、最初はどうされていたんですか?

  • モリ:もともと所属していた会社から業務委託でお仕事をいただいていた傍ら、SNSで「フリーランスになりました」と伝え、他の方からもお声がけいただいていました。ただ、会社から業務委託される中でもきちんと「ここまではやるけど、ここから先の仕事は請け負いません」と線引きして、自分のやりたい分野に特化するようにしていました。
  • 菅原:やりたくないことは絶対にやらないほうが良いですよね。それこそ、フリーランスの強みだと思います。

マーケティングコンサルタント 菅原 健一さん

継続的に仕事をもらうために意識していること

現在は企業のCxOクラスと直接話をし、仕事をもらうことが多いという4名。しかし、ここまで来るには、それぞれの独立以前のキャリアや、独立してからの仕事の取り方などのストーリーがあった。

  • 守屋:僕が初めて会社を立ち上げたのは30年も前のことです。当時はインターネットなんてない時代でした。それから25年間、ずっと新規事業をやり続けてきて、やっとここ数年で名前を覚えていただくことも増え、企業のトップの方から「少し手伝ってよ」と声がかかるようになってきたように感じます。いきなり経営者層と仕事ができるようになったというよりも、下積みの25年間で数をこなして経験値を積み上げてきたおかげですね。
  • 菅原:僕もそれにはすごく賛成です。やはり、やる数を増やしてどんどん経験値を積み上げていくことで信頼も勝ち取れると思います。僕自身、まだ独立して間もないので、他の方と差別化するためにも、しっかりと速やかに実績を出すことを意識しています。

新規事業コンサルタント 守屋 実さん

平田:本日参加されている方のほとんどが会社員とのことですが、そういう意味で複業は経験値を倍速で増やすために圧倒的に有利だなと感じます。皆さんは会社員の頃から独立を見据えていたのですか?

  • 飯塚:複業がしたいというよりもダンスがやりたかっただけで、それを声に出して言っていたら「じゃあ会社としてやったら?」と言っていただけて、結果的に複業することになりました。新規事業と言うほどではないですが、意外と「やってみたら?」となるケースはあるのかもしれません。だからコソコソやるのではなく、本気でやりたいことは声に出した方が応援してくれるのではないでしょうか。
  • 菅原:僕は特にやりたいことがなくて、何度も転職しました。でも、1つだけ好きなことだと確信を持って言えるのが難しい問題を解くこと。だから、複業という感覚ではなかったのですが、困っている方にメッセージ上でアドバイスをしていたら、結果的にアドバイザー業として、そのまま独立するという今の形に落ち着きました。

登壇者の軽快なトークに参加者は時に笑いながら、時に大きくうなずきながら聞き入っていた

アクションを起こし、自分の名前で仕事をする

白熱したトークセッションに続いて、会場からの質疑応答が行なわれた。参加者からの「声をかけてもらう存在になるためにはどうしたら良いか」との質問に対し、守屋さんはこれまでの話に付け加え、ノウハウを語った。

  • 守屋:今日、冒頭でパワーポイント1枚、約30秒の自己紹介をしましたが、実はこのパワーポイントをどんどんめくっていくと、30秒の自己紹介で出した数字の根拠が記載されています。だから、与えられた時間によって、30秒でも、1時間かけても自己紹介できます。僕はこのパワーポイントを紙でもデータでも配るようにしていて、8年前から今日まで毎月アップデートしています。さらにいうと、全ページに連絡先も入れることで印象に残り、声をかけてもらえるようになりました。

最後に、登壇者の4名から、これから自分の名前で仕事をしていきたいと考える参加者にメッセージが送られた。

  • モリ:あまり考えすぎずに、とにかく行動してみることが大切なのではと思います。行動に移すことで、いまいち手ごたえが感じられなかったとか、成功できたとかを繰り返した先に自分の名前で仕事をする方法は見えてくる気がします。思ったことを口に出すとか、そういう小さなところからでも良いので、ぜひ行動してほしいです。
  • 菅原:やるべきことは「価値を作ること」と「価値を認めてもらうこと」の2つだけだと思います。だいたいどちらかしかやっていない方が多いのですが、相手に価値を決められる前に、自分で「こんな価値の人間です」と主張して、相手に認めてもらうことが大切です。
  • 飯塚:仕事のために人生があるのではなく、人生のために仕事があると考えています。だからこそ、夢ややりたいことを明確にすれば良い。壮大なビジョンは必要なく、「毎年海外旅行に行きたい」とかで良いと思うんです。それをクリアにすることで人生は豊かになるし、仕事はついてくるのではないでしょうか。
  • 守屋:今は「個」を応援する時代になっているので、自分がやりたいと思ったことは始める、それに尽きると思います。やらないよりも思いきってやってみたほうがリスクは小さいのも事実です。ぜひスタートしてみてください。
  • ]

それぞれ経歴は異なるが、そのアドバイスには共通する部分も多かった

* * *

4名の登壇者が口を揃えて言ったのは「とにかく行動する」ということ。「自分の名前で仕事をしたい」「複業やフリーランスという生き方が気になる」という方は、ぜひやりたいことや夢をクリアにして、まずは行動してみてはいかがだろうか。

著者
於 ありさ(おき ありさ)
ライター/発信者
1991年生まれ。青森県出身。金融機関、編集プロダクションでの経験を経て、フリーランスのライター/発信者として活躍中。「働く」と「好き」(美容・エンタメ)を中心に、インタビュー記事を中心とした取材記事から、コラム記事まで幅広く執筆している。一部、広報(SNSの運用)のお仕事も。
執筆実績:https://note.mu/colorfulnote/m/m63338b550eda
Twitter:@okiarichan27

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