ここが変だよカタカナ英語! 英語では伝わらない単語に要注意
はじめに
普段何気なく使っているカタカナ英語。「そのまま使えば英語でも通じる」なんて思っていたら、ちょっと危険です。
pen=ペン、cake=ケーキなど、元は英語、もしくは他の外国語の言葉を、日本人が読みやすく、発音しやすく変形したのがカタカナ英語です。
日本語を話す上でも欠かせない、とても便利なカタカナ英語ですが、カタカナ英語はあくまでカタカナ英語。英語・外国語をカタカナで書いて、カタカナで発音して、中には意味まで変わってしまっているものもあります。
カタカナ英語=英語だと勘違いしていると、いざ英語で話すときに意味が通じなかったり、発音が違ったりして困ってしまいます。
そこで今回は、勘違いしていると恥ずかしい、特に注意が必要なカタカナ英語を紹介します。リンクで紹介する辞書ページで、意味や発音を詳しく確認しながら読んでいただくのがおすすめです。
カタカナ英語を通して、英語を学ぶおもしろさも感じてもらえると嬉しいです。
意味が異なるカタカナ英語
まずは、英語では意味が違うため、注意が必要なカタカナ英語を紹介します。
・ハイテンション
テンションが高いことを表す際に使われる言葉ですね。英語で書くと“high tension”。そのままでも意味が通じるような気がするかもしれませんが、tensionは「(精神的)緊張、不安」または「(個人・国家間の)緊迫(状態)」を意味します(weblio参照)。
よって、「楽しくて気持ちが高ぶっている!」という状態とはほぼ逆の意味で使われます。
【例】The game was full of tension.
(その試合は緊張感で溢れていた。)
英語で「ハイテンション」であることを伝えたいときは“excited”と言います。
【例】We are very excited to go to Okinawa.
(私たちは沖縄に行くので、とてもテンションが高いです。)
何か楽しいことを前にして「めっちゃテンション上がっている!」と言うときは、“I'm so excited!”というフレーズを使ってみてくださいね。
・クレーム
クレームは「苦情」という意味で、お客さん相手の仕事では必ずと言ってよいほど耳にする言葉ですね。英語で書くと“claim”。
この単語は動詞と名詞の両方で使われることがあり、動詞の場合は「要求する」「請求する」、名詞の場合は「要求・請求」という意味を持ちます(weblio参照)。
したがって、カタカナ英語が意味する「苦情」という意味は全くありません(苦情=お客様からの要求、と考えると少しは共通点があるような気はします)。
英語で「苦情」と言いたい場合は“complaint”を使います。苦情や不平、不満、文句などの意味を表す名詞です。
【例】We received a complaint from our customer.
(お客様から苦情が届きました。)
また「苦情を言う」ことを表す動詞は、complaintの語尾のtをとった”complain”という単語です。
【例】The customer complained about the delay of delivery.
(お客様は配送の遅れについて苦情を言いました。)
このように、カタカナ英語では「クレーム」のひと言で通じる場合でも、英語では名詞・動詞で単語が違うこともよくあるので、注意が必要です。
発音が違うカタカナ英語
次に、英語とは発音が違うカタカナ英語を見ていきましょう。
・テーマ
「他の言葉でどう表現すれば良いの?」と思うくらい日本語に馴染んでいる「主題」を意味する言葉です。英語のスペルは“theme”。
発音は“θíːm”、カタカナで表すと「シーム」のような音になります(weblioで発音を確認できます)。
テーマとシームは、全く別物に聞こえますね。「th(上下の前歯の間に舌を軽く挟んでスーと言う)」は日本語にはない発音なので、それをカタカナで表せば発音が違うものになるのはしょうがないですよね。また、「テーマ」はドイツ語の“Thema”が語源のようなので、語尾の発音も英語と違うのも納得できますね。
・アレルギー
アレルギーの英語のスペルは“allergy”です。発音は“ælɚdʒi”、カタカナで表すと「アラジー」のような音です(weblioで発音を確認できます)。
「~アレルギーである」と言いたい場合は、I have an allergy to eggs.(私は卵アレルギーです。)と言います。
または、名詞であるallergyの形容詞版“allergic”という単語を使って、I'm allergic to eggs.と言っても同じ意味です。
なお、日本人の多くが持つアレルギーの「花粉症」は、allergyという言葉は使わずに“hay fever”と表現します。
【例】I have hay fever.
(私は花粉症です。)
私は初めて“allergy”という言葉を聞いたとき、意味が分からずとても戸惑いました。しばらく考えて、なんとなく似ている「アレルギーのことか!」と理解できたときはとてもスッキリしました。
ちなみに、発音がほぼ同じカタカナ英語もあります。例えば「ステンレス」。ステンレスが、stain(さび)+less(ない)で「さびない」ということを知ったときは、なんだかとても嬉しかったのを覚えています。
stainlessの発音は、ほぼそのまま“stenlʌs”で、eにアクセントです。weblioで発音を確認できるので、気になる方は聞いてみてくださいね(ステンレス鋼を指す場合は“stainless steel”と言います)。
和製英語
次に、英語では全く意味が通じない、カタカナだけど純日本語の「和製英語」を紹介します。
・ノートパソコン
「パソコン」は「パーソナル・コンピューター」を略したものですね。英語ではPersonal Computerの頭文字を取ってPCと呼ぶことはありますが、パソコンという英単語は存在しません。
そして、ノートサイズのパソコンなので「ノートパソコン」。「“note PC”と言えば伝わるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、英語では“laptop pc”と言います。
lapは「ひざ」、詳しくは「座ったときの腰からひざ頭までのももの上の部分全体」を意味します(weblio参照)。topは「~の上」という意味なので、「ひざの上で使う」からlaptop。
そして、常に机の上で使うタイプのパソコンは、「机の上で使う」ので“desktop”です。使い方で表現が変わっているだけなので、とても覚えやすいですよね。
・サラリーマン
“salary man”と書けば英語でも通じそうですが、「給料」「人」という単語が並んでいるだけで、英語では意味が分かりません。
「給料をもらって働く人」という意味では“a salaried worker”と表現することもできますが、「会社員」であることを伝えたい場合は“a company employee”や“an office worker”と言います。
日本語では「社名」や「部署名」など、主に自分が所属している団体を伝える傾向がありますが、英語では具体的な職業・職種を伝えるのが一般的です。
I'm an engineer.(私はエンジニアです。)、I'm a consultant.(私はコンサルタントです。)のように、自分の仕事をひと言で伝えられるようにしておきたいですね。
英語ではないカタカナ語
最後に、外国語由来のカタカナ英語だけど、英語ではないため、英語では伝わらない…という言葉を紹介します。
・アルバイト
「学生時代にバイトで…」と英語で話したいときに「アルバイト」という単語を使いたくなるかもしれませんが、残念ながら伝わりません。「アルバイト」の語源はドイツ語の“Arbeit”で、「仕事」を意味します。
英語で「アルバイト」について話したい場合は“a part-time job”と言います。日本語でいう「パート」と同じような意味ですね。
パートは英語由来なのに、アルバイトはドイツ語由来の言葉を使っている理由がなんだかとても気になります。英語では「アルバイト」も「パート」も区別せず“a part-time job”と表現します。
おわりに
今回は、様々なタイプのカタカナ英語を紹介しました。
今回紹介した以外にも、英語では意味が通じない略語(【例】「アポ」→英語では“an appointment”)や、アメリカ英語では伝わるけどイギリス英語では違う言葉(【例】「エレベーター」→アメリカ英語では“elevator”、イギリス英語では“lift”)など、注意が必要なカタカナ英語が数多くあります。
カタカナ英語はとても便利ですが、英語との違いをしっかり理解しておかないと、英語を話す上での弊害になるリスクがあります。日頃から自分や周りの人が使うカタカナ語に敏感になり、気になる言葉は「そのまま英語で伝わるのか?」を調べてみるのもおすすめです。
カタカナ英語の知識をうまく活用しつつ、英語の単語の意味を知ること、英語に興味を持つことに繋げていけると良いですね。
今回紹介しきれなかったカタカナ英語を下記にまとめました。「英語でも意味は通じるか? 通じない場合はなんて言えば良いのか?」を調べてみるのもおもしろいですよ。気になる単語があれば、ぜひ調べてみてくださいね。
【英語で伝わるのか!?調べてみてほしいカタカナ英語リスト】
・キャパ
・コミット
・ミス(間違い、失敗)
・リスケ
・スマホ・アプリ
・フライパン
・テレビ
・エアコン
・リモート勤務
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