今こそ聞きたいVisual Studio 2008の基礎の基礎
第1回:再発見Visual Studioの魅力
著者:マイクロソフト 馬田 隆明
公開日:2008/02/05(火)
高品質なアプリケーションを迅速に作るための支援を行う開発ツール
開発ツールを十分に活用することによって、高品質なアプリケーションの迅速な開発が可能になります。しかしその一方で、高度な機能を持つ開発ツールはその複雑さからその機能を十分に活用することが難しい部分もあります。
本連載では最新の統合開発環境「Visual Studio 2008」を取り上げ、アプリケーション開発におけるこれら課題を解決するための機能やその仕組みについて解説していきます。
特にこれまで簡単なアプリケーションをプログラミングしたことがあるものの、本格的な開発にこれから取り掛かる人に役立つよう、基本機能から解説を進めていきます。また、Visual Studio以外の開発ツールの経験があり、Visual Studioにも興味を持っている人にも有用になるかと思います。
この連載によって、読者の方々にVisual Studioという開発ツールの概要と、基本的な活用方法をご理解いただければ幸いです。
高品質なアプリケーションを迅速に作るためには、開発ツールとフレームワークをいかに有効に活用できるかが鍵を握っています。その鍵として、Visual Studioには「.NET Frameworkの機能」と「開発ツールとしての機能」の2つが備わっています。
このVisual Studioが持つ開発支援機能とアプリケーションフレームワークである.NET Frameworkの機能の2つが両輪として組み合わさることで、相乗効果を発揮してその性能をさらに高められるのです。
つまり、開発ツールはそれ単体で理解するよりも、アプリケーションフレームワークを理解した上で、いかにその機能を発揮するために開発ツールを利用すればよいかを理解することが効果的といえるでしょう。
そのため本連載では、最初にこの2つの重要な概念について解説を進めます。今回は両輪の1つである.NET Frameworkについて、次回はVisual Studioが持つ開発ツールとしての機能についてそれぞれ説明します。
図1:第1回と第2回で解説する内容
.NET Frameworkとは
.NET Frameworkは多様なアプリケーションを実現するための共通の開発および実行基盤(フレームワーク)です。ここで重要なのは、ソフトウェアの「開発」と「実行」という2つの言葉が入っている点です。この「開発」と「実行」の2つの視点から.NET Frameworkの特徴をみていきましょう。
開発に求められる要求の中で重要なものの1つが「迅速さ」です。特に、昨今のビジネスにおける急激な変化に素早く対応するために、開発期間も短縮される傾向にあります。開発の迅速さを高めるためにはさまざまな方法がありますが、その1つとして「開発者個人の能力を最大限に高める」というものがあります。
一口に「開発者の能力を高める」といっても、いくつかの手法があると思います。その中でも重要なのが、開発者が得意とするプログラミング言語を使って開発を行うということです。これは一見難しい課題のように思われますが、.NET Frameworkを使うことで、それが可能となるのです。
.NET Frameworkは、Visual BasicやVisual C#、Visual C++など、複数の言語を使った開発に対応しています。実際のプログラミングに際して、これら複数の言語から開発者や開発チームが得意とする言語を選択し、.NET Framework対応のアプリケーションを開発することができます。また、異なる言語で作成されたコンポーネントの組み合わせにも対応可能です。
複数の言語に対応するということは、開発者が得意とする言語の選択だけでなく、目的のアプリケーション開発に適した言語を選択できるというメリットにもつながります。さまざまな開発言語は個々の特長を備えており、目的のアプリケーションが必要とする機能を持った言語を選択すれば、開発の効率化をはかることができます。
これらの点が、.NET Frameworkが持つ「複数言語対応」の大きなメリットなのです。 次のページ