これを知らないと始まらない! 英語コミュニケーションの3大ルール

2020年9月9日(水)
山口 秀子(やまぐち ひでこ)

はじめに

英語を勉強する! と決めたら、まずは単語や文法の学習から…という流れが一般的ですが、それ以外にも英語初学者が知っておくべきことがあります。

それは、「英語コミュニケーションのルール」です。

日本語でも独特のコミュニケーションルールが多々ありますが、同じように英語でのコミュニケーションでも知っておくべきルールが存在します。

スポーツを始める際も、まずはルールを知らないと始まりません。これまで野球しかしたことのない人がサッカーを始めようと思って、バットとグローブを持って練習に参加したら、「え?」ってなりますよね。

英語学習でも同じで、ルールを知らないままいきなり練習を始めてしまうと、なかなか上達しなかったり、「使える英語」が身につかなかったりする原因になります。逆に言えば、英語のコミュニケーションルールを知ることで、英語の学習が進めやすくなります。

今回は、日本語でのコミュニケーションとは真逆の、または大きく異なる英語コミュニケーションのルールを3つ紹介します。

英語コミュニケーションの3つのルール

① 「結論が先」

1つ目のルールは「結論が先」です。英語の語順を見るだけでも、「結論が先」に述べられることが分かります。

例えば、

I went to the museum in Ueno with my friend yesterday.

という文では、最初の2語“I went”だけで「私は行きました」という一番大切なメッセージ、すなわち結論が伝わります。

一方、日本語では「私は昨日友達と上野の美術館に行きました。」と、結論は最後に来ます。日本語の文では動詞が最後に来るため、「私は昨日友達と上野の美術館に行き…」と文の最後まで聞かないと、行ったのか? 行ってないのか? が分からない構造になっています。英語の場合は、主語+動詞から文が始まるため、結論を先に述べ、その後に追加情報を続ける形が一般的です。

また、英語で意見を述べる際にも、まずは結論から伝えることが大切です。「私は〇〇だと思います。なぜなら…」という形で、最初に結論を述べてから理由を説明する流れで意見を伝えると、伝わりやすくなります。

日本語では「起承転結」という文章の構成方法を学校で学ぶこともあり、日本人の説明は前置きが長く、「結局何が言いたいの?」と思わせてしまうことがあります。

さらに、日本語では結論を言わずに、理由だけを述べてしまうことも多くあります。

先日ほぼ満席のうどん屋さんに入った際に、店員さんに「この席座って良いですか?」と聞いたところ、「ちょっとまだ片付けられないから…」と言われました。理由だけ伝えて結論は察してください、という日本語独特のコミュニケーションです。

日本人同士なら「片付けが終わったら座っても良いよ」という意味なのは分かりますが、相手が外国人の場合は「座って良いのかダメなのか分からない…」とコミュニケーションが成立しないでしょう。

日本語との違いを知り、結論から述べることを意識するだけで、英語コミュニケーションの効率は一気に良くなります。自分の考えを伝えるのに必死になるのではなく、相手にとって分かり易い話し方・伝え方を心掛けることができると良いですね。

ルール② 「伝える」ことが大事

2つ目のルールは、「伝える」ことが大事ということです。

私たちが普段使っている日本語では「察する」ことが重要とされています。先述したうどん屋さんの店員との会話でもそうですが、結論まで言わずとも、聞き手が察することで理解できてしまうというコミュニケーションが多々あります。

例えば「今日一緒にランチに行かない?」と誘われた相手に、「ちょっと今日は…」とひと言答えるだけで、相手は「ああ、今日は一緒にランチに行けないんだな」と理解してくれる可能性が高いです。

このようなコミュニケーションに慣れている日本人が、その感覚のままいざ英語を話すとなると、相手に「察してもらう」ことを前提に話してしまい、うまく伝わらず自信をなくしてしまうというリスクがあります。

英語でランチに誘われて断る場合は、Sorry, I can't. I'm busy today.のように、一緒に行けないこと、そして理由をしっかり伝えるのが一般的です。

英語コミュニケーションでは、聞く人の「察する能力」よりも、話す人の「伝える能力」の方が重要です。私自身、日本語で話しているときと比べて、英語で話すときはより理論的に物事を考え、はっきり意見を伝えられる人に切り替わっている感覚を覚えます。日本語だと適当に話していても伝わるので楽ですが、たまにちゃんと伝わっているのか? 間違った意味で伝わっていないか? と不安になることもあります。

その意味では、英語で話しをする際には、しっかり伝えている分、違う意味で解釈される可能性は低いので、安心できます。英語を話すときには別人格になった気持ちでモードを切り替えて、相手に「伝える」ことを意識しましょう。

ルール③ 「アイコンタクト」を大切にする

英語のコミュニケーションでは、アイコンタクトを取ることがとても重要です。相手の目を見て話すこと、当たり前のようですが、日本語を話す際はあまり意識していないように感じます。

以前、ハイキングをしていた際に、すれ違う人たちと「こんにちは~」と挨拶を交わしながら歩いていたのですが、その中に外国人家族がいて、彼らはしっかり私の顔を見て「こんにちは」と挨拶してくれたのがとても印象的でした。

私自身や他の日本人は足元や前を見たまま、口だけで「こんにちは」と挨拶していたのに対して、その外国人家族はしっかりアイコンタクトをとって挨拶をしていたのです。

日本の教育では「相手の目を見て話しなさい」と教えられることは少ないと思います。一方、英語のドラマ等を見ていると、子どもに注意する際や大人同士でも大切なことを伝える際に“Look at me.”のように話し手の顔・目を見るように伝える場面をよく目にします。

私も以前に外国人上司と仕事をしていた際は打ち合わせの度に青い目でこれでもかと見つめられ、そんなにアイコンタクトを取るのね…と戸惑った記憶があります。

また、日本人ビジネスマン向けに英会話レッスンを行う際に、なかなか人の目を見て話せない方がいることも気になります。頭の中で英語の文章を作るのにいっぱいいっぱいで、目を瞑ってしまったり、下を向いたり、斜め上を見たりしています。

レッスンなら良いかもしれませんが、実際の会話でこんな行動を取ってしまうと、「この人は私と話す気がないんだな」なんてネガティブな印象を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。

「伝える内容」ももちろん大切ですが、それ以前に大前提として「伝えようとする姿勢・態度」が必要です。英語コミュニケーションでは、まずは相手の目を見て話すことがその第一歩と言えます。

おわりに

今回は、①「結論が先」、②「伝える」ことが大事、③「アイコンタクト」を取るという英語コミュニケーションの3大ルールについて紹介しました。

日本語で無意識に行なっていることが、英語では通用しなかったり、逆にコミュニケーションの弊害になってしまうこともあります。

英語を話せるようになるためには文法や単語の学習ももちろん大切ですが、今回紹介した3つのルールが大前提です。ルールを実践しながら学んだ知識を使って、コミュニケーションを楽しんでいただきたいと思います。

日本語でできないことは、英語でもできません。まずは日本語で話す際にも、これらのルールを意識してみましょう。結論を先に伝えること、曖昧な伝え方をしないこと、相手の目を見て話すこと。少し意識するだけでも、日頃のコミュニケーションに大きな変化が生まれるかもしれません。

著者
山口 秀子(やまぐち ひでこ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン マネージャー。学生時代、ガーナに1年間留学。外資系自動車メーカーにて、南アフリカへの2年の駐在やグローバルプロジェクトのPMO、役員通訳を勤める。日系商社にて海外メーカーとの取引・交渉も経験。現在は、ビジネス英会話等のレッスンカリキュラム・教材作成を担当し、オンライン学習プログラムMOVAEICを企画・運営。TOEIC985点。

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