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なぜ動画ファイルにはエンコードが必要か

2008年11月6日(木)
栗原 寛

エンコードすると画質が悪くガッカリです!

 動画データは、なぜデータ量が大きいかというと、1秒間に約24枚とか約30枚という静止画(フレーム)を高速で表示しているからです(1秒間30枚で10分間18,000枚)。

 ここで今までのエンコードの歴史を簡単に説明しましょう。

 データを圧縮するため、まず考えられたのが「フレーム数を減らす」ということです。次に、動画データの「画像サイズを小さくする」です。

 しかし、1秒間30フレームを15フレームにして、画面サイズを縦横半分にしてもデータ量は8分の1しか減りません。100分の1以下にデータ圧縮なんてとても無理です。

 そこで考えられたのが、動画1フレームごとに低画質化することでした。BMPファイルをJPEGやGIFファイルに変換するのと同じような発想です。動画1フレームごとに低画質で一定化し、1秒のデータ量を決める。これがCBR(Constant Bit Rate:固定ビットレート)となります。同じ画質のフレームが次々と表示されるイメージです(図2-1)。

 ところが、ここで問題が発生します。ビットレートが低いと、画質が悪いのです。動画1フレームごとに低画質で一定化したので、画像上に水をこぼしたようにぼやけてしまいます。

 この問題に対処すべく新しい圧縮技術が開発されました。これが、フレーム間圧縮(差分圧縮)というものです。1枚の画像(フレーム)内で圧縮するのでは限界があるので、複数フレーム間で連携して圧縮しようという発想です。

 原理は、元となるキーフレームのデータと、次のフレームは動いた部分だけの小さな(差分)データから動画を構成して、データ量を圧縮しようというものです。キーフレームが普通のデータで、差分データが小さなデータとなるので、1秒間のデータ量が画像の変化に合わせて随時変化します。これがVBR(Variable bitrate:可変ビットレート)となります(図2-2)。

 このVBRの登場により、動画の画質が劇的に向上し、データ量も劇的に圧縮することができるようになりました。

 「CBR」と「VBR」、これが、第1のキーワードです。

 次に可変ビットレートの場合、どのようにビットレートを変化させていくかが問題なります。

 「1パスエンコード(1 pass encode)」と「2パスエンコード(2 pass encode)」、これが、第2のキーワードです。

 1パスエンコードはエンコード作業を1回(パス)で処理し、画像の解析と圧縮処理を同時にするエンコード方法で、2パスエンコードはエンコード作業を2回(パス)で処理し、1パス目で画像の解析を行い、どういう画像かを調べ、2パス目で圧縮処理を行うエンコード方法です。

 1パスエンコードより2パスエンコードの方が、倍の作業が発生するためエンコード処理に約2倍時間がかかります。しかし、2パスエンコードの方が高画質・高圧縮率となります。逆に、1パスエンコードの方がエンコード処理時間が短い分、2パスエンコードに比べて画質や圧縮率が低下します(図2-3)。

エンコード方法とソフトウエア

 それでは、第1・2のキーワードを組み合わせて、エンコード設定します。

 CBRは、ビットレートを一定にしたいライブ配信や、あまり動かない映像(講演会やセミナー映像など)の低ビットレート化に有効ですし、VBRは低ビットレートの環境で、できるだけ画質を向上させたい場合に有効です。

 また、1パスエンコードと2パスエンコードはエンコードの処理時間に違いがあり、画質があまり重要ではない映像で即時性が必要ならば1パスエンコード、画質重視のCM動画配信などは、2パスエンコードとなります。

 例えば、株主総会などのライブ配信は即時性が重要なのと、光回線やADSL等いろいろな回線で視聴できなければならないので、ライブ配信用エンコードPCの負荷と回線の負荷を抑えるために、1パスエンコードのCBRなどを採用します。また、企業サイトで企業CMを配信する場合は、低ビットレートと画質を優先させるため2パスエンコードVBRを採用します(wmvやH.264やOn2VP6など)。

 次に、エンコードソフトウエアですが、ビデオ編集機能とエンコード機能が一緒になっている、プレーヤーにエンコード機能が追加されている、エンコード専用ソフトウエアなど多種多様です。

 主なソフトウエアは、「Windows Media エンコーダ(無料)(http://www.forest.impress.co.jp/lib/pic/video/vdoenc/winmediaenc.html)」「Adobe Flash Video Encoder(有料・Flashにバンドル)」「Adobe Flash Media Live Encoder(無料)(http://www.adobe.com/jp/products/flashmediaserver/flashmediaencoder/)」「Cleaner(有料)(http://www.too.com/digitalmedia/index.html)」「ProCoder(有料)(http://www.canopus.co.jp/catalog/procoder/procoder20_index.php)」「Sorenson Squeeze(有料)(http://www.flashbackj.com/sorenson/index.html)」「QuickTime Pro(有料)(http://www.apple.com/jp/quicktime/pro/)」「TMPGEnc(無料・有料)(http://www.tmpgenc.net/ja/j_main.html)」「AviUtl(無料)(http://spring-fragrance.mints.ne.jp/aviutl/)」「WinFF(無料)(http://code.google.com/p/winff/)」「FFmpeg(無料)(http://www.xucker.jpn.org/keyword/ffmpeg.html)」「ffdshow(無料)(http://sourceforge.net/projects/ffdshow/)」「VirtualDubMod(無料)(http://virtualdubmod.sourceforge.jp/)」「FlasKMPEG(無料)(http://cowscorpion.com/MultimediaTools/FlasKMPEG.html)」「携帯動画変換君(無料)(http://mobilehackerz.jp/contents/3GPConv)」です。

 ソフトウエア選択の目安は、どういうエンコードをしたいかと、オプション機能(エンコード設定や画質調整機能)の使いやすさなどです。

 次は、このオプション機能(画質調整機能)について説明します。

株式会社アトミックPV
ビデオ制作会社でビデオエンジニア・ビデオカメラマン・ディレクター・ビデオ企画制作マーケティングに従事した後、フリーとして独立。2001年にWebストリーミングコンテンツ制作業務を開始。2003年有限会社アトミックPV設立。2008年株式会社アトミックPVに移行。動画配信を活用したビデオ制作、ビデオ・ストリーミング動画配信コンサルティング業務などを手がけ、現在では売上高数千万円~連結十兆円規模の企業様まで幅広くビデオ制作・動画配信のお手伝いをしています。http://www.atomic-pv.jp/

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