【イベントリポート:Red Hat Summit: Connect | Japan 2022】クラウドネイティブ開発の進展を追い風に存在感を増すRed Hatの「オープンハイブリッドクラウド」とは
Ashesh Badani氏:デジタルファーストな世界のニーズにマッチする
Red Hatのオープンハイブリッドクラウド
岡氏に続いて、米Red Hatの製品統括 シニアバイスプレジデントのAshesh Badani氏が登場した。
Badani氏はまず、ビジネスにおいて、以前は数ヶ月や数年で成果を出していたが、いまは数日や数時間、あるいは数分で成果が求められると語った。
そして、クラウドネイティブプラットフォームは2021年の31%から、2025年には95%になるというガートナーの見通しを紹介し、「そこにわれわれの機会がある」と語った。
また、DevOpsを実践しているところは、973倍のデプロイを実行しているといったDORA(DevOps Research and Assessment team)の調査を引用した。
こうしたデジタルファーストな世界で期待されることとして、Badani氏は「フレキシブル&拡張性」「シームレスなワークロードの移行」などの要件を挙げ、「それに応えるわれわれのビジョンがオープンハイブリッドクラウドだ」と述べた。
Red Hatのオープンハイブリッドクラウドの特徴として、Badani氏は、オープンソースであることや、デフォルトでセキュアであること、豊富なパートナーエコシステムなどを挙げた。その顧客メリットとして、売上高が$2,160万向上し、開発者の生産性が20%以上向上、デプロイ速度が70%以上向上するというIDCのホワイトペーパーを紹介した。
事例としてBadani氏は、アルゼンチンのヘルスケア業界の採用例を2つ紹介した。いずれもコロナによるパンデミック下で求められたデジタル変革をタイムリーに達成したという事例だ。
非営利団体のMediféは、Red Hatのコンテナベースの基盤を構築して紙ベースのフローをデジタル化し、92%の時間を削減した。
また、Ministerio de Salud(アルゼンチン保健省)は、Red HatソリューションやDevOpsにより、医療データの共有などのデジタル医療ネットワークを構築した。
ECサイトのCI/CDと
セキュリティチェックをデモ
ここでRed HatのAhilan Ponnusamy氏(APAC Office of Technology, GTM Specialist, App Platform)が、OpenShiftでのアプリケーション開発の事例として、マイクロサービスアーキテクチャによるECサイトのコードに機能追加する様子をデモした。
ショッピングカートがユーザーフレンドリーでないという声を元に、ショッピング中もカートの中身が常に表示されるようにコードを変更。WebベースのIDEからテストケースとコードを変更し、変更をプッシュすると、CI/CDパイブラインが動作し、サイトにデプロイされるまでを見せた。作業に要した時間は、サイトの構成や状況、アーキテクチャーの説明などを含めてわずか15分だ。
このパイプラインでは、ユニットテストやコンテナイメージ作成のほか、ソースコードのセキュリティスキャンや、作成されたコンテナイメージのセキュリティスキャンも実行される。
Ponnusamy氏は、セキュリティチェックの例として、PCI DSSのスコアの設定や、脆弱性カタログ、脆弱性対応のポリシー設定などを見せた。
* * * * *
今回のイベントでは、DXに取り組む企業がRed Hat OpenShiftやRed Hatのサービスを活用している事例セッションやパートナー企業によるテクニカルセッションなども数多く開かれ、Red Hatが提唱するオープンハイブリッドクラウドが技術面だけでなく、活用に向けた知見の蓄積、エコシステムの充実といった面でも確実に前進していることが感じられた。
なお、今回のイベントの内容はオンラインで視聴することができる。本稿で紹介した基調講演のほか、当日行われた対面セッションを収録配信。さらにオンライン専用のセッションも追加されるという。どんなセッションが配信されるのかご興味がある方は、ぜひイベントサイトでタイムテーブルをご確認いただきたい。
【オンライン開催決定!】
Red Hat Summit: Connect | Japan | オンライン
◆日程:2022年11月16日(水)
◆形式:オンライン配信
◆参加:無料(事前登録制)
https://www.redhat.com/ja/summit/connect/japan-online?sc_cid=7013a0000034XPQAA2
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